2022年05月22日

PANTANAL  岩合光昭写真展

   
  明石市立文化博物館での春季特別展『 岩合光昭写真展 PANTANAL - パンタナール 清流がつむぐ動物たちの大湿原 - 』に行ってきました。

岩合さん曰く「パンタナールはぼくの地球だ」。
そしてこんな言葉も。「パンタナールは 地球で 宇宙だ」。
その地球で宇宙の地で何とたくさんの命が輝いていたことか。一瞬一瞬のシャッターチャンスが、動物たちの力強い営みを在り在りと見せてくれていました。
猫の写真展のイメージが強い岩合さんですが、動物写真家としてのその神髄を改めて感じさせてもらいました。岩合さん、ありがとう。

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<展覧内容>
世界最大級の熱帯湿地、パンタナール。大部分はブラジルに広がり、一部がボリビアとパラグアイにまたがります。そのスケールは日本の本州の広さに匹敵し、ブラジル側の大半が「パンタナール保全地域」として世界遺産に登録されています。そして雨季と乾季でドラマチックな変化を見せるこの世界でも希有な大湿原は、多彩な野生動物が息づく世界屈指の生命の宝庫です。世界的に著名な動物写真家・岩合光昭が、ジャガー、カピバラ、パラグアイカイマンをはじめ、多種多様な生き物たちの生態に肉薄。2mを超える大サイズを含む迫力ある約100点の作品により、清流がつむぐ生命の輝きをご覧いただけます。   ※博物館公式サイトより転載させて頂きました。

本展は写真NGでしたので、立ち止まって見入ってしまった幾つかの作品を 拙い私の文字で記させてもらいますと以下のようになります。

◇水上に大きく飛び跳ねるピラプタンガ
◇まるで宇宙人のような面相のアメリカバク
スミレコンゴウインコの鮮やかなブルー!
◇お菓子のキョロちゃんのモデルとなったオニオオハシ
◇水中で相対するパラグアイカイマンのドアップ!
◇夕日をじっと見つめる鉄のうろこのパラグアイカイマン ← 神々しささえ感じた
◇ヌタ場を作るクチジロベッカリーの群れ
◇愛らしさの極み、オセロット
レア親子の縦一列に並んだ移動は美しく且つ微笑ましく
◇翼を広げたダイサギの見事なまでの美しさ
◇鳥たちの‘魚の捕獲’の瞬間 ← あの一瞬をあんなに鮮明に捉えられるなんて!
◇狙った獲物を一瞬で仕留めるジャガー 
 そして食べるために、自分よりも大きいその獲物を川から崖上まで30分もかけて咥えて引き上げるジャガー
 まさに執念。岩合さんは「畏敬の念」と。
◇動物だけじゃない、美しい日没をとらえた一枚も。  
(勿論この他にもたくさんの作品がありました。)

一瞬の躍動、輝きを捉えるために岩合さんはひたすら「待つ」のです。
会場パネルに岩合さんのこんな言葉がありました。
待つ、という自然観察をする上で最も大切なことを教えられた。小さなボートで、容赦なく照りつける熱帯の太陽、肥沃な大地に生きる何種類もの肌を刺す虫たちに取り囲まれながら、待つことの幸せをかみしめた。」

Wildlifeの輝き。岩合さんの生き方も然り、なのですね。

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 久しぶりに再会したmineちゃんと、過去にも一度写真を挙げたことのあるオープンテラス席のあるカフェで軽くランチ。
話に花が咲いてドリンクを追加オーダー。辛抱たまらず私は生ビールをチョイス、うふふ。

 さてさて、今日はいいお天気晴れでしたね。
自分で「衣替え日和」と決めて 朝からユーミンのCDをガンガンかけて衣替えをしましたが、「埠頭を渡る風」で泣いてしまいました 私。
ユーミンの曲の中では勿論とても好きな一曲ではありましたが個人的に特別な想い出があったものではなく、なのに…音楽の力って凄い。


posted by ぺろんぱ at 21:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2022年05月07日

ツユクサ


シネ・リーブル神戸で『 ツユクサ 』( 平山秀幸監督 )を鑑賞しました。
全く事前にキャッチしていなくて、「そろそろなんかイイ映画観たいなー」とリブ神のサイトを検索して、気負いなくふわーっとした感覚で観れそうだなぁと選びました。
ふわーっと観れて、でも「ちゃんと幸せになる」(劇中の台詞)っていうことについて考えさせられました。

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<story>
  小さな港町で暮らす五十嵐芙美(小林聡美)は、気心の知れた友人たちと他愛のない時間を過ごしたり歳の離れた小さな親友・航平(斎藤汰鷹)と遊びに出かけたりと穏やかな日々を送っていたが、彼女がひとりで暮らしているのにはある哀しい理由があった。ある日芙美は車の運転中に隕石に衝突するという衝撃的な出来事に遭遇し、町に越してきた男性・篠田吾郎(松重豊)とふとしたキッカケで親しくなるが・・・。 (※映画情報サイトよりの転載です)

   人間が隕石に衝突する確率は 1憶分の1 とか。
そんなことが起こったら自分の運命(未来)をその出来事に賭けてしまうことはあるでしょうね。実際は何かが変わると‘思い込む’ことが以後の自分を微妙にコントロールしてしまうからだと思いますが。そしてそれは自分の心次第でいかようにもベクトルを変えてしまう・・・この物語の中でも上手くいくように見えていかないことが幾つもありました。 それは隕石に遭遇した芙美に限らず、物語に登場する全ての人たちが、前向きに生きてはいてもいろんな‘上手くゆかないこと’を抱えているのですよね。

芙美が「ちゃんと幸せになる」と決めて本当にその方向へ歩み始められたのは、彼女の中にそれを求め、受け入れる柔軟さがあったから。共感するところはありながら果たして私ならあんな風にふるまえるだろうかと感じる 真っすぐな強さ が芙美にはあって、それが彼女を然るべきところへ導いてくれたのだろうなぁって。「小さな奇跡」は奇跡などではなく、芙美の真っすぐな生き方が招いたものなのだと思いました。
でもそこに‘隕石との衝突’という衝撃的な出来事を絡めたことが‘大人のおとぎ話’の扉を見せてくれたのですね。最後に「それは違うんだ」ってことに芙美自身が気付くのはちょっぴりビター。

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※映画ワンシーン 情報サイトよりの転載です

冒頭にも書いたことですが、容易に運命のベクトルは変わってしまうもの。
過去を背負い、もう決して若くはない芙美の幸を願う気持ちは、物語が進むにつれ私の中で祈りに変わってゆく感じでした。だから彼女が抱えてきた哀しみが結果的に誰かの哀しみと呼応し合えたことが(その相手も「ちゃんと生き直そう」と思い始められたことが)私にはしみじみと嬉しかったです。

松重豊さん、イイですね。最近のNHK『カムカム…』での伴虚無蔵役もハマリ役ながら本作の吾郎さん役も中々に。
渋川清彦さんの‘地味なおとーちゃん役’も良くて、航平との海辺での会話にはグッときました。 断酒中の芙美に水割りを勧めるバーの店主・泉谷しげるさんには あるある の笑い。彼の「昔は捕鯨船に乗ってたんだよー」っていう話がラストでキュッと効きます。
小さな作品ながら、ひなびた港町が柔らかいお陽さんの光に優しく包まれる、作品の舞台と同様にあたたかい映画でしたよ。

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 映画の帰りにふらりと立ち寄ったメリケンパークは雲一つない5月の青空でした。GWの某日で、せめて今くらいは と笑む人たちでいっぱい。 平和の象徴と言われる鳩たちにいろんなことを託したいけれど。



posted by ぺろんぱ at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記