2014年10月29日

69 sixty nine 、 ヒュウガ・ウイルス


 街にはコート姿がちらほら。ロングブーツ姿もちらほら。あっという間に冬ですか。「立冬」も間近。

前回記事の『ヒゲのウヰスキー誕生す』は、竹鶴夫妻の人生譚であると同時に日本でのウイスキー誕生譚でもあり、また鳥井信治郎氏(サントリー創業者)と竹鶴氏(ニッカ創業者)のそれぞれの経営理念(の相違)譚でもありました。いろいろ勉強になりました。

ということで今は再びどっぷりと龍ワールドに浸かっています。
村上といえば春樹だった私ですが、人生何があるか分かりませんね。いえいえ、私はこれからもやっぱり“春樹小説は永遠のもの”です。


『69 sixty nine 』(村上龍著・文春文庫)は既に読了しましたが、現在は『ヒュウガ・ウイルス』(同著・幻冬舎文庫)を読むと共に『69』も再読しています。

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( 69 sixty nine はこんな本 )
 1969年。安田講堂事件が起き、東大は入試中止。アポロが月に行き、ビートルズが「アビーロード」を、ローリング・ストーンズは「ホンキー・トンク・ウイメン」をリリースした。ベトナム反戦運動が高まり、基地の町・佐世保で、僕は高校をバリケード封鎖した。明るく楽しく生きる精神のエネルギーに満ちた日々を描く、永遠の古典。(ブックカバー裏面の解説より転載させて頂きました)

こんなに楽しい小説を書く人だったのですね、龍さん。 これはサイコーの青春小説だと感じました。
ある種の美化はあるでしょう。でも小説なのだからよいのです。
龍さんの表の部分もあれば裏の部分もあり、輝いてパワフルなだけじゃない、陽のあたっていない籠ったものの存在も感じ取れます。でもそこが私には魅力的でした。
それこそ10代だった頃に出会いたかった一冊ですがその頃には未だ本書は書かれていないわけで、これが刊行された1987年にさえ手に取る事が無かった私には所詮「後の祭り」でしかありません。あ、この「祭り」が一つのキーワードです、この小説。
結局2014年の今、人生の折り返し地点をとうに過ぎた年齢で読んだわけですが、今読んでもこの小説はとても楽しくてワクワクしましたし、不思議な力も貰えました。
今だから分かることも。
それは例えば、主人公が好きだった女の子が語った「うち、ブライアン・ジョーンズの、チェンバロの音のごたる感じで、生きていきたかとよ」の言葉。そのように生き続けることが実はとても難しいことだということが、若くはない今だから分かるのかも。この年齢で読んだからこそ「サイコーの青春小説」と思えたのかも知れません。
しかしどうしようもない悲しさも残りました。
それは龍さんの「あとがき」の言葉を借りれば、「時間的資源はある、だがどんな時代でも若者は無力だ」という若者の時代をとっくに通り過ぎて、今は「時間的資源も失くしつつある、無力なままの大人」になってしまった自分をひしひしと感じたからです。

『ヒュウガ・ウイルス』は未だ半分にも達していないところ。『五分後の世界』、時空のずれたあの世界のその後を知りたくて手に取りました。いまのところは「五分後の世界」ほど手強くはないですが、それでも、脳にムチ打ちながら読んでいます。

余談ですが、いま仕事で一番連絡を取る機会が多いのが某社の村上(さん)姓の女性です。「村上」で明け、「村上」で暮れる今日この頃です。


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先週ヘヴィーな二日酔いを体験したというのに懲りない私は美味しい冷酒をいただいております・・・の画。
「資源」とはもう呼べない枯渇しゆく時間のなか、しかしそれが続く限りはアルコールと仲良く付き合っていきたいです。
そのためにも心と身体をうんと労わっていかねば。皆さまも、どうぞご自愛くださいませ。


posted by ぺろんぱ at 19:27| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
ぺろんぱさん、こんにちはです。

『深夜食堂』のネタ、別なトコで書いてしまいました、、
ときに、第1話の大物歌手のモデルは「喝采」のちあきさんなのでしょうか、、(←だとすれば、分かりやす過ぎますが、、)

龍さんと言えば、以前にY新聞で連載小説カ『イン・ザ・ミソスープ』が載ってましたが、ピンと来ず、全く読まぬままに終わってしまいました、、 まぁ、猟奇事件がネタになってるので、朝から重い気分になりたくなかったし、まぁいいかな・・と勝手に自分を納得させてます(汗)

これまでに読んだのは『エクスタシー』『トパーズ』『KYOKO』ぐらいだったでしょうかね。
Posted by TiM3 at 2014年11月03日 12:45
TiM3さん、こちらにもようこそです!

>『深夜食堂』のネタ、別なトコで書いてしまいました、、

はい、先程貴ブログにお伺いして拝見させて頂きました。このドラマの魅力は主演俳優の小林薫さんの存在が大ですね。
ちあきなおみさん?なるほど〜、そうなのかもしれませんね。
もう一度「喝采」を聴いてみたいです。

龍さんの『イン・ザ・ミソスープ』も『エクスタシー』『KYOKO』も未読です。
エッセイなどは別として、龍さんの小説はかなり“美しくない”描写が容赦なく続くことも多く、中々手強いです。
その“美しくない”描写は、まるで何かへの復讐のようにも感じられるくらい。

『KYOKO』は確か映画になったのでしたね。
映画化された小説は他にもあるみたいで、私は若かりし頃、龍さんの『だいじょうぶマイフレンド』を観に行ってしっかりパンフレットも買って帰りました〜(*^_^*)、懐かしや〜。


Posted by ぺろんぱ at 2014年11月04日 20:21
龍さん、、、コインロッカー・ベイビーズと「69」を前後して読んで落ち込んだり盛り上がったりの当時を思い出しました。
思い返せば、若者は無力でバカでエッチでデリカシーと常識が無くていつも不安で四六時中楽しくて、、、空腹だったなと(笑。
Posted by ローラーおとこ at 2014年11月07日 15:42

ローラーおとこさん、ようこそです。
ガツーン!の一冊と何故か切ない一冊と、揺れ動いておられた多感なローラー少年だったのですね。

>思い返せば、若者は

それこそ青春フルコースではありませんか(*^_^*)!
私はどんなやったやろ…と暫し遠くを見つめてしまいました。
あの頃があって今がある…悪くないですね、人生は。



Posted by ぺろんぱ at 2014年11月08日 09:23
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