
小松左京原作の映画の劇場鑑賞は『復活の日』以来だ。復活の日もそうだったが、今作でも日本はズタボロになる・・・・。
story
日本海溝近辺の大規模な地殻変動により、日本列島のほとんどが海中に沈没するという驚愕の予測が下った。
潜水艇わだつみのパイロット・小野寺俊夫(草なぎ剛)は、地球科学博士・田所(豊田悦司)の指揮の下、同僚パイロットの結城(及川光博)と共に深海調査に当たる中その事実を知る。時を同じくして、小野寺は、災害の中でめぐり合ったレスキュー隊員の阿部玲子(柴咲コウ)と心を通わせるようになっていた。
沈没の予測を裏打ちするかのように、各地の火山が噴火、M(マグニチュード)8以上の大地震が次々と起こる。
Xデーが避けられないと悟った政府は、諸外国に日本人の受け入れを要請するが・・・・。(映画チラシより)
※“なぎ”の字が入力しても画面に反映されません、すみません、恥。

映画は、いきなり静岡に起こった大地震で幕を開ける。
あれだけの地震が起こっただけで多分日本は大パニックになると思うが、その後意外にすぐ冷静さを取り戻した日本を、今度は本当の悲劇と地獄が襲い掛かる。
細かいことは抜きにして(これだけの内容を2時間15分で描ききるのは難しいと思うし、あらゆる部分で歪も出てくるから)、日本が沈没していく映像に驚き、息を呑む。
北海道や九州の火山噴火から始まって、東京都のビル群が次々に崩れ落ち海水に侵食され始めていくあたりからは、さすがに泣けてきた。京都や奈良では名宝や旧跡が破壊され、大阪に至っては映し出されたときには既に完全に海水に埋没してしまっていた。
あれは全てCGであると思うけれど、そうは思ってもやり切れない悲しみが全身を襲う。(映像はやはり「復活の日」に比して格段の進歩。リアル。)
当然ながら人々は大混乱をきたす。
映画ではかろうじて国としての機能は果たされているけれど、果たしてあれだけのことが起こっても国家は国家でありえるのか疑問だ。
もしも中枢である東京が一番に破壊されてしまったら・・・・。
日本列島というこの多くの活断層を抱える小さな島国にとってはあり得ることだけにこのストーリーは恐い。
私・ぺろんぱも体験したことですが、阪神淡路大震災が起こった時にも、人々は皆一様に「まさか神戸に・・・」と絶句したのだから。
「まさか」が現実になる。
外国に逃亡できる人民は限られ、残る人々は死ぬか逃げ続けるかだ。
そんな極限状態の中で、「一人でも多くの人を救いたい」「愛する人を助けたい」と思う人達の姿が、綺麗ごとではなく強く心に突き刺さる。
そしてやはり思う。「自分ならどうするだろう」「自分なら出来るだろうか」・・・。
愛する人を残して逃げる事は出来ないとは思うとしても、自分の命を投げ出して人を救うことが出来るかと問われたら、「できる」とは言えない。
だから、そういう姿を目の当たりにすれば泣く。
ある決意をしてヘリに乗り込む小野寺俊夫と、彼の決意の固さを知って彼のもとを去る玲子。
俊夫を乗せて飛び立つヘリと走り去る玲子のバイクのオレンジの灯が、噴煙による黒い灰で覆われた空気の中で交差するシーンが、私にとっては一番美しく心に残るシーンだった。

「お互いがやれることをやるしかない」そんな悲しい決意が伝わってくる。
ごく普通の若者が、命をかけて愛する人を救おうと決意するまでの変化を、ああいう草なぎクンのような本当に“フツー”っぽい青年が演じてくれたことが却って良かったと思う。
玲子に別れを告げてヘリに乗り込むために走り出すシーンの彼の表情が、凄く良かった。
最後に、廃墟と化した東京で生き残った人々を前に日本の再生を語る政治家(大地真央)のシーンがあるが、それがハリウッドの某有名作とカブるのはストーリー的に仕方のないことだと思うとしても、最後に潜水艇パイロットの結城と小野寺の名だけを固有に挙げて日本を救った英雄と称えるのは少し鼻白む思いがして折角の多くの熱演が報われないような気がした。
多くの人が地獄の体験を分かち合った中で、名もない英雄は無数に存在していたはずだから。
最近の日本、いえ、世界は異常気象による自然災害が多発している。
映画のコピーの通り、このようなことはもしかしたら明日にでも起こる事かも知れない。
でも、できれば起こって欲しくない。そう願うしかない。
帰りには映画館から暫く歩いたところにごく最近オープンしたというまだ祝花も華々しいお店へ。
どんなお店かしらと立ち止まって見ていた際に丁度お店のご主人が出て来られて、優しい笑顔で誘われるままに店内へ入ってしまった・・・。
暑気払いにビールだけ

自家製豆腐はキメが細かくて、揚げてある外はカリッと中はトュルンという触感で、油もさらっと、あっさりとした後味が美味しゅうございました。

焼酎の大魔王は緑色の切子硝子、鉄幹はオレンジ色の切子硝子で饗して下さった。どちらも芋焼酎ですが、大魔王の方がやや丸い感じで美味しかった。
「まだオープン5日目なんです」と初々しく語られるマスター氏。奥様(と思しき女性)と共に是非頑張って繁盛させて下さい。
小さな、でも確かな暮らしの営み、そういうのが感じられてお酒のせいだけじゃなく気持ちがほっこりとなる。
やっぱり、何処にだってもう災害なんて起きて欲しくない。
映画館からの帰り道、名も知らぬ花が・・・・。

夏とは思えぬ何ともアンニュイな色合いに惹かれて撮りましたが、写真にすると結構自己主張のある色ですね。
でも綺麗でした。花の名をご存知の方がいらっしゃれば教えて下さい。