2020年01月25日

パラサイト 半地下の家族     その日までどうぞお元気で…


シネリーブルで 『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)観ました。

カンヌでパルムドールを取った映画なのですが、やはり受賞の力は大きいですね、いつもは空いているシネリーブル神戸が珍しくお客さんで溢れていました。

シアター前のポン・ジュノ監督直々メッセージで「本作を誰かに伝える際は思いやりのあるネタバレ回避を!」とありました。なので観に行かれる方は読まないでくださいね、そしてご鑑賞後に再訪下されば嬉しく思います^^。


パラサイト チラシ - コピー.JPG

Story
   半地下住宅に住むキム一家は全員失業中で、日々の暮らしに困窮していた。ある日、たまたま長男のギウ(チェ・ウシク)が家庭教師の面接のためIT企業のCEOを務めるパク氏の豪邸を訪ね採用が決まる。兄に続いて妹のギジョン(パク・ソダム)もその家に足を踏み入れるが・・・。
               ※映画情報サイトより転載


 チラシで謳われていた「エンターテインメント!」という表現はしっくりきませんが、凄い作品だと感じたのは確かでした。
途中で何となく先が見えるようにもなった途端、予想もしなかった展開が幕を開けます。
この瞬間が−怖い−です。

前半は格差(の激し過ぎる)社会の上下が時にコミカルに時にブラックに描かれ、後半から終盤はそれが一気にドーンと戦慄の世界まで落とし込まれていました。
もしかしたら笑えたかもしれないシーンでももう笑えるシチュエーションではなくなります。
とにかく、とんでもないことが起きてしまうという予感のようなものが私の中で徐々に形を成していく感じでした。

幾つかの台詞が深長。
 「ただここがラクなんだ、ずっと住まわせてくれ」
 「計画すれば人生は上手くいかない、絶対失敗しない計画は 無計画 だ」
 「僕は似合ってる?ここに・・・」
 「石が僕にへばりつく、着いてくるんです」
下層に生きる宿命みたいなものがキムの家族にまとわりついているようで。


コミカルな演出であっても前半はキム一家のやり口には嫌悪を抱くしかなかったですが、彼ら自身がそこに息苦しさを覚え始めたあたりから彼らが救われる道を私も探していたような気がします。
時既に遅し、だったとしても。

狂気に満ちた凄惨なシーンを乗り越えたところに用意されたもう一つの物語が心を突きました。
その物語が真実になる時は果たしてくるのでしょうか・・・。



熱燗こがんこ - コピー.jpg

熱燗でほっこりしましょう。
温かい食事、温かい飲み物は大事です。陽の光の入る部屋で暮らすってことも。

本作を振り返って今じんわり憂うのは、結果的に3つの家族から無自覚に傷つけられ損なわれてしまった幼いダソンの未来です。  涙。


posted by ぺろんぱ at 20:01| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月20日

フォード VS フェラーリ     ケン・マイルズの涙


『ある女優の不在』に続いての鑑賞は趣きを変えてのこちら。
アースシネマズで『フォード VS フェラーリ』 (ジェームズ・マンゴールド監督)を観ました。暫く長尺の映画を観ていなかったので「153分」の本作に怯みもしたのですが、そこは観たいという初志貫徹で臨みました。

結果、153分なんて一気に過ぎていきました!
のっけから路面に吸い付くような走り、7000、8000回転のエンジンのうねり音、そこから怒涛のドラマへひたすら飲み込まれていく感じでした。


フォードVS チラシ - コピー.JPG

Story
マット・デイモンとクリスチャン・ベールが初共演でダブル主演を務め、1966年のル・マン24時間耐久レースで絶対王者フェラーリに挑んだフォードの男たちを描いたドラマ。
ル・マンでの勝利を目指すフォード・モーター社から依頼を受けた、元レーサーのカーデザイナー、キャロル・シェルビー(マット・デイモン)は、常勝チームのフェラーリ社に勝つため、フェラーリを超える新しい車の開発と優秀なドライバーの獲得を必要としていた。シェルビーは、破天荒なイギリス人レーサーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)に目をつけ、一部上層部からの反発を受けながらもマイルズをチームに引き入れる。限られた資金と時間の中、シェルビーとマイルズは力を合わせて数々の困難を乗り越えていくが……。 ※映画情報サイトより転載


文句なしの私にとっては快作でした。
レーシングカーファンでなくても人間ドラマとして充分に見応えがありました。

企業間のプライドをかけた闘いも面白かったですがフォード内部でのそれも。机上論をぶつ側と現場にいる側との闘いがあり、しかし「ワンチーム」になる結束も不可欠で。スポンサーがついてこそのレースであり有能なドライバーがいてこそのレース勝利ですからね・・・。
現場の人間同士の意地とプライドのぶつかり合いもあり、当然ながらそこには大きな信頼も必須で、この相互の「信頼」がとても丁寧に描かれていたことが良かったです。

そして「家族愛」も。
ケン・マイルズがただの偏屈者でないことがよく分かりましたし、この家族との愛があったからこそのケンの生き様だったのだなぁって思えました。ラストシークエンスのじんわりとした感動に繋がったなぁ。


F VS F.wps 2 - コピー.jpg
                    ※映画情報サイトより転載の画像です


これってどこまでが事実なんでしょうか・・・いろいろあったみたいですけれど。
レース結果はここには敢えて書きません。
ただ、シェルビーのあの決意が凄いです!
ケンのあの決意は更に凄いです!
全てが静止しした“無の瞬間”のようなあのシーン。
ケンの頬をつたうあの涙はきっと彼にしか流し得ないもの、彼にしか分かりえないものだったろうと思いました。ぴかぴか(新しい)

エンディングで映された本物の彼らのショット。
ああクリスチャン・ベイルって本当に素晴らしい俳優さんなのだなぁって感じた瞬間でした。本物のケン・マイルズが憑依したかのような彼(クリスチャン・ベイル)でした。


ちょこっと追記
 ■「最高のエンジニアと最高のドライバーを集めろ。レースカーを造る。」
   フォード2世のこの言葉には一瞬ゾクッと鳥肌が立ちました
 ■ストップウォッチ事件に六角ナット事件。あれってやっちゃイケナイ事なのですよね??^^;
 ■シェルビー・チームのあのエンジニア二人、良き存在。演じた役者さんも魅力的でした。



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雁木 VS. 篠峯。 無濾過生原酒対決の画です。某店にて。

アースシネマズではメジャー作品情報が入ります(^^)。
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』、ダニエル・クレイグファンならこれ絶対観に行かないと。これで007シリーズを卒業するんですよね・・・クレイグさん。



posted by ぺろんぱ at 19:25| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月17日

ある女優の不在     風に舞う白いチャドル    


  シネリーブルで 『ある女優の不在』(ジャファル・パナヒ監督)観ました。
チラシは持っていたのですが実はちゃんと読んでいなくて殆ど予備知識なしで鑑賞に臨みました。

ドキュメンタリータッチですがフィクション、しかし描かれている内容(イランの、しかも未だ辺境の地に生きる女性たちの苦悩)は事実なのですよね。

イランという国の、未だ深い闇のようなものに触れて、しかしそこで暮らす人々(とりわけ熟年の男性たち)にとってはそれは闇ですらない当たり前のことなのだということも知って、改めて遠い異国に生きる同性たちに思いを馳せるのでした。

                        ある女優の チラシ - コピー.JPG

Story
  イランの人気女優ベーナーズ・ジャファリのもとに、見知らぬ少女から動画メッセージが届く。その少女マルズィエは女優を目指して芸術大学に合格したが、家族の裏切りによって夢を砕かれ自殺を決意。動画は彼女が首にロープをかけ、カメラが地面に落下したところで途切れていた。そのあまりにも深刻な内容に衝撃を受けたジャファリは、友人である映画監督ジャファル・パナヒが運転する車でマルズィエが住むイラン北西部の村を訪れる。ジャファリとパナヒは現地で調査を進めるうち、イラン革命後に演じることを禁じられた往年のスター女優シャールザードにまつわる悲劇的な真実にたどり着く。                          ※映画情報サイトより転載



何となくイメージ的にアッバス・キアロスタミ監督の世界を想起させる作品なのでしたが、イラン映画だからかなぁと思っていたらなんと、このパナヒ監督が学んだ映画の師がキアロスタミ監督だったそうです。小さな嬉しい驚きでした。


原題は「3 faces」ですが「ある女優の不在」は上手く練られた邦題だと思いました。
時代を違える3人の女優たちの、それぞれの“不在”の時が描かれています。
女優として生きたいという未来の夢を奪われた少女マルズィエ
現在に有名女優として名を馳せるジャファリ
スターでありながらイラン革命により女優人生を断たれた、慟哭の過去を持つシェールザード
3人の運命と三者三様の“不在”の意味が独特の長閑さを持つ村の空気の中で静かに交錯していきます。

村のいたるところに在る「長く曲がりくねった道」がまるで彼女たちの人生を象徴しているかのようで、自分の墓を掘って横たわる老女とか男性の性の儀式にまつわる話やシャールザードによる詩の朗読など、本作は観念的な側面を持つ作品であると至るところで感じることになりました。

権力の移行により自身の将来を断たれても一人の女性として尊厳をもって生きることを選んだシャールザードですが、本作の大きな核となっている彼女の姿がほんの一瞬、後ろ姿しか登場しないというのもミステリアスな感じでした。

三人の女性がどこへ向かうのか。
言葉では語られず終わりますが、個の信念を貫きしなやかに生きていこうという決意が希望の風と共に感じられたラストでした。


ジャファル・パナヒ監督。
彼自身、時の政府に抗う映画を作ったことで文化的活動を禁止される命令を受けながら不屈の姿勢を貫いている映画監督だそうです。本作を観るまで知りませんでした、勉強になりました。イラン革命のことも実はよく分かっていません、少し調べてみたいです。



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劇中には紅茶を飲むシーンがよく出てきました。生活に馴染んだ紅茶文化の国なのでしょうね、日が暮れた夜にも紅茶での語らいの場が映されていましたねー。
掲出画は紅茶だけでは夜を越せない呑んべえ私の「今年初のジントニック」の画です。


あの日から25年の今日。
終わったこともあり、始まることもあると思います。
祈りたいです。



posted by ぺろんぱ at 21:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月13日

138億光年 宇宙の旅・PART T(プラネタリウム編)     勘違いで「旅」は途上です


明石天文科学館にプラネタリウム『138億光年 宇宙の旅』を観に行きました。

138億光年は地球から宇宙の果て(と現在認識されているところ)までの距離です。絶対的にそうとは言えないようですが現時点での「説」となっています。
ピカっと光ったその光が地球に届くのに一年を要する距離が一光年。それの138億倍。何だか「気が遠のく」という感覚すら遥かに超えています。。。


              新年のプラネタリウム - コピー.jpg  138億光年の - コピー.jpg


  昨年から楽しみにしていた投影プログラムでしたが、、、これって明石文化博物館とのコラボ企画で「文化博物館で開催の写真展」の方がメインだったみたいです。私の勘違いでした。
今回のプラネタリウム上映もかなり昔に大阪市立科学館で観たオムニマックスみたいなのを期待していたのですが、こちらで通常観られるプラネタリウムプログラムの後半部にNASA提供の宇宙画像が幾つか組み込まれたもので、静止画像が殆どでした。

なので「宇宙の旅」は未だ途上ってことで置いておいて、プラネタリウムで過ごす時間(50分)はやはりとても心地よいものなのです。解説スタッフさんの柔らかく優しい声にも癒されます。
先月の鑑賞からひと月しか経っていないので<冬の星座>のプログラムは同じ。<冬の大三角>を形成する一つ、シリウスが夜空に美しく輝く季節です。オリオン座の少し下に見える星です。

日中に青空を見上げることはよくありますが、夜空をじっくり見上げることってなかなか無くて。
ちょっと寒いかもしれませんが、好きなお酒を片手に屋外でゆっくり夜空を眺めて呑んでみたいですねー。
鉄道ファンにも撮り鉄や乗り鉄に加えて六角精児さんの「呑み鉄」っていうのもあるので、天文ファンにも「呑み天」みたいのがあってもいいですよね。(天文ファンの方々、すみません)


                      日本最古の現役投影機 - コピー.jpg

あ、そうそう。こちらの投影機は現役の大型投影機としては日本最古で、世界でも5番目に古いものでそうですよ。
なかなか良い風情を感じませんか。



                      つなぎや生B - コピー.jpg

勉強会のあとはまたしても“反省会と称する”独り呑みでした。
先ずはビールで反省し、その後は地酒のぬる燗で反省を更に深めました。

文化博物館の写真展の方にも足を運んでこの旅を完遂させたいところです。


posted by ぺろんぱ at 20:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月09日

誰もが愛しいチャンピオン     チャンピオンの意味


シネリーブルで『だれもが愛しいチャンピオン』(ハビエル・フェセル監督)を観ました。
『私の小さなお葬式』と迷ってタイムテーブルの都合上こちらを選択しました。どちらの映画を選んでもそうなったかもしれませんが年初の作品としてはあたたかい気持ちに包まれることができましたよ。

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Story
   プロバスケットボールのコーチ、マルコ(ハビエル・グティエレス)は、負けることが大嫌いなアラフォー男。ところが短気な性格が災いして問題を起こし、チームを解雇されてしまう。そんななか、飲酒運転事故を起こしたマルコは、裁判所から社会奉仕活動として、知的障がい者たちのバスケットボール・チーム“アミーゴス”の指導を命じられる。アミーゴスのメンバーたちの自由過ぎる言動に、はじめは困惑するマルコだったが、彼らの純粋さや情熱、豊かなユーモアに触れながら苦楽を共にするうちに、マルコの心に変化が生じ始める……。                            ※映画情報サイトより転載



重く且つデリケートなテーマながら本作は一貫して“幸せの在り方”に目を向けていたと感じます。

途中もっとシリアスな描き方をしようと思えばできた場面(例えば試合に向かうバスに乗り合わせたメンバーと他の客との揉め事とか)でも、悲しみや怒りより出来事のユーモラスな視点に則して描いていました。
そういう作品のスタンスだから身構えることなく委ねることができて、結果的に作品の最も意図する「チームになる」「家族になる」というテーマをダイレクトに受け止めることができたのではないかと思いました。
チーム名の<アミーゴス>っていいですよね。シンプルでこの映画の世界をそのものズバリに表していました。

彼らの生活には勿論支障もあるわけで、そういう日常の「負」の部分と抱かれがちな暗澹たる思いに焦点を当てて描けば当然ながら全く違ったトーンの作品になったはずです。本作はそこを超えた彼ら自身の「正」の部分に則して見せていて、それが潔くて小気味よい感じでした。
それぞれに大切なたった一つの人生を生きている彼らの、その日常をさりげなく垣間見せた演出もよかったです。

メンバーは全員オーディションを受けた、実際にそれぞれの障がいと向き合ってる人達です。
皆さん凄い芸達者ぶりでした、、、記憶力抜群のインテリのマリン(彼の吐く台詞がイイ)やバスケの練習を楽しみにひたすらレストランでお皿洗いに頑張るベニート、キュートでした。



                         タツリキ新酒 - コピー.jpg

タツリキ・アンテナショップでの有料試飲です。
今冬の新酒です。豊潤旨口、しかしキリリと冴える吞み口。新酒ならではの含み香。
好いお酒に今年もたくさん出会いたいと思います。



posted by ぺろんぱ at 19:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月03日

2019年 を振り返って


2020年が明けましたね。
今年もどうぞ宜しくお願い致します。

2020空 - コピー.jpg


昨年末の記事でも書きましたが昨年3月15日に4年ぶりに拙ブログを再開させて頂きました。
秋頃にちょっとハプニングもあったりで劇場で鑑賞できた映画は36本どまりでした。
鑑賞数も少なく観に行きたくても見逃してしまった作品も多いので、「マイベスト」というより「もう一回観たいなぁ」という想いが“より強い”作品を挙げてみました。

↓ 鑑賞時系列に記します。

■『ウトヤ島、7月22日』
 昨年3本目の劇場鑑賞作でブログを再開するキッカケになった作品です。
 とにかく衝撃的で結局今も心を掴まれてしまっています。

■『グリーンブック』
 これはもう、最後にドン・シャーリーが孤独の殻を破る勇気が持てたことと、トニーの「あの台詞」につきます。

■『荒野にて』
 生きることの過酷さの裏で常にある大自然の美しさ。
 主演のチャーリ・プラマーの鮮烈な輝きももう一回観たいです。

■『希望の灯り』
 静かで深い余韻、独特の空気感。映像的にもとても惹かれる世界でした。

■『幸福なラザロ』
 不思議な映画でした。「作り方、見せ方」があるイミ難しい作品だったように思います。
 私には良い残り方になりました。

■『アマンダと僕』
 優しい光を感じたラスト。しみじみと心に沁みてくる良い作品でした。

■『シュヴァルの理想宮』
 実話ということに先ずは驚き、清らかで尊いものに触れさせてもらえた気がしました。


別途、劇場鑑賞ではなくDVDで旧作に触れることのできた機会は6回(6作品)でした。
いずれも良作でしたが、私の中では『ラ・ラ・ランド』がダントツで2019年「キング・オブ・旧作」でした。

映画館での新作は勿論のこと旧作品も含め、今年もよい映画に出逢えることのできる一年であれと祈ります。ぴかぴか(新しい)



昨年を振り返ってもう一言付記させて頂きます。
音楽にも癒され元気をもらいました。心と共にいろんな「音」を届けて下さった方々にも深く感謝の想いです。かわいい
 

                          


そして、やっぱり今年も呑みます!


posted by ぺろんぱ at 10:04| Comment(6) | TrackBack(0) | 日記