先日鑑賞の第二弾、
アキ・カウリスマキ監督の最新作『ル・アーヴルの靴みがき』を梅田ガーデンシネマで鑑賞。
カウリスマキ新作ということで、シアター場内が暗転したら妙にワクワクドキドキしてしまいました。
story 北フランスの港町、ル・アーヴル。パリで自由奔放な生活を送っていた
マルセル・マルクス(アンドレ・ウィルムス)は、いまはル・アーヴルの駅前で靴をみがくことを生業としている。家で彼の帰りを待つ献身的な妻・
アルレッティ(カティ・オウティネン)に
愛犬・ライカ(ライカ)。街で暮らす隣近所の人々の支えも、彼にとってはなくてはならない大切な宝物だ。そんなある日、港にアフリカからの不法移民が乗ったコンテナが漂着。マルセルは、警察の検挙をすり抜けたひとりの
少年・イドリッサ(ブロンダン・ミゲル)と偶然の出会うのだが――。

※story、写真とも映画情報サイトよりの転載です。
今までじんわりと胸が熱くなることはあったけれど、
あっという間に涙腺が緩んだのを感じたのなんてカウリスマキ作品では珍しいかも。それは号泣というのでは決してなく、もっと柔らかな、それでいて“突然に”もたらされたものなのでした。
ラストの哀しい成り行きに
「ああ、やっぱりカウリスマキ流の美学で幕を閉じるんだなぁ」って(それはそれで深く納得して)思った次の瞬間、パッと目が醒めるような奇跡を目の当たりにして、温かい涙で睫毛が濡れたのでした。
アキ作品はやるせない不条理感を残す作品が多かっただけに、この展開がちょっと意外でした。
でも“悲し顔”のカティ・オウティネンが見せる晴れやかな笑顔と、少女のように可憐なワンピースはとても素敵でした。(満足)
常にアルコールと仲良しのマルセル。
彼は『ラヴィ・ド・ボエーム』で登場した売れない小説家マルセルの成れの果てなのか??
自己の敷く
根本的なコトの善悪の掟には至極生真面目で、且つお茶目な彼だけれど(知り合いのパン屋からバケットを失敬するのは挨拶代わりのようだった)、
彼を取り囲む近隣の住人達が、本当に“人の情け”といえるものを感じさせて味わい深いのです。
なんて言うのかな・・・潔いっていうのでしょうか? 少しも躊躇うことなくマルセルの窮地にさっと手を差し伸べる姿が、私から見ると本当にカッコよかったのですよね、これが。
近隣住人の一人は、私の
大好きなアキ作品『ラヴィ・ド・ボエーム』でヒロイン・ミミを演じた女性(イヴリヌ・ディディ)で、彼女の登場は凄く嬉しかったです。あの作品では奇跡は起こらなかったのですけれどね。
エリナ・サロは相変わらず“男前な”女性、きっちり筋を通した硬派な女性を演じていて素敵です。
ジャン=ピエール・レオーの役柄にもう一展開ほしかったのは、彼がああいう役柄だけで終わるのがちょっと勿体無かったから。でもああいう超脇役ながら摩訶不思議な存在感を残せる彼って凄いのかもしれません。
ジャン=ピエール・ダルッサンは“いい役柄”ですが、最初から「この人はこちら側に立ってくれる」という確信的思いが張り付いていましたね。あの『サン・ジャックへの道』でのアルコール依存症クロード役なのですから。(^_^)
名犬ライカは監督と暮らすワンちゃんの何世代目か・・・いろんなアキ作品に登場しているライカ犬の祖先犬たちですが、本作のライカ君(ライカちゃん??)はかなりの演技力で見せてくれています。
嗚呼、、、それにしてもマッティ・ペロンパーはもう其処にはいないですよね。(感慨深く独り言ちる)
世の中には辛く悲しいコトや面白くないこと、そんなのがたくさんあるけれど、
本当に自分が大切にしたい感情に正直に生き、それを大切にしているなら、きっと明るい明日が来るんだろうなぁって、そう思える映画です。
やっぱり駄目なんやと思う人生が奇跡的に救われる、、、でもそれはもしかしたら奇跡ではないのかもしれません。居丈高に語られていないだけで、
それはマルセルの真っ直ぐな善意の賜物に相違ないのだと監督はいっているのかもしれませんね。
マルセルはワインをガブガブ。私も今宵はワインをガブガブ。ちょっと酔いたくてビールと日本酒をそれぞれ呑んでからのワインスタートです。拙宅のオブジェと共にカシャリと一枚。