2015年01月15日

真夜中の虹 (久々の再鑑賞)


2015年。

年末から年始の先日迄で、春樹小説と龍小説から離れていろんなジャンル(アンデルセンの童話から仏教心理学の新書まで)の数冊の書を読み、少し空いた(おもに就寝前の)時間でカウリスマキ映画を幾つか再鑑賞しました。

何度も観ているのですが観る度に新しい発見もあり、展開が分かってるから途中で眠ることもできるのに結局面白くて最後まで観切ってしまう、カウリスマキ映画は「不思議の国」です。
今回ここに挙げる『真夜中の虹』(1988年制作)は、カウリスマキ映画の「MY BEST 5」には入らないものの、「BEST 8」には絶対入れたい作品です。

story
 フィンランドの北の果て、ラップランド。炭鉱の閉山で失業したカスリネン(トゥロ・パヤラ)に真白なキャデラックの鍵を託し、父は自殺する。南を目指すロング・ドライヴの始まり。ヘルシンキに向かう途中、二人組の強盗に有り金全部奪われ、仕方無く日雇い仕事に出たその帰り、駐車違反の切符切りのイルメリ(スサンナ・ハーヴィスト)と出会う・・・。

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               ※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂きました。

南を目指すカスリネン。
やっぱり太陽の明るさと空気の暖かさは希望をもたらせてくれるのでしょうか。
ラップランドを出てからは結構苛酷な旅であり、海を渡ってその向こうにあるものもきっといいことばっかりじゃないと思う(むしろいいことなんてないのじゃないかと思える)道行きですが、それでも向こう側へ渡らずにはいられない、希望を持っている自分を信じていないと死んでしまうかもしれない(実際父親は自殺しちゃったのだし)、泣いちゃうくらいに哀しい男の物語ですよね。

泣いちゃうくらいに哀しいのですが、やっぱりそこはカウリスマキ作品で、そこはかとなく可笑しみも漂うのです。
銀行強盗の一連のシーンなんてコメディです。考えてみればカスリネンはかなり天然な気質に見えます。ヘンな自信と思い込みの激しさもあって、実はカスリネンは「南」で生きるべき人間なのかもしれません。彼は「何かと悲観しがちな楽観主義者」とも言えるのかな。ああ、そうか、だから悲観的でしかなかったイルメリや刑務所で出会ったミッコネン(マッティ・ペロンパー!!)が彼に惹かれていったのだわ。

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シンプルでドライ。
カウリスマキ監督の作風は相変わらずそんな感じがします。
でもちょっとしたシーン、ワンショットに優しさが溢れていて、たとえ展開に不要なシーンでも大切に撮られていて妙に心に残るのです。
今作では脱獄の際に殴って気を失った刑務官にそっと枕を添えてやるシーンとか、途方に暮れたカスリネンが車の後部シートで小さなオルゴールを回すシーンとか、とにかく愛おしいキラキラがあちこちに散りばめられています。

友人役のマッティ・ペロンパーは本作でもやっぱりイイですよ〜。
それからイルメリの息子役の男の子も。終盤の某シーンで彼がイルメリに「必ず電話して」と告げるところ、切羽詰まった状況下で母親を信じてすがる幼子の切なさが痛いほど伝わってくるのでした。

本当に罪を犯してしまったカスリネンが残念で悔しい。ミッコネンが海を渡れなかったのはそれ以上に悔しい。
だけど、と言うか、だから、真夜中の虹のその向こうに本当の夜明けが来るといい、カスリネンたちに。


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寒い時のジンもオツなものです。アンドレというかなり久々に訪れたカジュアルなBARで、滞在時間40分のサク乾杯です。
今年も呑みます、いえ、呑みたいです。 どうか心穏やかに呑める一年でありますように。ぴかぴか(新しい)



posted by ぺろんぱ at 19:29| Comment(10) | TrackBack(0) | 日記