この一週間、寒かったですねー。
時折り雪も舞って風は肌を刺すように痛くて・・・帰れる家があることや、いろんなことに改めて感謝しないといけないなぁと感じました。
録画していたNHKBSプレミアム12月12日放送の映画『 舟を編む 』( 石井裕也監督 2013年制作 )を観ました。公開時にはスルーしていた映画でした。
< story >
2012年本屋大賞に輝いた三浦しをんの小説を実写映画化。
玄武書房に勤務する馬締光也(松田龍平)は職場の営業部では変人扱いされていたが、言葉に対する並外れた感性を見込まれ辞書編集部に配属される。新しい辞書「大渡海」の編さんに従事するのは、現代語に強いチャラ男・西岡正志(オダギリジョー)など個性の強いメンツばかり。仲間と共に20数万語に及ぶ言葉の海と格闘するある日、馬締は下宿の大家の孫娘・林香具矢(宮崎あおい)に一目ぼれし……。 ( ※映画情報サイトよりの転載です。)
終始 穏やかな気持ちで観られた映画でした。
辞書作りにかかわる人たち(その周囲の人たちも含めて)の長きに渡る日々が静かに、時にユーモラスに描かれていました。
紙の「辞書」。
ネットであらゆる言葉が瞬時に説明されてしまう今の便利さの裏で、次元を異にした、ある種‘おごそか’ともいえる世界でその存在を息づかせ続けているのだなぁ。
膨大な作業とそれにかかる時間、常にどこかで生まれている「新語」と、たとえ使われなくなってしまったとしてもその足跡は残しておきたい旧語の存在。辞書作り、そして言葉というものの奥深さを改めて思い知らされました、とても勉強になりました。
この映画、人間の悪意や不幸な(不幸に泣く)人が出てこないところが一つの魅力なのかなと思いました。
主人公の光也は若くして一生を捧げられる仕事に出会え、一生を共にする伴侶にも出会えた(しかも一目惚れ!)。光也は下宿の大家であるタケ(演じるは渡辺美佐子さん)に「若いうちに一生の仕事を見つけて、それだけで幸せなんだから。」と言われていましたがまさにその通りかと。タケの台詞には実に的を射た、含蓄のあるものが多かったです。
光也を取り巻く周囲の人物たちも、皆それぞれにある意味自分を貫き、それが決して悪くはない歩みとなっていました。辞書の完成を見ずに逝った編さん長 松本(演じるは加藤剛さん)にしても、よき人生だったと私には思えます。
光也の恋を成就させようと辞書チームの皆がエールを送るシーンは温かくて好もしいですね。( 光也による「恋」の注釈の最後の2行は 私としてはちょっとどうかと思いましたけれど…成就した時って結構もっと複雑なんじゃないのかなぁと… )
描かれていなかった 秘めた側面の顔をちょっと見てみたかったのは、後年に辞書チームに配属されて来た岸辺みどり(演じるは黒木華さん)でしょうか。でもそれが描かれていたら全く違うトーンの映画になりそうですが。
あと、オダジョの彼女役だった池脇千鶴さんはやっぱり上手い女優さんだなぁって思いました、イイですね。
街の大通りの植込みがいつの間にか来年の干支の 兎 の葉牡丹に植え替えられていました。
まだいろいろと今年を(今年のアカンかった事々を)引きずっている私にはハッとさせられたことでした。
「あれこれ考えてばっかりおらんと ちゃっちゃと来年に向かわなあかんで!」と言われているようにも感じました。そうですよねぇ・・・。
皆さん どうぞ佳いお年をお迎えください。
