友だちって何だろう。本当の友情って何だろう。
そんな青春時代の遺物のような自問自答を蘇らせる、ほろ苦くもあたたかい作品。

story
人生の半ばを過ぎた2人の男が、偶然の出会いをきっかけに、不器用ながらも友情を育んでいくハートウォーミング・ストーリー。
「お前の葬式には誰も来ないよ。」と、友人と呼べる人間がいないことを指摘された敏腕美術商のフランソワ(ダニエル・オートゥイユ)。ショックを受けた彼は、ビジネスパートナーのカトリーヌ(ジュリー・ガイエ)と“10日以内に親友をつれてくる”という賭けをする。そんな中、フランソワは陽気なタクシー運転手のブリュノ(ダニー・ブーン)と出会うが……。(シネマトゥデイより)
※映画に関する掲載写真は全て映画の情報サイトより転載させていただいております。

ちょっと情けない、冴えない人生のオジサンを描いて光るパトリス・ルコント監督。
過去作『列車に乗った男』も良かったけれど、『タンデム』は私が鑑賞し得た同監督の映画の中で一番好きな作品。そこでも冴えない中年男性二人の心のふれあいが描かれていましたが、本作は『タンデム』より軽妙でさらりとしたタッチの作品になっていると思います。
古美術商として成功し、豪邸に住んで愛人もいるフランソワは一見“冴えてる”ように見えるけれど、実は友だちと思ってくれる人のいなかった孤独な人間。人当たりも良くて笑顔を絶やさない、誰とでもすぐ仲良くなれそうなブリュノも、実は心に傷を負った、クイズと息子思いの両親だけが支えの孤独な人間。
器用そうで実は不器用なところが、この二人は似ている。だけれども、表面的に「勝つこと」「人より優位に立つこと」に慣れてきたフランソワは、傲慢さで自分の本当の姿に気付かない。
そこに気付かせてくれたのがブリュノであり、カトリーヌであり、「友だち」だということなのですね。
だからフランソワに「お前の葬式には誰も来ない」と手厳しい言葉を放った仲間達も、実は友だちだったと言えはしないかな・・・。

一度傷付くことで、人は人を思いやれるのかもしれない。
フランソワは、ブリュノを深く傷付けたことで自分も深く傷付き、やっと気付くことができたのですね。
劇中の「愛はお金で買えるけれど、友情はお金で買えない」っていう台詞にドキリとし、果たして私には友だちと呼べる「誰か」はいるのだろうかと、自分に問うてみたくなりました。
幼い頃のブリュノが書きとめていたサン=テグジュペリの「星の王子さま」の一節、“僕は君のたった一匹のキツネになる”の言葉が胸に響く、誰かにそっと寄り添いたくなる映画でした。
人はみな孤独だけど、そこに気付いて初めてその孤独から抜け出せることもあるのかな。

でも最後に・・・ちょっと引っかかったのは、フランソワの(彼の)愛人の女性に対する無関心な姿勢です。
先ず傍にいる人間を思いやるっていうことが大切なのじゃないかと思うのですね。
最後までフランソワがあの女性に優しさを見せなかったことが凄く残念で、小粋で洒脱なあのラストに至るまでに、ワンカットでもいいから何か形にして欲しかったなぁというのが正直なところです。
ベタな流れでですが、『ぼくの大切なともだち』を鑑賞した後は、「私の大切な飲み友だち」達と合流し「Meets」等で紹介されてる超人気ワイ2ガヤ2系某居酒屋へ。早い時間からの乾杯です。
復刻版サッポロ瓶ビールで乾杯のあと、私は日本酒<大七>を。焼酎の名前入りのグラスですが中身は日本酒です。

こうして杯を交わせる仲間がいることに感謝しながら、私は杯を交わす彼・彼女等の、或いは誰かの、本当の友だちで在り得ているのだろうかという思いがふと心を過ぎります。
しかし真剣に考えると怖くて酔えなくなりそうで、考えないようにしてひたすら飲んでばっかりいたら酔ってしまいました。トホホの私です。

久しぶりにぺろんぱさんと鑑賞作品かぶりました。なんかうれしいなぁ。(〃▽〃)
チケットやチラシのイラストも可愛くて、
こういう所から気分が盛り上がるんですよね。
最初の誕生パーティで集まっていた仲間はなんで友達じゃないの?というのが正直疑問だったんですけど、まぁそこは追求しない方がいいのかしらんと思いつつ見続けてました。カトリーヌとの最後の方のシーンで何となく納得させられた様な。
フランソワの恋人に対する態度は、彼の人との付き合い方を象徴してましたよねー。
おそらくブリュノとの顛末後には、恋人に対しても思いやりを見せているのだと信じたいところですが、それを表現するシーンがあってもよいのにぃと私も思いました。
そうそう、『列車に乗った男』は映画の帰りにレンタルしてきたので、今から観ます。(=^_^=)
ついさっき、ゆるりさんのブログにコメントを入れてきたところです。(*^_^*)
初回だったのですね!私は二回目の回でした。
チラシは別バージョン(二人の実写で構成されたもの)もあるのですよ〜。でもイラストの方がほのぼの感が伝わってきますよね。
カトリーヌとの最後のやり取りは私も素敵だなって感じました。
恋人に付いてもワンシーンが欲しかったですが、ゆるりさんの仰る通り、あのあと二人がいい形で寄り添いあえていることを信じることにします。
『列車に乗った男』、お楽しみ下さいね!(*^_^*)
ルコントは大好きな監督の一人なのです。
で、私も、『タンデム』や『列車に乗った男』、バディムービーものがとりわけお気に入りです。
(屈折恋愛ものもお気に入りなんだけどw)
なるほど、愛人さんには最後まで冷たかったこと、私は全然気にとめていませんでした・・・。
確かに、気遣いしようよっていうのは、愛人さんに対してもそうであるべきですよね。
今の私には、突然飲もうぜって呼び出せる友達もいないかも・・。嗚呼、、
関西での上映は、今週からはじまったんですね!なんとか時間を作って観たいです。
じゃあ、行ってきます。
ルコント監督は引退をにおわせているとか・・
※ウィキペディアで調べててびっくり。
『ハーフ・ア・チャンス』もルコント監督作だったんですねぇ。
>バディムービーもの
そうですね。
やはりルコント監督は「男達」の「つるみ?」を
描いている方が光る気がします。
>屈折恋愛ものも
あっ、『仕立て屋の恋』も私はよかったです。
イール氏が哀れでしたが。
私も「突然呼び出し」できるかといったらどうでしょう・・・もしも出来たにせよ、その行為にはかなりの勇気を要しそうです。それなりに「お一人様」扱いにも慣れてしまってたりしていて・・・^^;。
でも私はかえるさんには“数多な華やかなご交友”を想像してしまっているのですが。(^_^)
そうですね、考えてみると「恋人」というより「友だち」という方が定義が不明確である分、難しいかもしれませんね。
「恋人は?」と聞かれて「いません!!」と即答するのは潔くて小気味よい気がしますが、「友だちは?」と聞かれた時のそれは想像に難いような感じですものね。
でも、自分が「友だちだ」って思っている人はやっぱりみんな友だちだと信じたいですね。
本作、もしお時間がございましたらご覧になって、またレヴューをあげて下さいね。
そうなんです!私もつい最近ネット上で知ったことなのですが、ルコント監督はあと3作で映画作りから引く、とか・・・。と言うことは、本作の後2本ってことになります。(T_T)
もしも本当ならとても惜しい気がしますけれど、本人の意向ならやっぱり尊重したいですですね。
『ハーフ・ア・チャンス』
私は未見ですが、確かにコメディタッチのソフトアクションで、一連のルコント映画とは違ったテイストの作品のようですね。