2013年11月26日

僕が星になるまえに


  シネリーブル梅田で『僕が星になるまえに』(ハッティー・ダルトン監督)を観ました。

シアターのある新梅田シティでは恒例のクリスマス・カーニバルが開催されて、好天の日曜とあってカップルやファミリーで賑わっていました。 今年もあとひと月余りなのですね。

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さて、映画。ぴかぴか(新しい)

story
   29歳の誕生日を迎えたばかりの青年ジェームズ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、末期ガンを患い余命いくばくもない。彼に「世界で一番好きな場所」に連れて行ってほしいと頼まれたマイルズ、デイヴィー、ビルの3人の親友たちは、体の自由が利かなくなっているジェームズをカートに乗せて旅立つが、旅は思いがけないトラブルの連続だった。やがて目的地を目前にジェームズの病状が悪くなり・・・。

                       ※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂いております。


※結末に触れる記述をしております。


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   ベネディクト本人によるずっしりと心に響くナレーション、夜明け間近のほの暗い海に佇む若者の後ろ姿。
邦題のセンチメンタリズムを吹き飛ばすような、“ただならぬ展開”を予感させるダークトーンのオープニングに思わず引き込まれました。

ジェームズ、マイルズ、デイヴィー、ビル、4人の旅は華やかに幕を開け、まるで男子校の修学旅行のような悪ふざけやはしゃぎっぷりが続くのですが、時折何かしら不穏な空気をはらんだカットが挿入され、この旅のゴール、いいえこの旅そのものがひどくキケンなものに感じられて心がざわつきました。

主人公はジェームズなのでしょうが、彼と旅をする3人の仲間たちの個性が其々にしっかりと描かれていて(そして3人とも違う魅力があって)加速度的にスクリーンに引き込まれてゆくのでした。
ジェームズを一つの「主題」と見立てた、実のところはこの3人が本当の主人公なのではないかとさえ思えました。

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旅を進めるにつれ衰弱してゆくジェームズ。
自身の運命を嘆いてか辛らつになるジェームズに「お前の人生は薄い紅茶のようなもの」と詰られたり、適当な生き方を非難されたり、彼ら3人にとっては結構凹む旅路だったりするわけです。ジェームズの言葉が発端となって仲間内で衝突を繰り返し、殴り合いの喧嘩までしながら、それでも旅を続けてゆく彼ら。アクシデントでカートは荷物ごと海に落ち、彼らは疲労の極致でドロドロの様相で、殆ど身一つで目的地へと辿り着きます。

旅を通して彼らは幾度も自身と対峙し、ジェームズに迫る「死」と自分たちの「生」を見つめることになったはずです。彼らはその数日間で、結果的には確実に自身の人生を少なからず前向きに見つめられたはずだと。かたやジェームズは確実に自分の「ある想い」を胸に固めつつ、一歩一歩「死」に近付いてゆく旅路なのでした。
同じ旅が誰かにとっては「生」を、そして誰かにとっては「死」を見つめることになる両方の側面を持つことの、なんと皮肉なことか。

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・・・ジェームズが密かに持っていた旅の本当の目的。
それは全く罪深いものでした。
苛酷な旅を続けさせた友人たちに、最後の最後に一生下ろせない重い荷を背負わせたことになりはしないでしょうか? 末期癌で死にゆく身とはいえ、そこまで他人の人生を巻き込んでしまうのは余りに身勝手ではなかったでしょうか? そんな疑問が去来します。 彼らはおそらく生きている限りあの時の選択の是非を自問自答し続けることでしょう。

しかしその罪深い要求は、苛酷な旅を共にしてきた彼らだからこそ受け止めることができたのだと思います。実は最も互いの心に溝があったように感じていたマイルズが「見届ける」ことになった結果に、私はジェームズよりもマイルズのために泣きました。


この旅の目的がどんなに罪深いことであっても最後までこの映画に寄り添えたのは、ジェームズと友人たちの関係性とキャラがしっかり描かれていたことと、やはり演じる役者さんたち自身の個性と魅力に他ならない気がしました。もっといえば、演じる役者さんの魅力がそのままこの作品の美になっていたと思います。

主演のベネディクト・カンバーバッチ、マイルズ役のJ・J・フィールド、デイヴィー役のトム・バーク、ビル役のアダム・ロバートソン、皆さんに拍手です。「青年」と呼ばれる年齢を過ぎようとしている過渡期の男性像を、少しの疲弊と翳りと圧倒的な清潔感でもって表現してくれていました。
つらく苦しいけれど、彼ら4人にだけ理解のできる「ある一つの完結」は在ったのかもしれないですね、あのラストには。


☆最後に一言だけ、なにか違った先入観を与えてしまう邦題は残念です。
原題「THIRD STAR」は、ちゃんと意味を持つタイトルだったのでそのままの方がずっと良かった気がします。



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 さてさて、最近いただいた和酒で「!」付きで美味しいと思ったもの、2アイテム。
それぞれ違うお店で饗されたお酒ですが、一つは「繁舛 大吟醸 生々」、そしてもう一つは「遊穂 山おろし純米吟醸」です。前者はとにかく私好みの生酒の香立つ芳醇なお酒、後者はご店主の弁を借りれば「今年は格別の出来」とのことで、味わい深いのに非常に喉越しが綺麗なお酒でした。

今年もあと残り一カ月。 さらなる美酒に出会いたいですね〜。かわいい









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2013年11月19日

ドライブ・マイ・カー、そして『なぎさ』(山本文緒)


   村上春樹さんの新作短編小説『ドライブ・マイ・カー』が今月9日発売の「文藝春秋」に掲載されました。
こちらは既に読了。 春樹さんの小説の中でも少ない“リアリズムを追求した小説”の部類に入るかと思うものの、読んでいてふと『ねじまき鳥クロニクル』や『ダンス・ダンス・ダンス』を想起させられたあたり、もしかしてこの物語がいつか長編に化けるとするならばパラレルワールドが展開する“非リアリズムの物語”になると言えるかも知れません。そういう余韻を残す作品でもありました。
短編ですがそれなりにしっかりした長さはあり、始まりからエンドまでしっとりとした筆致で読ませてくれるこんな物語も秋の夜長にはイイものでした。
まぁ『ドライブ・マイ・カー』についてはサラッとこんなところで。



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 今回のメインテーマは『なぎさ』(角川書店 山本文緒著)です。
春樹さんの短編を読むために買った「文藝春秋」に山本文緒さんの新刊情報が掲載されていて嬉しい驚き。
山本文緒さん、実に15年ぶりの長編です。(注:1998年の『恋愛中毒』以来と考えるとそうですが、1999年の連作長編『落下流水』以来と考えると14年ぶりということになるかと思います。)
山本文緒という女流作家さんの名は拙ブログで多分村上春樹氏に次いで登場頻度の高い作家さんです。直木賞受賞(『プラナリア』)以来いろいろあったようで、エッセイや短編集は出されれば勿論読ませて頂いていたものの長編小説の刊行は本当に久しぶりです。
15年かぁ、、、人間の「一生」を鑑みるに、それは結構長い年月と言えます。 それだけに、山本さんのその年月に思いを馳せます、そして作品への期待は膨らんでいます。

山本さんの長編小説は、読むのに烈しい痛みを伴うこともありながら登場人物たちへの著者の深い慈しみを感じずにはいられません。
昨日の帰りにJ書店で購入、読みかけだった乃南アサさんの小説を中断して(乃南アサさん、すみません。知り合いじゃないけど一応謝っときます。『なぎさ』を読み終えたらまた戻りますね。)早速今日から通勤に携行してページを繰っています。はい、気合い入ってます。 この気合、この期待が裏切られることは多分無いであろうと信じます。



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  さてさて、期待度が高かっただけに少し残念だったのはこちらの乾杯(お店スタッフさん方のなんとなくの足並み不揃いさを感じてしまい…)。グランフロント某店。素敵なお店構えなのに残念に思いました。いつかもう一度お伺い? いえいえ、お店との出会いは一期一会ですものね。
御一緒させて頂いた御方との乾杯はそういうのと無関係に楽しく佳き時間でした。ワインとチーズ盛合せはとても美味しくいただきました、ありがとうございました。


そうそう、BSフジのドラマ『猫侍』情報を朝日新聞でゲット。知らんかった、、、観なくちゃ。かわいい





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2013年11月13日

いとしきエブリデイ


  シネリーブル神戸で『いとしきエブリデイ』(マイケル・ウィンターボトム監督)観ました。
この監督さんの作品鑑賞は初めてでしたが、同監督の過去作で本作の夫婦役二人の役者さんもご出演の『ひかりのまち(1999年制作)』も是非観てみたいと思う今です。

story
   ステファニー、ロバート、ショーン、カトリーナの兄妹は毎日学校に通い、母カレン(シャーリー・ヘンダーソン)は子どもたちを送り出した後、昼はスーパーで働き、夜はパブでも仕事をしている。他の家庭と違うのは父親イアン(ジョン・シム)が刑務所にいて、家にいないこと。会えるのは長い時間をかけてバスと電車を乗り継ぎ辿り着く刑務所でのわずかな面会時間だけだったが、それでも季節はめぐり、父親がいない時間が過ぎる中で子どもたちは成長していくのだった・・・。

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                          ※story、画像とも映画情報サイトより転載させて頂きました。


  幼い兄弟たちと母親が暮らすイギリス東部にあるノーフォークという名の村。
この村の風景が本当に美しい。イギリス東部が舞台ということしか知らなかった私は「ここはいったいどこなのだろう」と溜め息交じりに思いながらスクリーンに見入っていました。

父がいる刑務所の房が時折映し出されるのですが、その殺伐さとは対照的に、ノーフォークの景色はあまりに美しくゆとりに満ちていて、吹く風が優しく麦の穂を揺らすように心をそっと撫でていってくれるのでした。

その恵み豊かな大地で、子どもたち4人は「日常」を繰り返しながら成長してゆきます。
父親の不在(しかも収監による不在)という特異な事情を抱えてはいるものの、子どもたちの日常はごく普通の家庭で繰り広げられるそれのように騒々しく且つ愛おしいものでした。学校へ行って歌を歌ったり、お弁当を食べたり、クラスに好きな子ができたり。やがてロバートは反抗期を迎え、ステファニーにはBFができます。

カメラは父親が出所するまでの「5年」を、実際に5年をかけて子どもたちの成長を追ってゆきます。

5年という歳月。
途中で大きな事件に発展するのではないかと不安に駆られるような出来事があり(結局は事なきを得るのですが)、母親カレンが本当は許容範囲を越えるまでに張りつめた精神状態であることや、しかしながら子どもたちが本能的にそんな母親の心を察知しているかのように大きく曲がることなく真っ直ぐに育っていることや、そんなこんなを感じさせられ「家族」の意味を考えさせられたシークエンスでした。
カレンの憂鬱と子どもながらのそれぞれの複雑な思いはありつつも、家族はまた日常へと返り、父親が出所を迎えるまでの日々が淡々と綴られてゆくのです。

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子どもたち四人の表情がとても自然でまるでドキュメンタリーを観ているかのよう。
夫婦役の二人は俳優さんですが子どもたちは全くの素人で実際の兄妹だとか、どうりでみんな似ています。

刑務所へ面会に行った時の子どもたちの様子はあまりに自然で演出というものを感じさせません。あまりに自然なのでつい彼らに心を添わせてしまいます。
刑務所という特異な場所で迎える父親との再会が子どもたちをナーバスにするのか、ちょっとしたことで泣いてしまうショーンやカトリーナ。いたいけな子どもたちと、子育てをしながら働きづめに働いてギリギリのところで踏ん張っている妻であり母であるカレン。イアンという男、本当に罪な人間だと怒りも湧いてきます。
カレンにずっと想いを寄せている他の男性の存在も描かれ、いっそのことその男性と人生をやり直すことができればその方が幸せなのではないかとも思ってしまうのですが、やはり家族にとっては唯一無二の父であり夫であるのですね、イアンは。そこにもまた「家族」の意味を考えさせられた私です。

終盤のカレンの告白は、最悪の事態を招くのではないかと心臓が波打ちました。
あの告白行為の是非は別として、今度は夫イアンに科せられる試練を彼は乗り越えるべきだと思いますし、また、乗り越えてゆけるであろう未来を感じさせてくれるラストでした。
海辺を歩く家族を俯瞰で追い続ける演出は心を静かに打ち、永遠に続くような波音とカモメの鳴き声が優しく耳に響くのでした。


 
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そして、、、
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  さてさて、恒例の<大阪ヨーロッパ映画祭>の第20回がいよいよ開催となります。
会場は今年もホテル・エルセラーンで(映画作品上映)。会社の近くなので、社用で外出時にホテル外壁にこのプレートが掲げられたのを発見して思わずスマホで撮影しました。今年もそんな季節になったんやなぁ・・・しみじみ。

ヨーロッパ映画祭の季節は熱燗や焼酎お湯割りが恋しくなる季節、そして猫も丸くなる季節です。



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2013年11月09日

新しい人生のはじめかた(BS録画鑑賞)


   BS録画していた『新しい人生のはじめかた』(ジョエル・ホプキンス監督 2008年制作・2010年2月日本公開)観ました。
これもつい昨年の公開作品のように思えたのですが、もう既に3年半も前のことなのですね。あっという間に時は過ぎます。

遥か昔の『卒業』でのダスティン・ホフマンが、今度は正攻法で(でもやや強引だけど)想い人をさらってゆく物語??

story
   ニューヨークのCM作曲家ハーヴェイ(ダスティン・ホフマン)は、離婚後別居していた娘(リアン・バラバン)の結婚式に出席するためロンドンに飛ぶ。だが何かと疎外感を味わい、仕事が気になる彼は披露宴を辞退して帰国しようとするが、飛行機に乗り遅れてしまう。やけ酒を飲みに入った空港のバーで、ハーヴェイは偶然ケイト(エマ・トンプソン)と出会い・・・。

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                ※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂きました。


※結末に触れる記述をしています。

  こういう出会いと近付き方、何だか好いです。
互いが互いを全く異性として意識していないところから始まる出会い。何度も“そこでサヨナラ”となりそうなのに細い線でつながってゆく二人。

若い男女の恋物語に限らず、出会って直ぐにベッドインという流れが日本人にはどうしても理解し難いなかにあって、本作のもどかしさと純情さは好もしいです。演じる二人、ダスティン・ホフマンとエマ・トンプソンはそういうイメージに合致した俳優さんだな、と。
もう自分の人生はこんなものだと諦めてしまいがちな中高年にとって、優しく「明日」が香ります。


ハーヴェイは仕事もうまくゆかず、実の娘の結婚式では自分ではなく別れた妻の再婚相手が娘とバージンロードを歩くのだという。終始疎外感を味わう彼はぐっと涙を堪えます。
一方のケイトはと言えば、心の壁、想いの殻がとにかく厚く硬い。ハーヴェイの痛手はへヴィーながら自業自得といえる部分もありますが、ケイトの痛手はもっと“どうしようもない”もののように感じられて、ケイトの心の壁を崩すのは一筋縄ではいかないなと思った次第です、私。老いて孤独な母親に辛抱強く向き合い、日々の小さな安らぎの時間(カフェの片隅でワイングラスを傾けながら小説を読んだり)を大切に、安寧を守ることで傷つくことを回避しているケイト。痛いほど分かるなあ。

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だからそんな彼女が「今からでも娘の披露宴に行くべき」とハーヴェイを力強く諭したのには少なからず驚きました。でも「ああ、彼女はきっと、本当はそんなふうに誰かに強く背中を押してもらいたかったのかなぁ・・・」って思いました。
思えばあの時が、ハーヴェイとケイトとが互いの殻に風穴を開けた瞬間でしたね。

何となく別れがたいという自分の気持ちに気付いてからのハーヴェイの行動は果敢でした。
追い続ける様子はやや強引な感じもしましたが、ラストのハーヴェイの言葉には別離を経験した中高年ならではの誠実さが伺えて、ここは一歩引いた穏やかさが光っていたかな。「絶対にうまくゆくよ」とは言わなかったハーヴェイは、代わりに「(うまくゆくよう)努力する」ことを「約束」したのですよね。それに応えるようにヒールを脱ぐケイトがチャーミングでした、とても。
ケイトが新しい人生を始めようとするのと同時に、ケイトの母親にも「違うあした」が訪れる予感・・・エンドロール中の挿入シーンをお見逃しなく。

深まる秋に、ちょっと心が豊かになる一作でした。


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  劇中、アメリカ人とイギリス人の気質の違いに言及するシーンがありましたが、興味深かったです。イギリス人の閉鎖的な気質が柔らかく開放的なものに変わっていった一因が元プリンセス・ダイアナの死にあったという台詞には「なるほど、そういうものなのかぁ」という驚きも。
日本人はどうなのでしょう。イギリス人に負けず劣らず閉鎖的だとは思いますが。だからお酒の力を借りてちょっと心の閉じ紐を解くのかな。

某日の定例・女三人会の乾杯の画。Nちゃんチョイスのこの白ワイン、美味しかった、ありがとう。
三人とも、心を開放するひと時。 開放し過ぎて記憶まで飛んでイスタンブールでした。(・・・古い。)




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2013年11月04日

「シェルター」(by 田口ランディ)、そして酒舛のこと


 「本」のこと。

 友人Mriちゃんが貸してくれていた『RURIKO』(林真理子著、角川文庫)を少し前に読み終えまして(Mriちゃん、ありがとう。これって何処まで実話なの!?っていう、実名で有名人がバンバン登場する物語でした。一気に読了。)、いま通勤電車で読んでいるのは田口ランディ著『ドリームタイム』(文春文庫)です。
ランディさんの本は殆ど読んでいる積もりでしたが、本作を手に取ったのは初めてでした。(知らないことを知らないだけで、実は知らないことは山ほどあるんですね。)

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不思議で切ない、ちょっと怖かったりもする、そんな13篇の物語が収められた短編集です。

面白いです。もう少しで読了です。
その中の一篇、『シェルター』という物語が特に“気になる一作”でしたのでちょっとご紹介したいと思います。

 
  友人女性のマンションに集まってダラダラとお酒を飲んでいる数人の男女の様子で幕を開けます。座興に一人の女性が持ちだした「シェルター」という名のゲーム。
「ついに第三次世界大戦が勃発して世界中の核保有国が一斉に核のボタンを押そうかという大変な事態になる。地球は放射能汚染で壊滅状態になることが予想される中、秘密裏に組織されていた人類救済委員会とやらが世界各地に核シェルターを作っていたらしく、日本にも某地にそのシェルターが存在することが分かった。定員7名のシェルターに集まった10人の人間。さあ、この10人の中から人類の未来を託すための7人を選んで下さい」というもの。
■国会議員
■国会議員の妻(妊娠している)
■元暴走族のバーテンダー
■元アル中の社会科教師
■牧師
■少女(知的障害を持っている)  (※いずれの表記も文庫本収録のママで転載。)
■看護婦長(心臓が悪い)
■警官(銃を持っている)
■女子短大生
■中年女流作家       
「中年女流作家」というのが入っているのは、語り手となっている「私(主人公)」の職業が作家で、まさしくランディさん自身をモデルにした物語だからだと思います。そして早々に「中年女流作家」は「7人」からは除外されてしまいます。そこで彼女は、ならば現実とは違った結末の物語を書いてやろうとするのですが・・・。


「七人を選ぶってことは、三人を見殺しにするってことでしょう?」などという容赦ない台詞も出てきますが、7人を選ぶ際の各人の価値判断があぶり出されてきて、私ならどう選ぶか考えていたら7人を選抜すること自体が恐ろしくなってきました。
そもそも、誰かの価値判断が絶対的なものであるはずはなく、3人を見捨てて7人を救ったその先に未来があるとも思えず・・・。まあこの物語は単に選抜の是非を問う物語ではないのですけれど。

物語は「現実」と「女流作家が書く物語の世界」とが交錯してゆき、あっという間に(短編なのだから当然ですが)結末を迎えます。この結末にはランディさんの「祈り」というか「救済」が見えた気がします。しばしの余韻に浸った一篇でした。


「アルコール依存症傾向の中年女性(薄給の会社員)」とかだったら全員一致で真っ先に外されるでしょうね、きっと。・・・といういつもの自虐ネタの後は酒場レポートです。

拙ブログ・10月10日付記事の最後の方に書かせて頂いた「友人が始めた立呑みのお店」ですが、、、どうやら口コミで新規のお客様が来て下さったり、リピーターさんも出来ているとか。嬉しいことです。

店名も場所も露出OKとのことですので記させて頂きます。
阪神電車の杭瀬駅、杭瀬商店街入ってすぐの「酒舛(さけます)」さんです。
藍色の暖簾がイイ感じです。

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「酒呑みが少ないお小遣いでも呑めるお店」をコンセプトにしている(泣ける)だけあって、アルコールやおつまみはどれもお安く、良心的に頑張って下さってるのが分かる“盛り”です。
店内には本棚もあって文庫本も並んでます。自由に読めるみたいですが、某作家さんの小説がシリーズのようにズラリと並んでいる隅っこに春樹さまの小説が二冊ほど申し訳なさそうに置かれているのには別の意味で泣けます。いえいえ、ご店主(友人)も春樹小説は結構読みこんでいる人ですからきっと他の春樹本は自宅に大事に取ってあるのだと推察(^^)。

地酒もあります。
名物は自家製の煮豚と煮玉子ですが、これは毎日あるとは限らないようです(あればお薦めです)。カウンターには缶詰やカワキモノ類も並べられてて駄菓子屋さんに来たみたいなワクワク感も。


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酒場にはいろんな人が集います。
程度は違えど皆“酔いびと”です。私も含めていろんな酔っ払いがいて、悲喜こもごもがあり、その人の人生が見える瞬間もあったり。で、この酒舛さんでもちょっとそういうのに出会ったりすると、ハラハラしつつも「酒場にドラマあり、やなぁ・・・」と思います。しみじみとしたドラマに出会いに、またお伺いしますね。
独りで大変でしょうけれど頑張って自分色のお店にしてください。酒舛さん、火曜定休です。






posted by ぺろんぱ at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記