2014年08月03日

トラウマ映画館 (これこそがトラウマになりそうな一冊)


先日BSプレミアムで薬師丸ひろ子さんの「35周年記念コンサート」が再放送されてましたね。
昨年の初回放送を見て、その後「SONGS」でやってた時も観たのにまたもや観てしまいました。何故か惹かれます、彼女の歌声。
来生たかお、大滝詠一、南佳孝、井上陽水、呉田軽穂(ユーミン)と、けっこう作曲陣が華やかなのも惹かれる所以かもしれませんが、やっぱり何といっても魅力はその歌声ではないかと。そして、彼女が女優であることも。舞台で歌うその姿からいろいろな物語が想い起される気がするのですよね。


さて、「村上春樹長編・刊行順に再々…読」月間はまだ続いておりまして(月間じゃないですね、こうなると)現在は『海辺のカフカ』下巻の半ば(いよいよ入口の石の登場で佳境)ですが、ふと入ったU書店で目にとまり思わず買ってしまった一冊がコレ、『トラウマ映画館』(町山智浩著、集英社文庫)です。
ページを開いてみたら衝撃的な内容のあまり上手く区切りがつけられず、あれよあれよという間に1/4ほど読んでしまいました。今は「カフカ」と並行して読み進めています。

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***こんな本です*** <本書・書評より>
町山智浩さんが主に10代の頃、テレビなどで出会った、衝撃の映画たち。
人は誰しも特別な映画を心に抱えて生きている―。呪われた映画、闇に葬られた映画、一線を超えてしまった映画など、心に爪あとを残した26本の作品を紹介。幼い頃に観たそれらの猟奇性やフェティシズムの源泉を紐解きながら、作品同士の繋がりや、のちの作品へ与えた影響を見出す、映画好きのための一冊。


表紙の作品はジャンヌ・モロー主演『マドモアゼル』(1966年制作・英仏合作)のワンシーンです。
勿論、これも著者にとっての大きな“トラウマ作品”として本書の第22章に登場します。

みなさんにとっても“トラウマとなった映画”、ありませんか。
私の中で今ぱっと思い浮かぶのは、大学生の頃に下宿の部屋で先輩女性・SEさんに言われるままに一緒に“観ることになってしまった”テレビ放映の『ハロウィン』(1978年制作のジョン・カーペンター監督?)でしょうか。
これは怖かったです〜。息絶えたはずのブギーマンがむっくりと起き上がるシーンに一瞬間違いなく心臓が止まりました。E先輩は「なかなか面白かったわね〜」と言いながら自分の部屋に帰っていきましたが、私はそれから一週間、部屋の電気を消して寝れなかったです。
あ、もう一つ思い浮かびました、これもテレビで観た『ローナ・ラブの伝説』という映画。ローナの“本当の姿”がアップになるショットは衝撃でした。孤独と情念、、、そんなものについても若かったなりに心砕かれたとその頃を記憶しております。あ、そういえはデヴィッド・クローネンバーグ監督の『ヴィデオドローム』も“お腹の中に…”のシーンは脳裏に焼き付いています。あの映画って幻覚オンバレードですか。

でも本書にはそんな私の陳腐な思い出などあっさり凌駕してしまう、あらゆるイミでキョーレツな映画がたくさん登場します。
殆どが古い映画で馴染みのないタイトルですが、その映画が幾つかの現代の作品に通じていたり、ショッキングな作品世界が当時の社会的背景や制作者の精神的背景を背負ったものであったりと、著者の考察は多岐にわたり勉強にもなります。当時まだ無名に近かった現在の大スターがアブノーマルな役柄を演じていたりするのも興味深いです。
ちょっと心して読まねばならない刺激の強さですが、著者・町山氏の映画へのとめどない愛の注ぎも見えます。


さてさて、毎日暑いですね。
暫くハイボールやアルコール度8〜9%と濃いめの酎ハイ缶(ドライで甘くないやつ)に走っていて「私はもう日本酒を飲めなくなってしまったのかしら」と思っていましたが、久々の酒席であっさり返り咲きました(なんの迷いもなく、しかもグビグビ)。

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こちらの画は某居酒屋での大吟醸呑み比べ2種です。
やっぱり美味しい…和酒はソウルアルコールです。





posted by ぺろんぱ at 11:28| Comment(10) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
にちはです。

ご紹介の『ローナ・ラブの伝説』なんだか気になりますね〜
BSPに降りて来ないかなぁ・・

私的には『悪魔の追跡』『スキャナーズ』『フューリー』辺りのエンディングが衝撃的でしたね、、 近年では『ミスト』だろうか・・(⌒〜⌒ι) まぁでも、今になって振り返ってみれば、みんな良い思い出です(←そうか?)
Posted by TiM3 at 2014年08月03日 17:39
ぺろんぱさん、こんにちは!
あります、トラウマになった映画。

子どものころに近所の友だちのうちで夕方テレビで放映されていた映画。
実は小さい頃なのでタイトルもわからないのです。
でも洋画で、ホラーです。

教会の祭壇の前で悪魔から身を守るべく結界を張ったにも関わらずそれが破れて悪魔たちに襲われて髪も真っ白になってしまった女性。
それだけしか覚えてないのですが、ほんとに怖かったです。
小さいころに思いがけず見たのでなおさらです。

あとはトラウマというか夜観て一晩中寝られなかった映画。
羊たちの沈黙です。
衝撃でした。
Posted by Jupi at 2014年08月03日 18:57
TiM3さん、こんばんは。

ローナ・ラブの伝説、私ももう一度観てみたいのですが、きっともう忘れ去られた(忘れていない人間もこうして居るのですが)作品かと…(T_T)。

悪魔の追跡・・・なんだか“もう逃げようのない絶体絶命”っていう感じですね。
TiM3さんがティム少年で?いらっしゃったころの数々のトラウマ映画、また何か思い起こされましたら教えてくださいね。

近年の『ミスト』も、きっともっと幼少の男の子女の子にとって“忘れ得ぬ衝撃の一作”となって、ソレがその子たちにとって次なる映画への一歩となったら(トラウマ云々は別として)素敵なことですよね。(*^-^*)



Posted by ぺろんぱ at 2014年08月03日 21:09
Jupiさん、こんばんは。

私も同じように、子どものころに友達のうちで見たタイトルもわからないままあるシーンだけがしっかりと心に残っているホラー(SF??)作品(テレビ用の映画か単発のドラマかも)が二つあります。
「意志をもって動く枯草」と「大気が放射能で汚染されて目が…する」物語です・・・きゃーっ、とにかくいつまでもそのシーンだけが残っているのです。怖かったです、私も。

この著者の町山さんはそういうワンシーン・ワンショットで当該の作品を言い当ててくださることがあるらしいのですが・・・・。
今は私ではわかりませんが、あちこちの友人に聞いてJupiさんのご記憶のその映画のタイトルを私も解明してみたいです。(*^-^*)

>羊たちの沈黙

あれは衝撃でしたね、しかも後年にまで語り継がれる一作かと。

Posted by ぺろんぱ at 2014年08月03日 21:26
こんばんは^^

町山さん、大好きです!
『トラウマ映画館』も読みましたが
町山さんの豊富な知識と軽妙な語り口のおかげで
たとえ紹介されている作品を知らなくても楽しめる本ですよね。

私は図太いのか、あまりトラウマとなった作品と言うものはないのですが、
デパルマ版『キャリー』を中学生の頃に深夜に一人でテレビで見ていて
ラスト「さて終わったしそろそろ寝ようかな〜」と席を立とうとした瞬間の
「あのシーン」には思わず悲鳴をあげる程ビビリました。
それ例来「映画館は明るくなるまで、テレビはCMにかわるまで気を抜くな」
が私の教訓となりました(笑)
Posted by ami at 2014年08月04日 22:40
amiさん、こんばんは。

そうですか!amiさんは既にお読みだったのですね!
私は刊行すらも知らず、今回文庫化されて更に暫く経ってやっと本書の存在を知りました、、、いやはや、お恥ずかしい(・・;)。
仰る通り、町山さんの知識は半端じゃないですね。考察の深さもすごいです。それと、タブーな内容にも切り込んでゆかれる鋭いナイフみたいな感じも受けました。町山広美さんのご実兄らしいですね。
『トラウマ恋愛映画入門』なる著書もあるみたいで、それも何やら面白そうです。

>デパルマ版『キャリー』
>「あのシーン」には思わず悲鳴を

私の異常なまでの怖がりは子どもの頃からで(なのに『ハロウィン』は観る羽目になってしまったのですが・・・)、有名なホラー映画もあまり観れていません(涙)。でもそれらの「幾つかのシーン」は「ふとしたことで観てしまった」ことがあるのです。デ・パルマ版『キャリー』も然りで、舞台で大量の○○○をかぶるシーンは記憶にあるのですがラストは知りません。聞けばそのラストは“伝説のシーン”のようですね。語り継がれる名作ホラーの一つとか。
う〜ん、観たいけど、観れない〜。観ると寝れない〜。^_^;

>「映画館は明るくなるまで、テレビはCMにかわるまで気を抜くな」

なるほど!ビビるほどの恐怖からも人は何かを学ぶのですね。人生はかくして豊かなものになる!ですね。(*^_^*)

Posted by ぺろんぱ at 2014年08月05日 19:32
トラウマまで行きませんが、事あるごとに「ショーシャンクの空に」を思い出しては踏ん張る日々ですエブリデイ。恐怖体験とは正反対の、希望的成功体験を夢見て。
Posted by ローラー男 at 2014年08月11日 19:11

ローラー男さん、『ショーシャンクの空に』!!
私も心に残り続けている一作です。あのラストはカタルシスものですよね。明日に向かって今日も踏ん張るエブリデイ︎!!で私も行きます。
Posted by ぺろんぱ at 2014年08月12日 21:35
こんばんは♪

トラウマ映画!あります。
誰と観たのか、父親とだったかも知れませんが、
『切腹』という、とっても理不尽な映画の、そのシーンは、
幼い私にとって悪魔のように恐ろしく長い苦痛の時で、
暫く刃物がダメでした。。。

怖いというのとは違う意味で、何度も通い、その都度大泣きした『ひまわり』もまた
ある意味でトラウマ的作品だったかも知れません。。。
戦争が介在してるとはいえ、結局戻ってこないなんて、あり?!と、泣いたものです(ノ_-)
Posted by kira at 2014年08月14日 23:44
Kiraさん、こんばんは。

『切腹』という映画、ネットで調べさせて頂きました。何やらすごい映画のようです、コアなファンもらっしゃるようです。そして、私がもし幼少期に観たら私もきっとトラウマになったといえる映画だとも感じましたよ。いまこの年齢なら鑑賞できるでしょうか・・・なんだか非常に気になる作品です。

>都度大泣き

心的に何らかの傷を残したということで、それも確かなるトラウマ作品といえるのではないでしょうか。
『ひまわり』、不条理な世界ですね。
なるほど、トラウマになるということの深く広い背景を感じました。

ああ、映画って本当にいろんなことで影響を与えてくれるモノなのですね、、、しみじみ。


Posted by ぺろんぱ at 2014年08月15日 20:04
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