2022年03月20日
あやしい彼女 ( NHK BSP 録画鑑賞 )
録画していた(2月15日 NHK / BSプレミアム放送)映画『 あやしい彼女 』( 水田伸生監督 2016年制作 )を観ました。
前回ブログに挙げた『 ボブという名の猫 』より前の放送でしたが前後して遅れて鑑賞。多部未華子さんも北村匠海さんも気になる若手俳優さんの一人なので必ず観るつもりでしたが、それにしても日が経ってしまいました。でも観れてよかったです、なかなかの良作でした。
< story >
女手一つで娘を育て上げた73歳の瀬山カツ(倍賞美津子)は頑固でおせっかいな性格のため、周りからは敬遠されがち。ある日娘と喧嘩して家を飛び出し、ふと入った写真館で写真を撮り店を出ると20歳のときの若々しい姿のカツ(多部未華子)になっていた。カツはヘアスタイルやファッションを一新し名前も節子に変え、人生を取り戻そうと決意。その後、商店街ののど自慢大会で昭和歌謡を歌ったことから……。 (※映画情報サイトよりの転載です)
何だろう・・・生きて年を取ってゆくって、つまり自分の一生を生き抜くことって、肉体的劣化は否めないけれどそう悪いことでもないんだなー、そんなポジティブな気持ちにさせてくれました。
「私は何度生まれ変わっても寸分たがわず私の人生を生きるよ。」の言葉。
若返って別の人生を歩み始めても自分の核である部分は心にあり続け、節子の中に在るカツとして生きてきた年月の重さを改めて感じたのでした。
表面は書き変えられても大切なもの ー家族を想い守りたいという気持ちー は残り続けるのですね。と言うより、そこが彼女の人生の礎なのですね。
しかし二十歳の女の子にはそれなりの恋も訪れるわけで。
カツが本来の彼女に戻った時の、潔さの陰でにじむ切なさ。
愛しい人(演じるは要潤さん)が節子の失踪の‘何か’に気付いた瞬間の表情が凄く印象深かったです。全てが解ったわけでなくても何かに気付いてくれたのだとしたら、節子としての新たな人生もちゃんと存在していたのだと思えて私は嬉しかったです。
※ライブシーン(映画情報サイトよりの転載です)
本作、韓国映画『 怪しい彼女 』(2014年日本公開)の日本版リメイクらしいですね。
韓国版は観ていませんが、こちらは日本版ならではの昭和歌謡の名曲がたっぷり聴けるので昭和世代の日本人にはこっちの方が良いかも。
カツの孫として登場している北村匠海さんは、元々音楽をやっている人なのでエレキギターを奏でる姿が自然体でとにかくカッコ良かったです。
エンドロールの終り頃で挿入される「見上げてごらん夜の星を」のライブ映像は必見です。
ああでも一番ドキッとしたのはやっぱりラストの野村周平さんの登場の仕方、ですかね。
それまでの酸いも甘いもしょっぱい涙も、全部持って行っちゃった感じです。遥か彼方の地平線まで風を切って走って行ってほしい、ふたりで。
それにしても・・・あの不思議な写真屋の主はいったい何者なのでしょう。
カツの切なる想いが産んだ幻だったのか? でももう一人のあの人にもソレは起こったわけで、そう考えるとあれは懸命に生きてきた‘もう決して若くはない人たち’へ遣わされた神様の使者なのでしょうか。
人生は何が起こるか分かりませんね。
東日本大震災から11年だなぁと思っていたら同時期にかつての被災地にまさかの大きな地震が二つ。改めて自然災害の怖さも感じました。
とにもかくにもあれから11年。元気で前を向けている人が少しずつでも増えていればいいなぁと思っています。
2022年03月06日
ボブという名の猫 幸せのハイタッチ & 劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き2 ( 共に、NHK BSP 録画鑑賞 )
猫の日(2月22日)とその前日(21日)に、NHK BSプレミアムで粋な計らいの2作品を連夜で放送してくれていてどちらも録画していました。
21日には『 ボブという名の猫 幸せのハイタッチ 』( ロジャー・スポティスウッド監督 2016年制作 )、猫の日の22日には『 劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き2 あるがままに、水と大地のネコ家族 』(岩合光昭監督・撮影 2020年制作)が放送されていました。
現在『 ボブという名の猫2 幸せのギフト 』(チャールズ・マーティン・スミス監督)が劇場公開中ですが、私は録画したこの一作目をやっと先日観たところ、です。
『ボブという名の猫』は実話を基に作られた映画で、『 劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き2 … 』は猫たちが主役のドキュメンタリ―映画です。
勿論テーマもアプローチの仕方も全く別物の二作品ですが、どちらもそれはもう猫への愛が溢れていて幸せな気持ちになれました。
< ボブという名の猫 story >
ホームレスのストリートミュージシャンと野良猫の運営の出会いを綴ったノンフィクションノベルを実写映画化。本物の「ボブ」が殆どのシーンでボブ自身を演じている。
ロンドンでプロのミュージシャンを目指すジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)は夢を果たせず薬物に依存、家族にも見放されホームレスとしてどん底の生活を送っていた。そんな彼のもとに迷い込んできた一匹の野良猫。足をケガしていたその猫はボブと命名され、ジェームズはそんなボブを有り金をはたいて看病し…。 (※映画情報サイトよりの転載です)
< 劇場版 世界ネコ歩き2 story >
ミャンマーと北海道の2つの土地を舞台に、流れゆく季節の中で営まれるネコたちの家族愛を描く。ミャンマーのインレー湖では、湖上に建つ小さな高床式家屋で暮らすネコの家族とヒトの家族にカメラを向け、寄り添いともに生きる様子を記録。北海道の牧場では、たくさんの母ネコ、オスネコ、子ネコたちがまっすぐに生きる姿を映し出す。俳優の中村倫也がナレーションを担当。(※映画情報サイトよりの転載です)
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ 』を観て一番に思ったことは、互いが互いの存在を求め手放さなかった事がもたらした力 です。
昨年の12月12日付の拙ブログで 本/『 ぼくのだいじなボブ 』(トム・コーウィン著 )について書いていたのでしたが(あ!あの本に出てくる犬もボブっていう名だ!)、あのボブも「トムと暮らしたい」という明確な、そして切実な意思が感じられたものでした。そしてトムの方にも「ボブと共に生きてゆきたい」という強い想いが。
この映画も同じなのですよね。猫・ボブにもジェームズにも、互いを必要とする強い想いがあったのですね。
絆というのはどちらか一方からの愛、一方からの庇護や依存では成されない、双方で形づくられるものであるのだなぁと、何となくそんなことを感じたのでした。
この映画からは猫・ボブの明確な意思が伝わってきました。そしてそのことがジェームズの心を動かし、彼の人生を大きく変えたのでした。ボブ、サイコーです、主演猫優賞を贈ります。非常に悲しいことに、一昨年、実在のボブは亡くなってしまったそうですね、哀悼。
ラストのサイン会でジェームズのファンとして登場した男性は実在のジェ−ムズさんでしたね、きっと。そう思うと彼がジェームズに発した言葉「僕の人生そのものだ」が心に響きましたし、そのあと直ぐにカメラが捉えたボブも、本物のジェームズを見る とっても優し〜い表情でしたよねー。なんて素敵な演出。
『 劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き2 あるがままに、水と大地のネコ家族 』はとにかく猫たちが愛らしいです。それぞれの猫家族にそれぞれのドラマもちゃんと描かれていて、同じ地で暮らす他の動物たちや周囲の人間家族との共存にも互いの世界を浸食しない自然な関係があって、これはもう 保存版!です。
ミャンマーでの、湖に落ちた仔猫を救おうとする母猫の姿には 岩合さんも語っていらしたけど私も「心が震えました」。時おり岩合さんの語りが挿入されていますが、全編通しての中村倫也さんのナレーションが優しくて心地よかったです。
本物の春がそこまで来ているというのに・・・世界情勢は不穏極まりない。