2022年04月03日

生まれて初めて空をみた セラピー犬<ゆき>誕生物語 ( 本 ) 


先月下旬、ちょっと体調を崩して仕事を一日休んだ翌朝のいつもの出勤路でのこと。
あまり元気なく歩いていたのですが、何やら急にあたり一面が明るい色に染まっている感じに思わず「えっ!?」と声を上げて立ち止まってしまいました。
見上げると周辺の桜の樹々が一斉に開花していて、限りなく白に近い薄桃色の花が辺りを染めて景色を一変させていたのでした。たった一日通らなかっただけでこんなに・・・。
「すごい。咲いたんや。」と小さく独りごちていました。
私としては桜の花には切なく哀しいイメージが付きまとっているのですが、この時ばかりはその命の芽吹きの力にただただ圧倒されました。 ひとつ大きく深呼吸をして再び歩き出した、その一歩は違ったものでした。
桜、今年も咲いてくれてありがとう。

今日は少し前に図書館で借りで読了した本のこと。
『 生まれて初めて空をみた セラピー犬<ゆき>誕生物語 』( ジュリアン出版局 )です。
例によって、他の実用書を借りに行って、その際にふと目に留まって借りた本です(表紙の写真に引かれて)。
ゆき 誕生物語.jpg

<こんな本>
 毎年20〜30万匹が殺処分される捨てられた犬たち。実験犬として収容される犬もあるが実験が終われば生きる道はない。この物語は、施設の中で生まれ外の世界を知らずに育ったある実験犬が助けられセラピードッグとして活躍するまでを描いた物語です。 ※BOOK情報サイトならびに本書 扉 より引用させて頂きました。
  
本の中の言葉を借りればまさに「命のバトン」でした。
大学の実験施設の技術研究員の「たとえ一匹でも救いたい」という思いから始まって日本レスキュー協会やトレーナー、セラピー犬受け入れを決めた老人福祉施設やそこでの新たなトレーナー・・・強い願いが 見えなかった遠くの光を引き寄せたのでした。
たった一匹のみという条件のもとに選ばれた真っ白な雑種犬(後にゆきと命名される)。
これは物語というより、<ゆき>に寄り添い、<ゆき>の閉ざされた心を開き、<ゆき>の体をボロボロの状態から救いあげた、その‘闘い’の日誌でした。

その生い立ちと境遇から人間に心を閉ざし、全ての自由が奪われたケージの中での日々は体を蝕み、加えてゆきには先天性の持病があることも後に判明します。
本の中には何枚かのゆきの写真がありますが、濁りなき目でカメラを見上げるゆきの顔はとても穏やかで、とても可愛い。
しかしその表情になるまでどれほどの苦悩の日々があったことでしょう、救おうとしている人たちにも、ゆき自身にも。

二度、出てくる文章が強く胸を打ちました。
「生まれて以来一人だけの狭い世界で生きてきたゆきにとって、この人は自分にはかけがえのない人なのだと認識させる必要があった。他の人はともかく、この人だけはこの世で自分のことを真剣に考えてくれているのだと気付かせる必要があった。」というくだり(本書p.77)。
「人間に対してゆきが作っていた壁が大きく崩れた時であった。自分のことを真剣に考えてくれるのはこの人だと、ゆきが気付いたのだった。」というくだり(本書 あとがき)。
やはり、何かを変えるのは‘ 一対一の絆 ’なのだと思いました。

 動物実験があって我々人間の今の医学があり、暮らしの安全があります。
全否定も、それをなかったことにすることも、できません。本書にも記されていたことですが、動物たちへの感謝と敬意は忘れてはいけないのだと改めて思います。
そしてかの地では戦闘が続き、多くの人の命が奪われています。
人間の世界はこのように過酷でありながら、我々が気付いていない、或いは見落としているだけで、小さな他の動物たちの世界にも過酷な世界は存在しているのだと、そんなことも感じました。

 ゆきが生まれて初めて空を見上げることができて本当によかった。そして青く美しい空を、一日でも長く見ることのできる‘ゆきのこれから’であって欲しいと願います。


蝶々 - コピー.jpg

白い花に蝶々がとまっているの、分かりますか。小さくて分かりにくいですかね。
ネットで調べてみたら<ツマグロヒョウモン>という種類の蝶々みたいです。

蝶々の世界にも過酷な なんやかや があるんでしょうね、きっと。



posted by ぺろんぱ at 17:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記