03年の公開時に気になりつつも見逃した作品だ。この作品に出ているリィウ・イエは『山の郵便配達』や『PROMISE』にも出演。
『山の・・・』では主演を務めていた好青年(役柄がそうだったからそう感じるのかな)である。
story
1971年、文革の嵐が吹き荒れる中国。青年マー(リィウ・イエ)とルオ(チュン・コン)は共に医者を親に持つことから、反革命分子の子として再教育のために奥深い山村へ送り込まれた。彼らはそこで過酷な肉体労働を強いられる。
ある日二人は美しい少女、お針子(ジョウ・シュン)に出会う。ルオはお針子に一目惚れした。彼らは、同じ再教育で来ている若者が禁書である西洋の本を大量に隠し持っていることを知り、それを盗み出し、文盲のお針子に毎夜西洋の文学を読み聞かせるのであった。
許されない秘密を共有することで結びつきを深める三人。お針子を巡る微妙な三角関係。そしていつしかお針子は、西洋文学が語る自由の世界に次第に目覚めていく・・・。
(Yahoo!映画情報より)

中国の小さなお針子 ルオとお針子
これは、文革後パリに留学し映画を学び続けたという監督のダイ・シージエが、自伝的小説として書いた『バルザックと小さなお針子』を映画化したものである。
若者が、夢を見るように欧州文学に傾倒していく姿が瑞々しい感覚で再現されているのは監督自らの体験が投影されている為か・・・。
蝋燭などの僅かな灯火の中で古い書物を貪るように読み、お針子に聞かせるシーンは、中国の寒村を舞台にした過酷な時代の物語というより、若者三人の“最も無垢であった頃の、貧しくも輝いていた美しい青春の物語”を観ているようであった。
ドストエフスキー、スタンダール、バルザック等々の作家の名やその著書の名、作中の名台詞などが三人の中国人の俳優によって中国語で“歌うように”語られていく様は、不思議でもあり、また心地よくもあった。
小説の現題にもある通り、西洋文学の自由な世界に心惹かれたお針子は、やがてバルザックの「女性の美は最高の宝だ」という言葉に触発されて村を出て行くこととなるが、お針子は他の村娘達の群を抜いて美しい容姿を持った利発な女性であったから、ルオやマートの出会いが無かったにせよ、時を変えシチュエーションを変え、何か別の刺激があればいつかお針子は村を飛び出していたんじゃないかとは思う。
ただ、ルオやマーが読み聞かせた本たちがお針子の中に「ある意識」を目覚めさせていったのは確かだった。
劇中、お針子の祖父(ツゥオン・チーチュン)がこう語っている。
「一冊の本が人生を変えることもある。」と。(祖父は知っていたのね、孫娘の内燃する炎を。)
しかし思うに、直接の引き金になったのは、お針子がルオの子を身篭り、それを堕胎せざるを得なくなったという事実ではないか?
(ましてやその時にルオは事情があって彼女の傍に居なかった。急場を救っ たのはマーだった。
その時、マーのお針子への「愛し方」を私は強く感じた。
直接彼女に触れ、愛撫する事はなくとも、深い慈しみで彼女を包み込む愛 を・・・。)

この堕胎を巡る一連の出来事で、彼女の心の中にぽっかりと空洞が出来たのだと思う。
その穴を、お針子はバルザックの言葉を甦らせる事で埋めたのだ。
彼女にとっては、もはや祖父もルオもマーも、彼女の未来を輝かせてくれるものではなくなってしまったのだと思う。
後、ルオもマーも其々の人生を歩み、やがてある事をきっかけに再会する。
マーが独り身を通していたのはお針子への想いが消えなかったからなのか、それは私には分からない。
お針子も都会で出たきり消息を絶ち、華やかな人生を送れているの
か否か、生死すら分からない。
でもそれでも、お針子は他の誰よりも潔かった・・・生き方は間違ってはいなかったと私は思いたい。
語り手であるマー、ひいては原作者であるシージエ監督の“過ぎ去った全てのものに対する郷愁”の漂う、ラストシーンは切なさに胸が熱くなる佳品であった。
さて、9月。
食で秋を感じ始めるもの・・・情報誌のモンブラン(ケーキ)特集、マクドのお月見バーガー、そしてこの麒麟麦酒<秋味>の期間限定発売。
(う〜ん・・・(^_^;)どれも庶民的すぎる〜。)


*写真のタイミングが悪く、泡が消えちゃってますが

これは麦芽の味が深く濃く、度数も6度と少し高めで美味しく、発売されるとすぐ買っちゃう品です。
ラベルが奇をてらってないオーソドックスな「秋」模様で、それがまた何だか健気で??小市民の購買欲をそそりますね。(私だけ?)
それにしても・・・・「人生を変える一冊

アジア女性の美しさは、特別な輝きを感じますね。
秋に飲むビール、これまた味わい深いものがあり美味しいですね。
特に、(ルオと同じ年頃なのに)マーの秘めた想いには心打たれました。
ビールにワインに、日本酒に・・・秋の夜長は忙しくなりそうですね。
リウ・イエ君のファンです。素朴な山岳青年,そして耐える役・・・というのが多い彼ですが
卓越した演技力に定評のある役者さんで,そこが一番の魅力です。
中国映画も大好きなのですが
この監督さんの作品は製作がフランスということもあり
どこかヨーロッパ人から観た中国・・・というお洒落な雰囲気があります。
文革の時代を,こういう視点で描いた作品という点も新鮮でした。
でも,何よりもやはりこれは・・・リウ・イエ演じるマーの映画ですね。
リウ・イエさんのファンでいらっしゃるのですか!確かに、存在感のある素敵な役者さんだと拝察しました。(*^_^*)
>どこかヨーロッパ人から観た中国・・・
女性をどこか不確かな、未知なる存在として捉えているところにも惹かれました。そこには圧し切れないエネルギーも秘められていたといえるでしょうか。彼女の生き様に潔さを感じることも。
ああ、でも今もう一度観たらもっと直情的に語れるもかも知れませんね、、、細部を忘れていて核心に迫れていなかったらごめんなさいです(>_<)。
でも仰る通り、静かな思いに浸る「耐える役」という彼の魅力が溢れた作品だったといえますね。
リウ・イエさん、、、最近の注目作は何でしょうね。ネットで調べてみますね(*^_^*)。