前回の映画から日が経って、やっぱり映画館で映画が観たくなりました。
当初はノーマークでチラシも持っていなかった本作ですが、『 CODA あいのうた 』(シアン・ヘダー監督)を姫路アースシネマズで鑑賞しました。
ネット上でかなりの高評価のようで、たしかに良質の、総合的に完成度の高い作品かと。
でもそんなことを冷静に分析する以前に、王道ともいえるその展開には素直にハマってしまいました。落涙がマスクに溜まって鑑賞後はマスクを取り替えることになってしまいましたが…。
<story>
2014年製作のフランス映画「エール!」のリメイク。
海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえる。幼い頃から家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが……。 (※映画情報サイトよりの転載です)
「 CODA 」が「 Children Of Deaf Adults 耳の聞こえない両親に育てられた子ども 」の意だということを、恥ずかしながら鑑賞後に知った私です。
‘聾啞者の家族’という点に触れる以前に根本的に心に刺さったのは、‘家族と言えどそれぞれが持つものは、誰かの、何らかの代償(犠牲という言葉にしたくなかったので代償と書きましたが…同じかもしれませんね…)の上に成り立っている生活であり人生であるのだなぁ’ということでした。それは聾啞者家族であること、そうでないこと、に関わらず全ての家族に言えることかと。なので、私自身も自分の家族であったそれぞれに改めて‘守られていたのであるなぁ’と感謝の念を強くしたのでした。家族の愛と葛藤が交錯しつつ最後にはポジティブな感情が華を見せてくれた映画だったと思います。
ルビーの家族を演じた父親役、母親役、兄役、それぞれは聴覚に障害を持つ役者さんのようで、流麗な手話や合間に発せられる息遣い等がとてもリアルで迫力がありました。脚本、台詞という点に於いても、それぞれがそれぞれにルビーに対しての思いを吐露するシーンがあって、それぞれに ‘兄としての’ ‘母としての’ そして ‘父としての’ ルビーへの愛が痛切に感じられるものでした。海辺での兄とのシーンには「あーやっぱりお兄ちゃんなんやなぁ…」とも。監督の、丁寧で優しさの残る描き方でした。
終盤に父親の感覚に立った ある演出 がなされます。
あのシークエンスは、もっと時間が割かれてもよかったのではないかと思われたほど私自身の気付きに改めての驚きを禁じ得ませんでした。
青春映画としても音楽映画としてもそれぞれに印象深かった本作だったかと。思い返せば若さゆえのほろ苦い(そしてほろ甘い)シーンとか、遠い記憶に甦る曲たちとか、いろいろと想いを寄せられた本作だったと思いましたよ。( ex. 青春の光と影、The CLASHの歌うI Fought the Law とか。) 良い映画でした。
前々回(1月25日付)記事で高山なおみさんのドキュメンタリーのことを書きました。
あの後すぐに高山さんのエッセイ『日めくりだより』を図書館で予約していて、やっと順番が回ってきたので読んでいます。
それにしても、、、あー寒い寒い。
夕刻に小雪
