「処前観(処分する前にもう一回観ておこう)シリーズ」の第6弾は『ロザリー・ゴーズ・ショッピング』(パーシー・アドロン監督)です。これもBSじゃなくてNHKの「世界名作劇場」の録画でした。
主演はマリアンネ・ゼーゲブレヒト。
マリアンネ・ゼーゲブレヒトといえば、そしてパーシー・アドロン監督といえば、真っ先に思い浮かぶのは『バグダッド・カフェ』ではないでしょうか。これは生涯通じての「MY BEST20」には絶対に入れたい作品です。
しかしこの『ロザリー・ゴーズ・ショッピング』も、ひとクセもふたクセもありながら、不思議と心を癒してくれる作品なのです。
story
ロザリーは操縦士の夫を持つ9人家族の主婦。彼女は家族のため、様々な物欲の赴くまま37枚のクレジットカードを使い、詐欺まがいの手口で買い物を繰り返すのだったが・・・。(※story、画像とも映画情報サイトよりの転載です。)
ゆる〜い流れの中にもブラックな視点が光り、ブラックでありながらも夫婦愛と家族愛が欠かせないアイテムとなっている本作。
しかし実はそれ以上に、通底しているロザリーの“一種独特の自己愛”を私は感じてしまうのですが。さりとて、そこには微塵も嫌悪を感じません。それどころか、彼女の自己愛がとても純粋なものに思えてくるのだから不思議です。
ロザリーの人としての、女性としての魅力なのでしょうか。まるで魔法にかけられたみたいにロザリーに惹かれていってしまうのです。
それは演じるマリアンネ・ゼーゲブレヒトの魅力があってこそのものとも思えますが。
ロザリーという名の麻薬?に虜になってしまうのは日々懺悔を受ける神父さんも同じなのでしょう。徐々に、しかし完璧に彼女の術中にはまってしまう彼は何ともチャーミングな神父さんなのでした。演じるジャッジ・ラインホルドは適役です!
後半、ロザリーは新たにPCという機器を得て魅惑のネットの世界にはまり込んでゆくのですが、ハッキングを繰り返す彼女が言った「(秘密のパスワードなんて)その人を理解しさえすれば分かるのよ」の台詞にはドキッとしてしまいました。
そうなのです、ロザリーは詐欺行為をも愛という名のヴェールで包んでしまうのです。罪も懺悔で消えると信じている彼女ならではの純真さで。
ブルーカラーが随所に効いています。画的にも何やら麻薬的な美しさがありましたね。
アーカンソーの大地に吹く風に鮮やかなブルーのスカーフを舞わせて歩くロザリーは聖母のようでした。
不思議な味わいがあります。
パーシー・アドロン監督とマリアンネが組んだ初期の作品『シュガー・ベイビー』も是非観てみたいです。
「ロザリー・ゴーズ・ショッピング」に倣って、ぺろんぱ・ゴーズ・ドリンキング。
倣わなくてもいつものことですが。
マルビルの<咲くら>での熱燗と黒糖焼酎のオン・ザ・ロックです。