チャウ・シンチー監督作は、4年前に日本で公開された『カンフー・ハッスル』以来ですが、特段の思い入れなく観に行った『カンフー・ハッスル』に意外にも嵌り、新作が気になっていたことは確かです。
思い起こせば4年前、『カンフー・ハッスル』鑑賞の後で友人と合流して飲みに行ったのですが、その友人もたまたま、当時公開中の『オーシャンズ12』を観てきた帰りとかで、私がカンフー・ハッスルを観た感想で「やっぱり人間、強くならんとあかんのやなぁって思った」と言ったら、オーシャンズ12を観てきた友人は「私はやっぱり人間、大金持ちにならんとあかんのやなぁって思った。」と言ったのを思い出しました。
究極の武術も巨万の富も持ち得なかった二人の、溜め息交じりの乾杯でした。
・・・で、本作の鑑賞後には「やっぱり人間、“愛”を持たないとあかんのやなぁ」って思った私です。

story
香港のヒットメーカー、チャウ・シンチーが3年ぶりに監督、脚本、製作、出演を兼ねた、貧乏親子と謎の生物の心温まる出会いを描いたSFファンタジー。
工事現場で働くティー(チャウ・シンチー)は、貧しいながらも一人息子のディッキー(シュー・チャオ)を名門校に通わせていた。息子に新しい靴すら買ってやれない貧乏生活だったが、彼らはそれなりに楽しい日々を送っていた。そんなある日、ディッキーは父がゴミ捨て場から拾って来た緑色の風船のようなオモチャが動くことを発見し……。(シネマトゥデイより)
※映画に関する掲載写真は全て映画の情報サイトより転載させていただいております。
この監督は不思議なパワーがありますね。
ナンセンスなギャグ満載で、時にはウ○コとかゴキ○リとかの子ども染みたギャグなんかも出てくるのに、観終わった後に凄く“元気をもらえている自分”に気付きます。
地球外生命体が出て来て「シンチー版E.T」とも言われたりしていますが、『E.T』より一直線(お金かけてない分シンプルでもある)、そして別の観方をすれば『E.T』より壮大???(イジメと友情、親子愛、人間愛、貧困と生活格差の社会問題、果ては宇宙との愛の交流まで?)で、何でもありの「ごった煮」感がチープ感ない交ぜという感じで不思議と楽しくもあります。

「要はB級なのね」と思われるかもしれませんが、なかなかどうして、この映画、号泣ものの作品です。
あるシーンを境にシアター内のあちこちで女性陣がバッグを開ける音が・・・。(ハンカチを出すためですね。)私も最近は涙腺が弱くなっているので、しっかりハンカチ片手に泣いてしまいました。
しかし泣かせるのですが、ギリギリのところまで持って行ってパン!と切り口を変えてサッと涙をさらってしまうという本作の演出に、この監督の流儀と言うか、「本来人間は幸を求め、逞しくあるべき」というような監督のパワーの源流を私は感じてしまいました。
笑わせて泣かせて、そして元気をくれる、常に前向きの監督のパワーに圧倒されつつ、その源流に静かにそっと咲いている「人間愛」みたいなものに酔わされもする、とっても不思議なシンチー監督です。
次回の新作も、いつのことやら分かりませんが、楽しみにしています。

主演のディッキー役のシュー・チャオは実は女の子なのです。そういう目で見れば、華奢な体の線も微妙に丸くて可愛いですけどね。
その他、子ども役は結構男女が入れ替わっていて面白い演出です。
(情報誌で書かれていてご存知の方も多いと思いますが、シンチー監督はこの主演の子役の女の子を養子にしたそうです。)
絵に描いたようなビンボー暮らしの中で、絵に描いたようなお間抜け教師や絵に描いたような冷血漢の男性教師が出て来ます。そしてそれらに比して、これまた絵に描いたように心優しく美しい女性教師・ユアンが出てくるのですが、このユアン先生役のキティー・チャン(キティーちゃんと違いますよ)の美しさは新発見の驚きです。すっかりファンになりました。
最後の方で美しきユアン先生とティー(チャウ・シンチー)のショットがありますが、オマケ的シーンでありながらも、監督が実に楽しげに演じ撮りしているのが伝わってきてとっても微笑ましいシーンになっています。

そして何と言ってもミラクル7号・ななちゃんが可愛いです!とてもとても可愛いです!
か弱い声も、ふさふさの毛も、表情の豊かさも、リアルな“歯”も、そして何より健気に尽くすあの純粋な“誠意”が、忘れられない存在のエイリアンです。
ラストは「ななちゃんだけで」よかったのじゃないかと思いますが、多分あれも監督なりの流儀なのでしょう・・・涙を、流れる一歩手前でさらってしまうというような、ね。
ご機嫌なBGMに乗って、リズムを取りながらハッピーにエンドロールを眺められる映画でした。
このレヴューを書きながら、ちょっと早いですが昼間から“我が家のミラクル7号”を相手にワインで乾杯です。


我が家のミラクル7号は後姿か…

この子はミラクルパワーを秘めているかなぁ・・・いないだろうなぁ。でも、存在だけでも私にとってはミラクルなのだからいいかぁ。
今回、”存在だけでもミラクルですからいいかぁ”て言葉にウゥッときてしまいましたぁ。
日々、それと同様のことを心に溜めまくって耐え忍んでるもんで・・・。(誰のこと言うてんねんな)(・・・ウゥッ)
ビイルネンさん同様、最後の「ミラクルa氏」へのお言葉・・・グッときました。
私は今日はカレーをアテに芋焼酎です。
今週はこの作品をご覧になったのですね。
(ちなみに『ネコナデ』は大阪市内では上映してないみたいです。)
この作品も、香港映画のいい所どり(泣かせて笑えて面白い!)風な感じで
興味あります。というか、観る予定にはない作品も
ぺろんぱさんのレビューを拝見すると、おっ面白そうやん! と
その気にさせられてしまいますねぇ。ふふっ。
ごめんなさい!(+_+)
こちらこそ、いつも読んで頂いてありがとうございます。
ビイルネンさんにとってのミラクルな存在とは・・・!?耐え忍ぶお相手とは・・・!?
私としては猫の持病ケアや夜中の攻撃とかじゃなくて、もっと“甘やかな”耐え忍びをしてみたいものですが、、、ビイルネンさんは如何に?
>グッときました
いえ、そう仰っていただくと恐縮です。何せ、夜中に起こされ続ける時は「いい加減にしてくれぇ〜(>_<)」って言ってますから^^;。
芋焼酎ならカレーの濃い味にも負けませんよ、ぐぅ〜な取り合わせではないでしょうか(^_^)!
そうなのです、『ネコナデ』ならHATシネマズ109という神戸の劇場に向かう積もりでした。猫にメロメロの大杉漣さんも見たかったんですけどねぇ(*^_^*)。
本作はゆるりさん御指摘の通り、いかにも的な香港映画と言えるかもしれませんね(^_^)。
でもって、シンチー監督自身が“楽しんで”“撮りたいこと”を撮っている感がビシバシと伝わってきて、自然と流れに乗ってしまってる自分がいました。
ちょっといただけないギャグもありますが、もしも機会がございましたら是非に。(*^_^*)
何となく、ぼこぼこ殴ったり、ぐいぐい押えつけたりして遊んでしまいました、この前(⌒〜⌒ι)
チャウ・シンチーはヴィジュアル的に、かなりお気に入りの香港俳優さんですね(カッコいい!)。
過去の作品も機あらば発掘してみたいものです。
(実は『喜劇王』とか言うDVDの香港版が家にあるんだけど、未だ未開封・・)
触れるミラクル7号君??
私は気付きませんでしたぁ(T_T)。ミラクル君、どこに居ました??
>ぼこぼこ殴ったり、ぐいぐい押えつけたりして遊んで
今後は止めて下さい!!(^_^;)
チャウ・シンチー、、、そうなのです、ビジュアル的にも「監督」というより「(イケてる)俳優」って感じですよね。よく見るとお鼻がまん丸くてそれなりに愛嬌のある面相なのですが。
>『喜劇王』とか言うDVDの香港版が
やはりTiM3さんはあらゆる世界でマニアでいらっしゃいますね。感服です。
>触れるミラクル7号君??
>私は気付きませんでしたぁ(T_T)。ミラクル君、どこに居ました??
7階(メインフロア)の背後、エスカレータから上(各シアター内)に上がる入口に向かって、
やや左側でしたよ。
もう撤去されたんかな?
因みに、入口付近にはインディグッズ(帽子とムチ)がケース内に飾ってたと記憶してます。
>あらゆる世界でマニアでいらっしゃいますね。感服です。
いやぁ・・まだまだ、、(⌒〜⌒ι)
多分、入場の際に通るところなのでミラクル君がいたら気付いていたと思うのですが・・・既に撤去された後だったかと思います、残念です。
私は久々のメジャー館で、ブルク7の混雑振りにただただ圧倒されていました。(イチャ2系カップルも結構いましたし…^^;)
私はシアター開場を待つ間、その「インディーグッズ」陳列ケースの傍に立ってココアを飲んでいましたぁ(^O^)/。
>私はシアター開場を待つ間、その「インディーグッズ」
>陳列ケースの傍に立ってココアを飲んでいましたぁ(^O^)/。
あそこは「寛げる空間度」がゼロに近いですよねぇ。
たまに、空いてたら、背後(エスカレータの裏側?)に回り込むと
スピーカー(BOSEだったかな?)の展示コーナーが空いてて、座れますよ、確か(・ω・)
ちょっと前、チャウ・シンチーさんの「少林サッカー」のDVDを観ました。傑作ですね。馬鹿馬鹿しさと優しさが一緒になると、もう言葉がでません。何度も繰り返し観てしまいました。「ミラクル7号」は近々観る予定に入っています。
>スピーカー(BOSEだったかな?)の展示コーナーが空いてて、
情報をありがとうございます!そういえばそういうスペースがありましたね。
今度行く時にはしっかりインプットして臨みます。(^_^)
ウチのミラクル、他にも時々顔写真を載せている記事があるはずなのですが、今すぐ思いだせるのは下記の記事です。正面むいての写真じゃないですが、よろしければご覧下さい。↓
http://shinemadekanpai.sblo.jp/article/1336346.html
『少林サッカー』は『カンフー・ハッスル』よりも傑作だと評するお方が多いですね。
>馬鹿馬鹿しさと優しさが一緒になると、もう言葉が
そうなのです、ドタバタ劇に「優しさ」が加味されているのですよね、シンチー映画には。
『ミラクル7号』、御予定通りご鑑賞の運びとなった際は是非お楽しみ下さいね。