2008年08月10日

ダークナイト THE DARK KNIGHT


 昨日9日(土)は、封切を待っていた「ダークナイト」(クリストファー・ノーラン監督)を。
 世の学生諸君は夏休みだし、封切初日で混雑は必至と思い、「混んでる時のHAT神戸頼み」で109シネマズHAT神戸での鑑賞。
後方ではありましたが、好みの「左通路側」の席をゲットでき、ゆっくりと鑑賞。

メジャー館での鑑賞は余り多くない私なので、たまに本作のような映画を観に行くと予告編でいつも「ハリウッドはえらいことになってるなぁ〜」と驚いてしまいます。
『ハンコック』や『ウォンテッド』、『アイアンマン』、ついでに『ハムナプトラ3』なんかも、とにかくCGが凄い凄い。
予告編だけであらゆる物が壊され炎上しました。その効果音だけで、もうぐったりです。
でも本作『ダークナイト』も結構えらいことになってました、はい。

               シネマズHAT神戸にて.jpg シアター前

story
 バットマンの最凶最悪の宿敵であるジョーカーの登場で混乱に陥ったゴッサムシティを守るべく、再びバットマンが死闘を繰り広げる。敵役のジョーカーを演じるのは2008年1月に亡くなったヒース・レジャー。シリーズで初めてタイトルからバットマンを外したことでも注目されている。
  悪のはびこるゴッサムシティを舞台に、ジム警部補(ゲイリー・オールドマン)ハーベイ・デント地方検事(アーロン・エッカート)の協力のもと、バットマン(クリスチャン・ベイル)は街で起こる犯罪撲滅の成果を上げつつあった。だが、ジョーカーと名乗る謎の犯罪者の台頭により、街は再び混乱と狂気に包まれていく。最強の敵を前に、バットマンはあらゆるハイテク技術を駆使しながら、信じるものすべてと戦わざるを得なくなっていく。(シネマトゥデイより)
     ※映画に関する掲載写真は全て映画の情報サイトより転載させていただいております。


 このタイトルの意味するものが「バットマン」シリーズの“これまで”を覆しかねないくらいの意味深いものであった事と、あとは、何と言っても「ヒース・レジャーのジョーカー振りが圧巻」という、この二言に尽きる映画でした。
                 ダークナイト.jpg

シリーズを全作観てきましたが、バットマンと対する悪役を初めて「怖い」と思いました。

それほどヒース・レジャーはこの役に渾身の力を注いでいたのですね。
お金でもない、権力掌握でもない、ただ己が邪悪心を満たすためだけに為す極悪非道の行為。
「絶対的悪」の存在がそこにはあり、異様なまでに狂気に満ちたダークサイドに生きる者の姿を、まるでジョーカーとヒースが一体になったかのように全身の力を込めて演じていたように感じました。
そこまでの狂気に至るジョーカーの人生経緯も、言葉少なながらジョーカー自身の口から語られますが、ヒースはそれらの不透明で模糊とした幾つかの情報を基に、自分なりのジョーカー像を丹念に作り上げていったのでしょうね。死と引き換えになるくらいの荒行だったのかも知れないのに。
                 ダークナイト2.jpg

エンドロールの終りに「ヒース・レジャーとコンウェイ・ウィックリフに捧ぐ」の文字が・・・。コンウェイ・ウィックリフとは、本作撮影中に亡くなった撮影技師さんだそうです。
そしてヒース・レジャー。その追悼の文字を見て改めて「あぁ、この人はもうこの世にはいないんだ・・・。」と思いました。
そしたら何だか喉の奥に熱い塊のようなものがこみ上げてきた私です。
御冥福を祈ります。
                ヒース.jpg 故ヒース・レジャー

 この映画、2時間32分と、長いです。
本作のタイトルの意味するものを未だ知らないでいた時、そう、後半あたりで「そろそろこの辺で終わってもよかったのに」と感じたものですが、実はそれ以降の展開に最もこの映画の意図するところがあったわけです。
そう、終盤30分がこの映画のキーです。

DARK KNIGHT 〜暗黒の騎士。
「俺はヒーローじゃない」との言葉を残したバットマンですが、ヒーロー物として観てきたシリーズだっただけに、本作で自らの存在理由に於いて苦悩するブルースを見るのはファンとしては非情に忍び辛いものがありました。
「夜明け前が最も暗い」と語られるその言葉を信じて、いつかゴッサム・シティーに市民の(心の中の)光の騎士としてカムバックして欲しいと願いながらも、真のヒーローとして生きる決意をしたブルースの姿が、実はシリーズ中で最も気高く感じられたことも確かです。

                ダークナイト6.jpg

さて、本作ではあらゆるハイテク技術が登場しますが、殆ど付いていけなくなってます、私。(そういう意味では初期の頃のバットマンが懐かしい。)
特にモーガン・フィリーマン演じるルーシャス・フォックスが操作するあの<全携帯盗聴システム>ってなんですか、あれは?!
新兵器についてレクチャーを受けながらアルフレッド(マイケル・ケイン)に「先ずは説明書を読んで」って言われてるブルースがお茶目でした。
しかし、ハイテク技術の最たる見せ場は何と言ってもあの「バットモービルからの脱出シーン」でしょう!
思わず「おぉっ!」と声を上げてしまいました。目の冷めるような爽快シーンで必見モノです。
                ダークナイト1.jpg

そんな中、静かながら力強く見せてくれた「船の起爆スイッチのシーン」はドラマとしての重厚感が有り、ハイテク物の氾濫だけで見せている映画ではないのだとも感じます。

何となく残念に思えたのは、ゴッサム・シティーが魔的なベールを取り去ってしまったかのように「現実的な大都市」に感じられたことです。もっとダークで、妖しげで、それでいてオモチャ箱的な、そんなイメージじゃなかったですか??
どんどんと(ある意味)綺麗にスマートになっていくのが少し淋しいところです。
それからもう一つ。
ブルースやデント(アーロン・エッカート)が命を賭して守ろうとする最愛の女性レイチェルですが、演じたマギー・ギレンホールに今一つそこまでの魅力が感じられなかったのも残念なことの一つです。
                ダークナイト3.jpg

悪役<Two-Face>の誕生秘話もテーマの一つだと思いますが、とにかく本作は、自らを「暗闇の騎士」と称する本当のヒーロー像と、今は亡きヒース・レジャーの狂気のジョーカー像とに酔ってもらえる作品ではないかと思います。
(あ、キリアン君がちょこっと出てきたのは嬉しいサプライズでした。)


                ドライ・マティーニ.jpg

 先日お連れ頂いた北新地のBarにむらでの<ドライ・マティーニ>。
いでたちもクールで凛として、味わいも
大変美味しゅうございました。
何となく、画的に<ダークナイト>のイメージじゃないですか。
posted by ぺろんぱ at 16:27| Comment(10) | TrackBack(1) | 日記
この記事へのコメント
マギー・ギレンフォールてジェイクさんのお姉さんですね。ここでも繋がってるんやぁ・・・。
Posted by ビイルネン at 2008年08月10日 17:12
ビイルネンさん、ようこそです。

そして!
>マギー・ギレンフォールてジェイクさんのお姉さん

うわぁ、ほんとだ!ファミリーネームが一緒ですね!私、ちっとも認識していませんでした!
本当ですね、ここでも繋がっているのですね、そう考えると嬉しいです。(マギーさん、今一つ魅力を感じず、だなんて書いてごめんなさいです。)
情報をありがとうございました\(~o~)/
Posted by ぺろんぱ at 2008年08月10日 19:07
ぺろんぱさん、こんばんは^^
予告編の効果音だけで ぐったり・・・← わかります〜
その後の本編もえらいことになってましたし、
お疲れ様でした(笑)

本作、クライマックスが一度ではなかったのですね。
そうそう、裏の裏をかく展開〜終盤30分の流れはお見事!
ラストカットには唸ってしまいましたよ。
DARK KNIGHT〜暗黒の騎士ときたかっ!って。
そしてエンドロールの頃には私も熱いものが・・・
ヒースが身を削って演じ切ったJOKERは
本当に圧巻でしたね。凄いの一言に尽きます。
これからもどんどん進化し活躍したでしょうに・・
残念でなりません。

そういえば、一瞬ですがエディソン・チャンも出演してましたね。
今頃、彼は何をしているのでしょう・・・^^;



Posted by Any at 2008年08月10日 21:57
おお、ご覧になられたんですね。

予告編では、リモコンバイク(?)みたいなのが走り回ってますが、あれも隠し兵器なんでしょうかね〜。

私的には「麻袋かぶってるキリアンくん」の復活に期待しております(・ω・) ・・ってカメオ出演程度なんかな?

追記:ロビン君がぼちぼち出るのかどうか、ちょこっと興味津々です。
Posted by TiM3 at 2008年08月10日 23:37
ぺろんぱ様 こんにちは。
観てきました「ダークナイト」!
一言でいうと、素晴らしく良くできた映画ではあったのですが息苦しい気分になった映画でした。
ヒース・レジャー演じるジョーカーがあまりに凄過ぎて途中から「酸欠」になり…
ヒース・レジャーこれでアカデミー賞の候補と言われているそうですが、「あっち側」に魅入られて死んじゃったんじゃないか!?と思わずにいられない役でしたよね…
深く考える映画でもありましたが、観終わったら
速攻飲み屋に走りました。
Posted by oblio at 2008年08月11日 17:37
Anyさん、ようこそです。

>DARK KNIGHT〜暗黒の騎士ときたかっ!

そうですね〜。
キーとなるこの詞、拙ブログに書いていいものか逡巡しつつも、これがなくては語れなくて結局書いちゃいました。“ネタ晴らしぺろんぱ”はヒンシュク者です^^;。

Anyさんのレヴューでは、実はさほどファンではない私でさえ惚れ直してしまいそうな思い入れのある“ヒース語り”を拝読させて頂き、静かに感動していた私です。
それだけに、、、本当に残念ですね。

エディー・チャン。
えっと・・・香港パートに出ていたのでしたっけ??違っていたらゴメンナサイ。実はエディーさんを余り詳しくは知りません(>_<)!勉強しますね!
Posted by ぺろんぱ at 2008年08月11日 20:55
TiM3さん、ようこそ。

>リモコンバイク
まさにそれの登場シーンに○○○!だった私です。

キリアン君は麻袋を被ってました。(^_^)
でも、あんなあしらい方ってないわ!と監督に向かって抗議したい私でした。^^;

ロビン君は確かシリーズ3作目で初登場だったのでしたよね?
本シリーズはバットマンもヒロインも結構俳優さんが替わるので、ロビン君が再登場するなら演じるのは誰なのでしょう・・・。
作品世界のイメージが変わってきているので、これから同監督で撮られるならロビン君のキャラも変わるのかもしれません。
Posted by ぺろんぱ at 2008年08月11日 21:01
oblioさん、ようこそです!

「息苦しい」と仰るoblioさんに同感です。
ヒース・レジャーも役造りの上でその息苦しさに耐え切れなかったのかも・・・。
完全にあちら側に“いってしまって”いる感じがしましたものね。

私も観終わってから迷わず飲み屋さんに走りました。^^;
Posted by ぺろんぱ at 2008年08月11日 21:08
ぺろんぱさん、こんばんは!
私も2時間半、身動きもせずに画面にくぎ付け状態でした〜☆
悪の挑戦を受けて悩めるブルース。
アメコミながら、大人のドラマが展開されましたね。

>何となく残念に思えたのは、ゴッサム・シティーが魔的なベールを取り去ってしまったかのように・・・
そう!
それで私も妙にリアルになって、、、(uu;

ドライマティーニ!ぴったりですyo♪
Posted by kira at 2008年08月13日 20:59
Kiraさん、ようこそです。
シリーズでは前作から結構重厚ドラマ路線ですよね〜。今後も同様の路線で進むのでしょうか。
今後のブルース役とか(余りコロコロ替わってほしくないですが)、永遠の敵・ジョーカーがヒース・レジャーを超える演者は難しいから封印されちゃうのかな、とか、考えてしまうところです。

ゴッサム・シティーはもうちょっと妖しげ?な方がいいですよね。(^_^)
Posted by ぺろんぱ at 2008年08月15日 07:35
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Excerpt: 原題 THE DARK KNIGHT 製作年度 2008年 上映時間 152分 監督 クリストファー・ノーラン 出演 クリスチャン・ベイル/マイケル・ケイン/ヒース・レジャー/ゲイリー・オールドマン/..
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Tracked: 2008-08-13 20:49