2006年08月27日

あおげば尊し そしてベルギーBeerの午後

 
 晴れ照りつける土曜、週末の一本として、観たかった『恋するトマト』は金曜で終わっていて『スーパーマン リターンズ』も「今更なんだかなぁ〜」というテンションの低さの中、神戸市産業振興センター内「ハーバーホール」でやっていた『あおげば尊し』(市川準監督)を観に行く。
これは今年の2月公開のもので、今回は市の自主上映というかたち。

 story
末期癌で余命僅かな父(加藤武)を在宅で看取る決心をした小学校教師の光一(テリー伊藤)
ある日の授業中、田上という生徒が死体写真を見ていたことがきっかけで、子ども達は面白がり死について興味を持つようになる。
モラルや常識が通用しないと悟った光一は、かつて教師だった父親に、命を見つめる姿を子ども達に見せてやって欲しいと“最後の授業”を申し出るが・・・。
(シネマカンサイ映画情報より)

           C0000606_0.jpg
 
 この映画は、生と死、尊厳死、在宅介護、家族、教育問題、等々、いろんな問題が詰まっていた映画だ。
にもかかわらず、どれも中途半端な掘り下げ方で終わっている感が拭えず、首を傾げながらホールを後にした。(私のテンションの低さが災いしたのかな・・・。)

原作(重松清氏)を読んでいないので強くは言えないけれど、監督は一番に何を強く描きたかったんだろう。教師として生きてきた父の姿?死とは何かということ? 子どもを教育することの意味? 家族のあり方? 

その全てかもしれないけれど、物語の始まりと展開と、ラストのシーンとが何だか別モノのようなちぐはぐな感じがして、この監督のカメラワークとかが凄くいいと思えただけに、ちょっと残念だった。

死を待つ父が見つめる窓辺の氷結した木々の映像や、看護の合間に家族が出かけた公園で、遠くにダンスのレッスンに興じる女子学生達の姿を重ねる撮り方とか『トニー滝谷』の時も感じたが、すーっと心に寄り添ってきてくれるような映像が私は「いいな、好きだな」って思えたから・・・。
演じている役者さんもみんな良かった(テリー伊藤さんの、演技を感じさせない自然な感じなんか特に良かった)から・・・

だから「いい映画を観たなぁ」って思えなかったのが何だか残念


 あと、死体写真を見て喜ぶ(果ては斎場へも何度も遊びに行くようになる)子・・・・あれは先ずその子の生い立ちか家庭環境に起因していると考えるのが普通だろうと思うのに、風邪で病欠したその子を自宅に見舞ってやっと原因が分かったと苦悩する光一や、その子の問題を担任に一任してさっさと会議の場を去る校長だか教頭の姿、「先生なんて忘れ去られる存在なんだよぉ」と居酒屋で酔ってクダを巻く若き教師とか、余りのレベルの低さに驚く。実際教育の現場にいる先生達が観たら怒って来るんじゃないかとさえ思う。そんな設定にも少し白けた感じを抱いたのかも知れない。

 ただ、在宅で看取るということで家族が確かめ合う絆のようなものには心が熱くなった。「死」がそこに有る以上、家族は真に笑う事はない。けれどその息苦しさや悲しさを共有することで家族は強くなれる、そんな気がする。看取られる側の老いた父親も、それはそれで幸せな死の迎え方なのかもしれないと思った。

 
 映画の後は気持ちを切り替えて阪急電車電車に乗って西宮北口へ。
北出口から徒歩3分のところ、Beer Csfe Barley へ。ここは「ベルギービールや地ビールが常時100種以上」という、ビールのとっても美味しいお店なのです。
         バーレイ.jpg 
    *写真はお店のH.Pより転載させて頂きました

「いいお店がある」と教えてもらって初めて足を運びましたが、偽りなし、本当にいいお店でした。

まずメニューに並んだ銘柄の多さに圧倒され、選んでいくうちにビール党でない私でもワクワクしてきます。

飲んだ事のないものを、と思いつつ一杯目は結構好きなベルギー<ヒューガルデン・禁断の果実>を。アルコール度数は高めの8.5%です。
グラスもコースターも禁断の果実仕様。ポッコリと膨らんだ泡のホロ苦味の後に甘く濃醇な香が・・・
禁断の果タ.jpg しろまめサラダ.jpg
  禁断の果実       お豆のアルデンテ!程よい硬さ!

おつまみに戴いた白豆のサラダのさっぱり感がビールのコクを引き立ててくれます。

ビール党でない私も、マスター氏のビールを語る熱き眼差しに心を動かされ?二杯目をオーダー。
度数を下げたくなかったのでマスター氏の助言で選んだものは<グーデンカロルス・トリプル>(度数9%)

フルーティーな中にもリッチ感漂う味わい・・・ビールって決してグブグビプハー!だけじゃないんですね。じっくりと味わうコク深いビールってなかなか素敵です。
             グーデンカロルス.jpg グーデンカロルス

マスター氏のビールへの熱い思いと、お店を手伝っておられる奥様の“美しくも気さくな笑顔”に、昼下がりに戴いたビールの心地よい酔いが加わって、癒されるひと時でした。


「今日の映画も、あれはあれでやっぱり観て良かったんだよねぇ」映画・・・そんなことをぼんやり考えながら帰途に着いた私です。



posted by ぺろんぱ at 16:15| Comment(2) | TrackBack(3) | 日記
この記事へのコメント
過去ログを拝見しつつ懐かしがっています。
これは「観たいな」と思いながら観ていない作品です。どうも映画としては良くなかったようなかんじですね・・・。
原作は読みました。ハッキリとは覚えてませんが(^^;さすが重松さん! と思わせるものがあった気がしましたが。
またレンタルしてみます、100円の時に(笑)
Posted by karcy at 2007年06月16日 18:49
karcyさん、こんにちは(^^)。
そうですか、原作を読まれているのですね。重松さんは確か私は一作しか読んでいませんが、真っ直ぐで“熱い”人なのじゃないかと感じました。そういう真っ直ぐさは伝わった映画でしたが。

レンタルで御覧になったら是非感想をお聞かせください(^_^)。
Posted by ぺろんぱ at 2007年06月17日 12:45
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