2014年09月15日

秋の一日、という時間


秋の風が吹いていますね。

定期的に訪問している某所にはいつも何かしら手作りの装飾品が飾られています。

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これ、手で触るまで生花のアレンジだとばかり思っていたのですが、花びらに触れてみたら造花でした。でもとても綺麗。小さくて可憐な感じが素敵です。生花は花粉などにアレルギーを持つ人がいらっしゃるから造花の方が安心安全のようです。
柔らかな秋の陽が射しこむ明るい部屋でこの花たちを見ていると心も柔らかくなっていきます。

さて、また今回も映画鑑賞のレヴューが挙げられず仕舞いという体たらく。
代わってここのところの読書記録をちょっとだけ。

■前記事の流れで先ずは『村上春樹、河合隼雄に会いにゆく』を再読。

河合氏の『無意識の構造』を読み終えた後でしたので、初読時以上に面白く、一つ一つの言葉が沁みていくように読めました。

■とあるエッセイに出会う

『村上春樹、河合隼雄に会いにゆく』の中の記述から『心臓を貫かれて』(マイケル・ギルモア著 村上春樹訳)の再読にとりかかりましたが、途中で何故かいきなりの千原ジュニアさんのエッセイ『うたがいの神様』(千原ジュニア著、幻冬舎よしもと文庫)を併読することに。
某新聞のコラムニストさんがこの本の中に書かれていた一節に触れておられて興味を持ったのでした。その一節とは「頭の中がきたない人が書いた文章は新聞なんかを読んでいても直ぐ分る」という意味のもの。ここでの「頭の中がきたない」というのは「整理されていない」という意味です。つまり、想い出や記憶(ジュニアさんの場合は「ネタ」になるエピソードなんかも)の引き出しがきっちり整理されていない、という意味です。ふ〜ん、なるほど、と。
読んでみて、私は千原ジュニアという人を見る目が随分変わりました。すべてに賛同ではないですが、ここまで持論を正々堂々と打ち出せる彼に好感が持てて小気味よかったです。この人は優しい人なんだろうなぁと感じたことも。

■次は『14歳』(千原ジュニア著 講談社)を

これはもうジュニアさん繋がりで。彼が初めて書いた自伝小説で、引きこもっていた頃とそこから抜け出すに至った出来事が綴られています。小説といっても詩のような文体で瑞々しい印象を受けます。各章のトビラに描かれている挿絵もジュニアさんによるものです。
彼は幼くして自らの「特別性」を強く感じていたのだと思います。自分は他と違って何かを成す(或いは成すべき)人間なのだという自負が強かったように思えます。だから引きこもっている身でありながら彼の中に私は闘争心を凄く感じました。けれど、おそらく14歳という器が彼には小さ過ぎて、それがとても苦しかったのではないかな。繰り返し描かれている「スナアラシ」と「虫たち」は彼に寄り添う友でもあり、彼を暗闇の世界に引きづり込もうとする敵、いや、影の自分でもあったのかな。
家族、とりわけお兄さん(千原靖史さん)の存在は大きいです。ジュニアさん、貴方の人生で闘う貴方だけの武器が見つかってよかったね。

読んでいて、『うたがいの神様』に「パソコンのある時代に14歳を迎えていたら、もしかしたら僕は一生あの部屋(引きこもっていた部屋)を出れなかったかもしれない。ネットでは引きこもったままでいくらでも外の世界と繋がれるから。」と書かれていたことが思い出されて一瞬背筋がゾクッとしました。文明の功と罪はこんな小さなところにもあるんだなって。

■そして『ピンクの神様』(魚住直子著、講談社文庫)も

『うたがいの神様』とタイトルが神様つながりなのは全くの偶然です。あらゆるシーンでの女性同士の人間関係が綴られた短編7篇。
リアルな題材がとてもリアルに(同性の目線で等身大に)描かれていて、読んでいてあまりいい気持はしなかったのは確かですがどの物語も最後に希望が見出されていてそこは救われました。読んでいて「神様は(結局は)自分自身の心の中にある」という言葉に思い至りました。

■今は『空港にて』(村上龍著 文春文庫)を現在進行形で

8篇の短編から成る一冊。初刊の単行本のタイトルは『どこにでもある場所とどこにもいないわたし』で、このタイトルこそが本書の内容を実に絶妙に表現しています。文庫化にあたって『空港にて』に改題されたそうですが、元のタイトルがとてもしっくりくるのでどうしてかなぁ、と。しかし「空港にて」は本書に収められている短編の一篇のタイトルで、10年ほど前の村上龍自身による言葉で「(30年以上に及ぶ作家生活で)最高の短篇を書いた」という作品であるらしく、思い入れが深かったということでしょう。
とにかくこの短編集、物語と呼んで良いのかどうか、、、それぞれの場所でのそれぞれの「凝縮された一瞬の時」が無限大な広がりで描かれていてとても不思議な感覚に陥ります。「空港にて」の一篇は本書の最終話として収められているので、それに出会うのはもう少し後になります。楽しみです。

本書読了後は春樹さんならぬ龍さんの世界を追って行くのもいいなぁと今思っています。


さて、読書記録のあとはアルコール記録も忘れず挙げておきます。
「シネマで乾杯!」は今や「読書で乾杯!」の様相ですからせめて乾杯の画だけは残しておきますね。

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こちらもかなり久々に訪れた、兵庫県内の地酒約300余アイテムを有料試飲できる試(こころみ)さん。
原酒セット(550円也)をオーダー。空腹時に呑む濃いお酒は美味しいです。
「鳳鳴本醸造生詰原酒(アルコール度数21度)」と「夫婦杉本醸造原酒(18.5度)」と、酒肴は子持ちホタテサラダです。好みの盃を自分のために傾ける至福の時。
滞在時間20分の独りサク呑み、楽しゅうございました。勿論、自宅に帰ってディープ呑みです。

皆さま、どうぞ佳い秋を。



posted by ぺろんぱ at 09:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記