先日約一ヶ月振りに寄せていただいたJazz Bar Wishy-Washyで、珍しい形のボトルのウォッカを飲みました。
トランペット型(ちゃんとピストンバルブもあります)のボトルで、その名も<JAZZ>です。まるい感じのふくよかなウォッカで、ソーダでハーフに割ってライムを搾っていただきました。美味しゅうございました。(*^_^*)


「トランペット形だけにボトルのままラッパ飲みしたりて・・・」と戯言を交わしてみたりしたものですが、昨日23日(土)に鑑賞した映画は、観終った後本当にそうやってハードリカーをぐいっと流し込みたくなるくらいにヘヴィーで心にずっしりとくる作品でした。
シネリーブ梅田にてテリー・ジョージ監督の『帰らない日々』を鑑賞。
story
ジョン・バーナム・シュワルツの同名小説を『ホテル・ルワンダ』のテリー・ジョージ監督が映画化。
幼い息子をひき逃げされた大学教授一家と、ひき逃げ犯である弁護士の交錯する運命を描く。
息子をひき逃げされた大学教授のイーサン(ホアキン・フェニックス)と妻グレース(ジェニファー・コネリー)。それぞれが悲しみのあまり自分を責める中、イーサンは遅々として進まない警察の捜査に業を煮やし、弁護士事務所に調査を依頼。だが、依頼された弁護士ドワイト(マーク・ラファロ)は、ひき逃げした張本人だった。(シネマトゥデイより)
※映画に関する掲載写真は全て映画の情報サイトより転載させて頂きました。

一つの事故を境に、じわじわと追い詰められ、まさに“崩壊”に向かっていく二つの家族がじっくりと描かれています。
小さなコミューンの中で起こった事なので感情の渦がより直接的で大きなものになったのだと思いますが、それだからこそ複雑に絡みあう要素が完全崩壊の一歩手前で逆方向に働く力を動かせ、「一つの救い」を見せたのでしょう。そしてそこにこそ本作の価値があったのだと思います。
終盤はただひたすら「それだけは止めて…」と心の中で叫んでいた私ですが、“それ”が阻止はされたとしても双方の苦しみが忘れ去られるものではないことは明らかで、救いはあったにせよ、もう二度と平穏で心から笑える日々は帰らないのだと思います。

加害者と被害者という単純な構図を超えて、「人間の罪と罰」についての問いを叩き付けられるかのようでした。
悲しみと復讐の念にかられ妻や娘の存在を置き去りにし、結果的に第二の悲劇を招こうとしてしまうイーサンを哀れに思う反面、自分の家族を思い苦悶する加害者ドワイトに時として深く感情移入もしてしまうのです。
自分の知る人にイーサンのような気持ちを味わって欲しくはないし、それ以上にドワイトのような気持ちも味わって欲しくはありません。亡くしても、それを奪った側になったとしても、悲劇しかありませんから。

そんな中で二人の子ども−イーサンの娘エマ(エル・ファニング)とドワイトの息子ルーカス(エディ・アルダーソン)−の存在が光ります。
特にエマの言葉「天国に届く?」は、残された人間をこそ守り、大切にしていかねばならないのだと気付かされる言葉でした。
そしてこれからルーカスが背負うことになる苦しみを思う時、胸が締め付けられる思いがします。ドワイトが最も恐れたことがそれだったのでしょうね。

イーサンの悲しみは執念となり、途中からは狂気。
ホアキン・フェニックスの目が怖かったです〜。目力のあるホアキン君ですが本作では違う方向に目力が働いてました。
好きな俳優さんの一人ですが、今まで青年の役柄のイメージが強かったので父親役というのが初めはしっくりこなかったです。それと大学教授というより、あの風貌はどう見たってテロリストです^^;。しかしやっぱり好きですけれどね、ホアキン君。

そしてドワイトを演じたマーク・ラファロ。
逃げたいという気持ちと良心の呵責に揺れ、追い詰められていくギリギリの精神状態をとても上手く表現していたと思います。
『死ぬまでにしたい10のこと』や『イン・ザ・カット』の時は気にとめていませんでしたが、先日DVDで鑑賞の『ゾディアック』でその“声”の響きに惹かれ、本作ですっかりファンになりました。頑張って下さい。(この声は「マークに届く?」)
最後に、拙レヴューの締めくくりとしてこの一文を挙げたいと思います。
車を運転する時は携帯の電源を切るか、マナーモードにしてバッグの中にしまって下さい。自分の人生と家族を守るためにも。
ジェニファーさん、近年は『ビューティフル・マインド』『ダークウォーター』と、不幸な役が続いておられるような・・
そうだ、締めくくりの1文、改めて気を付けます・・。
ビデオテープの巻き戻しはできても、日々の巻き戻しはできんわけで、そやからこそ、”今を大切に”てことしかないのでしょうね。(言い尽くされた言葉ーけどやっぱそれしかないよなぁと実感の日々・・)
>出来事の1つが『21グラム』
そうでしたね、あれにも交通事故が描かれているのでしたね。まだ観ていないのですが。
そうそう、ジェニファーさんについては触れず仕舞いでしたが好演されていました。
作品としてはもう少し彼女の(妻・グレーズの)心的描写があってもよかったのにとは思いましたが。
>改めて気を付けます
はい。(^_^)
本当にどうぞお気をつけて。そして楽しいドライヴを!
そうなのですよね・・・時間を巻き戻すことは出来ないのですよね。イーサンにしてもドワイトにしても、もし事故前に戻れるタイムマシンがあったら全財産をはたいても手に入れるだろうと思われるほどの“痛い日々”が続いていました。
でもそんなのは無いわけで・・・だから仰る通り、今の人生を大事に考えるしかないし、本作でもそうすることによって開ける道もあるのかもしれません。