2019年10月24日

おしえて!ドクター・ルース     彼女なりのサバイバル術

 
 少し状況が落ち着いてきたので久々に映画館に足を運びました。
シネリーブル(神戸)で終映間近だったドキュメンタリー映画『おしえて!ドクター・ルース』(ライアン・ホワイト監督)を観てきました。

★こんなお話★
 ホロコーストの孤児、元スナイパー、シングルマザー、3度の結婚。
時代に翻弄された、米国で最も有名な90歳のセックス・セラピストであるドクター・ルースの波乱万丈の人生を描いたドキュメンタリー。     ※映画情報サイトより


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 生きた、実在の人の、その言葉はやはり大きい。

1930年代、ヒトラーの台頭。
激動の時代を生き抜き、常に「自分にできること」「自分がしたいこと」に忠実に、そして果敢に生きてきた人の言葉なら尚更に。

様々な人々と出会う中、自分の生死をも分ける力を持つ人々もいたわけですからルースさんは自ずと人を見極める鋭さを持っていったのかな。
父親を連行しにやって来たゲシュタポや、ドイツから逃れたスイス・ハイデンでの寄宿舎の管理人、それらへの観察眼に冷静な鋭感を見る思いでした。そういう感覚はきっと後の彼女のセラピー活動に活かされていたと思います。
「ノーマルという言葉がきらい」ときっぱりと言い放てるのも、それだけ辛苦を舐めて強さをまとって来たからなのでしょう。

思えば父親が一早く世情を察知してルースさんをスイスへ逃した事が彼女の命を救ったわけで…結果として家族を亡くした彼女の辛さを思うと苦しいですね。


彼女の幼少期から青春期がアニメーションで描かれていた事は、残存の写真やらナレーションだけでつなぐのではなくて新鮮ですごく良かったです。
ルースさんの、(苦労はあったけれど)とてもチャーミングな人間性が温もりをもって伝わってきましたから。

とにかく明るい。
全てに前向き。

どんなに違った環境の、どんなに違った性嗜好を持つ人々に対しても、常にその人たちの“人生の指針”をも示してくれるように寄り添うように温かく、且つ率直にダイレクトに回答を出してくれるルースさん。

映像は捉えていました。
どんなにその場がジョークで盛り上がっている時でも、彼女への相談が為される時に彼女の顔が一瞬とても厳しい表情になる事。緊張が彼女の中に走ることが分かるのです。
凄く真摯に相談の内容と向き合おうとするルースさんを感じました。


LGBTQに対する様々な偏見と差別の問題については、「その人の人生に敬意を持てばいい(それは無くなる)」という言葉には深く心を動かされました。
どんな人にも生きてきた日々(人生)があるという、当たり前だけど大切な事実を忘れるなということなのですね。


  でも本当は「苦しみ」がルースさんの体内に深く残り続けているのだということも

とにかく明るい彼女だけど、映画の終盤にホロコーストで家族を亡くした悲しい思い出について問われた時、口を真一文字に結んでぐっと涙をこらえる表情で言ったのが「それについては多くを語りたくない。語っても…誰も救ってはくれないから。」という言葉でした。
あんなに多くの人々を救っているルースさんなのに…。彼女の中で過去は決して過去ではないのだなぁ、と。
この言葉が実は一番深く心に残った私です。

「予定のない時もとにかく忙しく過ごす」
「常に前に進み続けることで心を保っている、それが私のサバイバル術だ」

深い苦しみが残り続けているからこそ“心を保つ”ためにルースさんは頑張っているんだなあーって思いました。

とても及ばないけど、私も私なりに頑張っていかないとなぁ。



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呑める時にはしっかり呑んで。 明日への力となりますように・・・。



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時には空を見上げて、そして地を見て、風を感じてみる。




posted by ぺろんぱ at 20:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記