(今回のブログは、文体を以前の調子に戻してみました。)
日本国内での上映は5館のみというキワモノ? しかしこれが「英国ノーサンプトンにある創業110年の老舗高級紳士靴メーカー・ブルックスをモデルにした実話に基づくお話」というから、その“ジェントルマン然”とした国・イギリスとのイメージのギャップに驚き、笑えて、そして最後は心がジンワリ温かくなりました。
story
父親の突然の死により、倒産寸前の靴工場を相続した優柔不断な青年チャーリー(ジョエル・エドガートン)。
工場の起死回生に頭を悩ませる彼は、偶然出会ったドラッグクイーンのローラ(キィウェテル・イジョフォー)からインスピレーションを得て、ドラッグクイーン用のセクシーで丈夫なブーツを新商品として開発しようと思いつくが・・・。 (Yahoo!シネマトゥデイより)
*キンキー=変態的な、性的に倒錯した、の意

まずローラを演じるキィウェテル・イジョフォーが輝いて

ドラッグクイーンの衣装に身を包んでいるときは堂々としているのに、素の姿に戻れば妙に気弱になってしまうのも切なさを感じさせてぐっと来きます。
それでも、偶然出会ったチャーリーに友情めいたものを感じ、彼のために奔走する姿は逆に男らしささえ感じる。何ていうのかな・・・“潔い”のです。
ドラッグクイーンという特殊な性別?のローラ曰く「ドラッグクイーンは服装倒錯主義者とはワケが違うのよ!」と、つまりは単なる変態思考ではなくキチンとした“生き方”のだと主張しているあたり、その潔さに納得且つ共感さえできた私です。
しかし決して“一般社会”に同化しない事をも知っているから、更に“潔い”のだとも思えました。「自分にしかできないことを自分らしくやってやろう」とするその心意気が健気ですらあります。
その点、(そういう設定なのだろうけれど)チャーリーの半端さったら腹が立つほど、です。
キンキーブーツのミラノでの披露ショーを目前にしたある夜、婚約者のニコール(ジェミマ・ルーパー)の浮気を知って投げやりになったチャーリーがローラに「お前は中途半端者だ」と毒づくんですが、この時のチャーリーこそ正に“半端者”・・・どうしようもない“大バカ坊や”じゃないですか。
結局はチャーリーを慕って支えるキュートな女性社員ローレン(サラ=ジェーン・ポッツ)の“ガツン”とくる一言で目が覚め(いつの世も女性はこうありたいですね・・・時には優しく、時には強く。)、ローラは再びチャーリーを救うべく彼の元に戻ってくるのですが。
映画のはじめ頃、登場したローラが、自分の履くブーツの折れたヒールを見て「ヒールも人生の重みに負けるのよ・・・。」と溜息混じりに言う台詞・・・どこかで使いたくなるような台詞だと思いません?
そんなローラも、チャーリーの<プライス社特製>の超セクシー且つ「頑丈な」ブーツをまとって、ドラッグクイーン仲間と共にショーステージに立ちます。

このステージが見事です。素敵です! 何しろ彼等(彼女等?)、歌と踊りとメークに命賭けてますから。
見ていて心が湧き立ってきます。男、女、そのどちらでもないもの、そんな境界を超えて叫び、踊り、表現することの素晴らしさ!
「自分の心を解き放つことの快感」と言えばいいのでしょうか・・・・ちょっぴりドラッグクイーンの気持ちが分かったような?そんな気がしました。
ラストは、笑って、その笑いが後でちょっと目頭を押さえさせてしまうような“小粋な”一作でした。
さあ、この映画には二種類のお酒が其々、小道具として二、三度出てきます。
ローラが仕事を終えて、憂さを吹き飛ばすためにストレートで呷るウォッカ。
それから、チャーリーの工場で何か事あるときにお祝いとして社員に饗されるシャンパン<モエ・エ・シャンドン>です。
ミラノでのショーに旅立つ前にも、工場でモエ・エを開けてのパーティーが開かれます。
このシャンパンは確かに美味しいですね。華やかな香があって、上品で深い余韻があって。
確か外車ショーにギャラリーとして出かけた時に会場でいただいたのと、今年に入ってすぐくらいに催された阪神百貨店の「シャンパンフェスティバル」でいただいたのと、そんなところですが、そのシャンパンフェスティバルで貰ったモエ・エ・シャンドンのPOSTカードがとってあったのでアップします。

*モエ・エ・シャンドン/ドン・ペリニヨン
これは私、ちょっと買えません。

あぁ・・・シャンパンが飲みたくなって来ました。
(今日のところは自宅にある赤ワインで我慢。阪神デパで買ったボーランド・セラーカベルネソーヴィニヨン・・・これも悪くありませんよ。

私も子どもの頃、母のハイヒールをこっそり下駄箱から出して、ぶかぶかさせながら履いて、コツコツ音をさせながら“すまして”歩いていたのが思い出されました。
ローラが頑張ってるのだから、私もまだまだ、「そろそろ年だから高いヒールは身体に悪い」なんて言っていられません。
ヒールの靴を履いた時の、ちょっと緊張した、ある意味「戦闘開始!」的な気持ちって大切にしたいです・・・よね?
ヘタレな田舎のぼんぼんが、粘り強くなって、
いまひとつ自分の決めた道に自信がない都会のドラッグクイーンが心を決めるラスト、
思わず拍手したくなるほどカッコよかったですね!
元気がでる1本に出会えました^^
「元気をもらえる映画」ってやっぱりいいですよね。
そうなんですね、「カッコイイ」のですね!私もカッコイイ生き方をしたいものです!