2008年05月17日

ミスト THE MIST

■■先ず初めに・・・先週に引き続いてのお詫びです。・・・拙ブログがサーバーの障害発生により、一応の復旧をみた後の現在に於いても未だコメントの反映等に時間を有しているようです。ご迷惑をお掛け致しておりますが、定期的に更新処理を行い、投稿していただいたコメント等は洩らさずに反映させますので引き続きどうぞ宜しくお願い申し上げます。■■ 


 今週末の一本は『ミスト The Mist』(原作スティーヴン・キング 監督フランク・ダラボン)を梅田TOHOコンプレックスにて。

当初は『ジェイン・オースティンの読書会』をのんびりと観て人生に付いてしみじみ考えてみるのもいいかなぁぁぁと思っていた今週末。
「意外とホラー色が強い」とのネット上の評判を見聞きして早々に鑑賞候補作品から姿を消していたこの『ミスト』でしたが、やはり未練が残っていたのでしょうか、他のお方のブログ等を拝見するうちにボルテージが再上昇し・・・怖気づく気持ちに鞭打ってこの映画を観に行こうと決めました。(拙ブログにお越し頂いているTiM3さんのブログに触発されたところも大きかったです、ありがとうございました。)

不退転の決意で臨むため、チケットショップで未だ残っていた前売券も前日に購入。「これでもう逃げられないのだ!」と自らに言い聞かせ・・・。(って、そんな大層なことじゃないんですけどね・・・^^;)

前夜はかなり緊張しましたが・・・・・、この映画、怖さよりも「意外な感情」を残した作品となりました。

                 ミストチラシ.jpg

story
 『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』のコンビ、原作スティーヴン・キングと監督フランク・ダラボンが描くパニック・ミステリー。霧の中に潜む謎の生物に恐怖し、常軌を逸していく人々の姿を描く。
 激しい嵐が街を襲った翌日、湖の向こう岸に不穏な霧が発生していた。デイヴィッド(トーマス・ジェーン)は不安に駆られながら、息子のビリー(ネイサン・ギャンブル)を連れ、隣人の弁護士ノートン(アンドレ・ブラウアー)と街へ買い出しに向かう。3人がスーパーマーケットに入って間もなく店内は大混乱。外では軍人が歩き回り、サイレンが鳴り続ける。すると、ひとりの中年男が叫びながら駈け込んで来た。「霧の中に何かがいる!」と。店外を見ると深い霧が駐車場を覆っていた!(allcinemaより)
        ※掲載写真はいずれも映画の情報サイトより転載させていただいております。
 
 
 霧に中に潜むモノ、そしてそのモノの存在により、霧のように音もなく偲び寄って個々の人心を撹乱していく極限状態下の集団心理。
それらは確かに怖い。
けれど、私が本当に怖いと思ったのは、そこに大きく横たわる「運命というものの不条理さ」です。
極限状態の異常心理が生み出す暴力の世界に抗い、闘い、逃れることが出来た人間が、最後に犯した「判断の誤り」・・・その判断の誤りも恐怖が引き起こした心理に他ならないのかも知れませんが、その一瞬の「将来への計り」が全てを絶望と地獄の世界へ変えてしまうことの「運命というものの恐ろしさ」を感じました。

そしてそれは「恐怖」と言うよりもむしろ「悲しみ」でした。
だから私にとってこの映画はとても悲しい映画だったと言えます。
怖い怖いと怖気付いていた映画を観て、まさか最後に泣けてくるとは思いもしませんでした。「驚愕の」と評されているラストは、私には非情に悲しいものでした。

                 ミスト.jpg                 
  霧に潜むモノ達。
これは敢えてそうしてあるのか、一番初めシャッターから入り込んできた「触手」を除いては全て機械的な造りであるためにリアルさを欠き、B級的なイメージ拭い切れずさほど強い恐怖は感じませんでした。
クリーチャーとしていえば『パンズ・ラビリンス』に出て来た“ペイルマン”の方が、そして襲ってくるものとしては『28日後…』や『アイ・アム・レジェンド』の“ゾンビ系生き物”の方が、そりゃあよっぽどよっぽど怖いです。
(後半、私が苦手とする生き物が大量に登場した時には参りましたけれど・・・^^; スクリーンを直視出来ませんでした。^^;)

あれらは一体「何」だったのか、何があれらを生み出したのか、パニックものにありがちな「実は○○が大きく関与している」ことは仄めかされていたけれど、その詳しい背景や経緯は一切語られていません。まぁそれは想像に任せるということなのか、原因がどうあれ結果を論じよということなのか、その辺りは良く分からないまま消化不良となってしまいました。

  変わりゆく人々。
一連の描写は確かに怖いものがあるですが、これも似たようなことって現実世界にもあるような気がします。
新興宗教が恐れられるカルト集団となっていくのと同じですね。
先頭に立つカーモディー夫人は、演じるマーシャ・ゲイ・ハーデンの迫力ある演技でかなり怖さも煽られますが、むしろ私的に不気味だったのは、事態の説明を受けながらも過去の確執から一切信じようとせずに第一の火種を作った某人物1と、恐怖の余りに自失し主張を180度転換させた某人物2の存在ですね。

               ミスト1.jpg


 前日に買った前売券とともにもらった本作のチラシ、その裏面に書かれていた「彼は、まだ絶望の果てに“何”がるのかを知らない・・・」の一文。
鑑賞後の今となってはその文章の持つ意味が理解できます。
そう思って思い返すと、地団駄を踏む思いで「あぁ、あの時アレを・・・・」と思える幾つかのシーンが脳裏に浮かんできます。
息子ビリーが父親デイヴィッドを頼り、彼に言ったこの言葉も然り、です。「僕を怪物に殺させないで。」
それだけはさせないと誓ったデイヴィッドの、その後の運命が悲しい・・・。

エンドロールの中、バックに流れる「音」で、徐々に筋肉も弛緩し現実世界に戻されていく自分を感じました。

                 ミスト2.jpg

 はい、こんな救われない映画の後は気付け薬として“ガツン系”のアルコールをいかないといけません。
先ずはそれで完全に心身を弛緩させないといけません。

でも今日ここでご紹介したいアルコールは、一昨日どうしてもコレが呑みたくて寄らせてもらったJazz Bar Wishy-Washy での<ブラッディー・サム>です。
有名どころはウォッカを使った<ブラッディー・マリー>ですが、ウォッカをジンに変えての<ブラッディー・サム>です。
トマトの赤に、ライムの濃いグリーンとミントの鮮やかなグリーンがアクセントになって、見た目も本当に美しいのです。
こちらのお店はカクテルにせよ、お料理にせよ、マスター氏とママさんが本当にきちんと丁寧に作って下さっています。お料理なんて私はいつも、付け合せの飾り野菜までしっかり全部食べちゃいます。(さすがにお皿は残しますけど。)

で、このブラッディー・サム。
ジンの独特の香がトマトジュースと混ざって、丁度良い感じのほろ苦さを感じさせてくれる、まさにコこれからの季節に楽しみたいカクテルの一つです。
                ブラッディーサム.jpg ケータイのモバイルライトが強すぎて失敗…

「ブラッディー」の名前の意味を探ると結構重いものがあるのですが(あっ!そう言えばこの映画も“ブラッディー”なシーンが多かった!)、今はただ味わいの爽やか感を思い出して記しています。

ブラッディー・サム!ハレルヤ!! (← 映画をご覧になった方、本来はこういう風に晴れやかに喜ばしく使いたい言葉ですよね!?)


 
posted by ぺろんぱ at 20:11| Comment(7) | TrackBack(1) | 日記
この記事へのコメント
ばんはです。
ご覧になられたんですねー。

ま、考えたら『AvsP』シリーズの方が、余程えげつないですよね(⌒〜⌒ι)

>拙ブログにお越し頂いている

ぺろんぱさんの評価が知りたかったので、ひと安心しました(=^_^=)

>霧に中に潜むモノ

霧=人間心理、と解釈しても面白いかも知れません。
覆われちゃうと何も見えなく点で共通するし・・

>後半、私が苦手とする生き物

あんな状態で、良く喋れたもんだ、と感心(⌒〜⌒ι)
あの絡まってたひとが「立ち去った隣人」かと勘違いしてました、、何か似てたもん。

>最後に犯した「判断の誤り」

最近、あの手のオチが増えてきてる気が・・
月並みじゃないがハッピーな、そんな作品が観たいどす。

>その詳しい背景や経緯は一切語られていません。

いわゆる“クトゥルフ神話”モノかな、と。

>エンドロールの中、バックに流れる「音」で、

あれ、妙に長かったですね。。
「もっと前から聞こえとった筈やろ!」とツッコんでしまいました(⌒〜⌒ι)
Posted by TiM3 at 2008年05月18日 02:53
>覆われちゃうと何も見えなく点で共通するし・・

⇒覆われちゃうと何も見えなくなる点で共通するし・・

でしたね。ちょっと訂正です(×_×)
Posted by TiM3 at 2008年05月18日 02:55
TiM3さん、おはようございます。
早速お越し頂いたようでありがとうございます!
「霧=人間心理」というご解釈は面白いですね。どう動いていくか計り知れないところもありますしね。

>“クトゥルフ神話”モノかな、と

あぁ、そういうご解釈なのですね。
私は霧の中の科学的に邪悪な成分が生み出したモノと(よって、あれも○○が関与したモノなのかな、と)思っていました。
TiM3さんのご解釈の方が物語としては深みがあっていいですね。そのお考えに一票!です。
しかし、アレの大群はイケません。(>_<)
私も最初は、あの囚われ人は隣人さんと勘違いしちゃってましたよ。似てました、確かに。

>月並みじゃないがハッピーな、

そうですね。基本的には映画を観たらハッピーになりたいですものね。
それと、本作でいえば主演のトーマスさんは、イメージ的に“最後にガッツポーズ”の人だし・・・って、それは私の勝手なイメージですね。^^;

>長かった「音」

その間にあの人はどうなってしまっているのでしょう・・・。

>ちょっと訂正です

訂正されずとも最初からそう読んでいましたよ。文章的流れで脳が「判断」してました。この判断は○でしたね。(^_^)
Posted by ぺろんぱ at 2008年05月18日 06:58
にちはです。

金曜に地上波初放送された『レジェンド・オヴ・ゾロ』を“1作目”と勘違いし、

見事に逃してしまいました(×_×) 録画予約すらしてなかった。。

タイトルが(続編とで)ややこしい映画は、これだから大嫌いです(×_×)

>その間にあの人はどうなってしまっているのでしょう・・・。

『セヴン』のラストにおけるミルズ刑事と同じでしょうね。計り知れぬ喪失、に他なりません・・
Posted by TiM3 at 2008年05月18日 15:42
TiM3さん、こんばんは。
『レジェンド・・・』を逃された由、残念でしたね。私はどちらも未見ですが一作目は確か『マスク・オブ・・・』ですか??
いっそのこと『ゾロ-1』『ゾロ-2』だったら分かり易かったでしょうにね。(決して作品を侮ってるわけじゃありません^^;)

>『セヴン』のラストにおけるミルズ刑事
そうなのでしょうね。
あの「音」が長かった分、想いを馳せてしまいました。(-_-)
Posted by ぺろんぱ at 2008年05月18日 20:14
どもです。

今夜「地上波初」だった「ナルニア」・・
ちょっと開始時間に間に合わず、また録画してしまいました(×_×)

>私はどちらも未見ですが
>一作目は確か『マスク・オブ・・・』ですか??

そうですね☆

パロディ作品で『ムスコ・オブ・ゾロ』と言うのがあるようですが、
内容はどうやら「お子ちゃま厳禁系」らしいです(⌒〜⌒ι)
Posted by TiM3 at 2008年05月19日 00:04
TiM3さん、こんばんは。
『ナルニア…』、是非ご覧下さい。ティルダ・スウィントン、大好きです。

『マスク・・・』『ムスコ・・・』・・・、パロディ作品って“タイトルからの掴み”命、なんですね。
Posted by ぺろんぱ at 2008年05月19日 21:39
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Tracked: 2008-05-31 16:40