2008年08月31日

アクロス・ザ・ユニバース

 8月最後の劇場鑑賞作は、昨日(土)、ビートルズ曲をフィーチャーしたミュージカル映画『アクロス・ザ・ユニバーズ ACROSS THE UNIVERSE 』(ジュリー・テイモア監督)です。於:梅田ブルク7。

「宇宙を超えて」・・・“宇宙の中”に存在する“自分”を見つめ、「何ものも僕の世界を変えることは出来ない」と歌ってその深遠な世界観を表現したジョンの名曲ぴかぴか(新しい)ですね。
そう言えば前回のブログでは宇宙のことについて触れてみたのだっけ。なんだかまたしても私的に「人生は繋がっている」と思えた昨日。

ちょうどブルク7では同フロアーで上映の『仮面ライダー・キバ 魔界城の王』なる映画と開場時間がピッタリ同じで、シアターへの移動エスカレーターにはキャラメル味のポップコーンとジュースやコーラを抱え小さな子どもを連れたパパさん&ママさんが何組もいらっしゃいました。
たまの休日にお子様サービスなのですね〜。家族愛なのですね〜。
やっぱり、愛なのだ。愛こそ全て。 All You Need Is Love !… Love is all you need !
( by ザ・ビートルズ)


                アクロス.jpg

story
全編にわたってビートルズの名曲を使用し、1960年代のアメリカに生きる若者たちの青春を描いた異色ミュージカル。監督は『フリーダ』のジュリー・テイモア。
イギリスのリバプールに暮らすジュード(ジム・スタージェス)は、まだ見ぬ父を捜しにアメリカへ。父の働くプリンストン大学へ出向いた彼は、そこで陽気な学生マックス(ジョー・アンダーソン)と出会い、意気投合する。さらに、ジュードはマックスの妹ルーシー(エヴァン・レイチェル・ウッド)と知り合い、恋に落ちるが……。(シネマトゥデイより)
    ※映画に関する掲載写真は全て映画情報サイトより転載させて頂いております。


オープニングの海辺のシーン。
ジュードの口ずさむ「♪ Girl」が切ないこの幕開け、なんて素敵なのでしょう。いきなり物語にぐぐっと引き込まれてしまいました。

元来ミュージカル映画は得意分野?ではないのですが、この映画は素敵に心を打ってくれました。
ビートルズの曲って時を超えて愛されているけれど、そこには普遍の語りかけがあるからなのでしょうね。本作で改めて、ビートルズの曲の数々のメッセージを字幕の日本語歌詞でじっくり味わうことが出来ました。

                 アクロス3.jpg

ビートルズの名曲の為せる力も勿論あるのでしょうけれど、この監督の独創的な魅せ方には目を、そして心を奪われました。
歌って踊るというミュージカルの定石を良い意味で覆し、演者たちが時に台詞を口ずさむように歌い、時には大胆な画面転換を図ってエネルギッシュに、ビビッドに、アグレッシブに、或いはメランコリックに、それぞれの曲を様々な演出の仕方で聴かせてくれました。

アート感覚溢れる美しいシーンやサイケデリックな色彩の迷宮といったような不思議な世界が展開し、「うわぁ、ここでこの曲をこんな風に使うのっ!?」っていう新鮮な驚きもありの130余分でした。

                 アクロス4.jpg

特に印象深いのは、戦禍のシーンを織り交ぜ、平和への願いを込めて歌われた「♪ Let It Be 」が流れるシーン…、徴兵されゆく若者達の身体検査機関でサイボーグと化した軍人たちが独創的なダンスを繰り広げる「♪ I Want You 」のシーン…、そして最も圧巻だった、失意のジュードと戦場のマックスを交錯させて届かぬ思いと悲痛な心の叫びを描いた「♪ Strawberry Fields Forever 」の流れるシーンです。

                アクロス2.jpg

そうなのです、この物語はジュードとルーシーのラヴ・ストーリーだけじゃありません。
反戦映画といってもいいような(物語の時代はベトナム戦争真っ只中)、戦争の不条理さとそれがもたらした負の要素を描き、平和を祈る思いが強く感じられました。
物語では「♪ Hey Jude 」で「世界を一人で背負おうとするな」と歌い、「♪ All You Need Is Love 」で「愛こそが全てなんだ」と歌われているのですもの。
時代を取り巻く閉塞感から解き放たれ心も体も軽くなって、「自由」という翼を身につければそこに初めて見えてくる大切なことがあるよって、そんな言葉が聞こえてくるようでした。

一度は“潰れてしまった”苺だけど、やっぱり「捕らえられるものなど何もない理想郷・ストロベリー・フィールズ」へ、みんな行ければいいね、大切に想う人と一緒に。

                 アクロス5.jpg

ジュードを演じたジム・スタージェスは見る角度によって若き日のポール・マッカートニーに似ています。
傷付きやすく、叶わぬ思いに揺れる繊細な役どころがとてもぴったりでした。
歌は演者全てが吹替えなしで歌っているそうですが、どの歌もパワフルに、或いはバラードとして切なく歌って聴かせてくれています。

素敵なミュージカルを撮ってくれたジュリー・テイモア監督。
以前からテイモア監督の『フリーダ』は、拙ブログにコメントを下さっているビイルネンさんからお薦め頂いて私的<お題作品>となっているのですが、不甲斐ない私は未消化のままです。この高揚感が過ぎ去ってしまわないうちに観る事ができればいいのですが。


さて。
苺じゃないけれど、真っ赤なトマトを使って、ベースをジンに変えて、ブラッディー・マリーならぬ<ブラッディー・サム>を作ってみました。
                サム.jpg                
我流でソーダをちょっとだけ加えてみましたが、鮮明な赤色が薄くなってビジュアル的には失敗でした。たらーっ(汗)

でも美味しいです、ブラッディー・サム。
BGMは「♪ Lucy In The Sky With Diamonds 」で。


posted by ぺろんぱ at 12:44| Comment(12) | TrackBack(2) | 日記
この記事へのコメント
こちらでも今日は。

今日も暑かっ・・(←もう挨拶はええっちぅねん)

あ、イイのをご覧になられましたね〜

ワタシも狙ってはいましたが、、今回は違うのに行きました☆

ジュリー・テイモア監督と言えば、ワタシも(主人公の眉毛が繋がってる)『フリーダ』は未見でして・・
専ら思い出すのは『タイタス』ですね。

『タイタス』の映像世界もスゴかったですよ〜
シェークスピア原作の古典劇なのに、クルマは出るわ、バイクも出るわ、と・・冒涜すれすれのオマージュぶりでした(=^_^=)
Posted by TiM3 at 2008年08月31日 18:28
Lucy In The Sky With Diamonds って
LSDの略語ではないかと言われた時期があったと
友人が昔言ってました

MaryがSamになっちゃうんですね

さすがぺろんぱさん ジンはタンカレー
Posted by kbow at 2008年08月31日 19:59
TiM3さん、再びこんばんは。
今回ご覧になったのは何だったのでしょう・・・また貴レヴューを楽しみにしております。

『タイタス』ですか!
大胆な展開は本作と通じるものがあるみたいですね。タイタス・・・心に留め置いておきます!
Posted by ぺろんぱ at 2008年08月31日 21:36
kbowさん、御無沙汰です、いらっしゃいませ。

そうなのです、「LSDの略」というのも根底に「お酒」と絡めてみました(^_^)。
何よりこの曲が本作で最後に使われていたので、ね。

ジンはいろいろ買います。(^_^)
今回はたまたまタンカレーでした。でもすっきりテイストのスマートなジンですよね、タンカレーは。
Posted by ぺろんぱ at 2008年08月31日 21:41
こんばんは。
ぺろんぱさんもミュージカル苦手派でしたか。
そんな壁をサラリと超える魅力が本作にはありましたよね。
ミュージカルや音楽映画は観まくっている私にとっても、この独創性とビートルズの音楽の素晴らしさは格別でした。
フリーダの鮮やかラテンな情熱もまたいいですよー。
Posted by かえる at 2008年09月01日 23:23
かえるさん、いらっしゃいませ!

ミュージカルのツボを押さえておられるかえるさんにして“格別なもの”となった本作って「やっぱりサイコー!」です。(*^_^*)

『フリーダ』・・・フリーダ・カーロは描く絵も一度見た忘れられない情熱的なタッチですものねー。
観ます!
Posted by ぺろんぱ at 2008年09月02日 20:49
がむばって観て来ました『ATU』!(省略せんでもよろしいか・・)

ばんばんに極彩色でしたね、、あんなカラフルなベトナム戦争ネタの映画は初めて観ました(・ω・)
Posted by TiM3 at 2008年09月05日 23:36
TiM3さん、こんにちは。
ご覧になられたのですね!

カラフルでしたよねー。レヴューを楽しみに、後ほど貴ブログにお邪魔致します!
Posted by ぺろんぱ at 2008年09月07日 15:06
こちらにも、こんばんはっ。

私もミュージカルの唐突さについていけない時があって、
ちょっと苦手意識があるんですが、
これは! なんつーか自然にスーッと入ってくるんですよね、音が。
急に踊り出すなんていうシチュエーションがなかったのも良かったしね。

もちろん映像も素晴らしかったんですが、ぺろんぱさんのおっしゃる通り
曲の歌詞をじっくり味わうことが出来た事が嬉しかったです。
ビートルズの詞について考えた事って今迄無かったけど、
物語とリンクしてすごく色んな事を感じさせてくれて。。。。

ミュージカルとしては、ちょっと目からウロコって感じでした。
Posted by ゆるり at 2008年09月08日 01:16
ゆるりさん、こちらにもようこそです!

ご覧になられたのですね!(^_^)
やっぱりビートルズは「世界のビートルズ」なんやと再認識した次第です。

そしてそれを本当に上手く、そして「古典」といわれるまでになったビートルズにして「新しく」「斬新に」、アートなミュージカルに仕上げたこの監督のイマジネーションって素敵だぁ!と、私もゆるりさんと同じく「目からウロコ」でした。(*^_^*)
Posted by ぺろんぱ at 2008年09月08日 20:33
復活は「アクロス・ザ・ユニバース」でした。
京都上映最終時間に間に合いました。

曲はもちろんビートルですから耳慣れていますが、ここで、この歌という驚きが新鮮でした。その物語と曲の組み合わせが絶妙。サイケな色調とシュールな映像にははまりますね。

若い人が多く、灯りがつくまで誰も席を立ちませんでした。
「オレ、よう知らんねんけどなぁ、あの名前、歌にでてるやつばっかりちがうか?」

良い映画は明日へのエネルギーを与えてくれます。
Posted by keyakiya at 2008年09月14日 08:20
keyakiyaさん、こんにちは。
TBもありがとうございます。
この作品でご復活!でしたか。
ミュージカルは歌のパワーも相まって「力倍増」かもしれませんね。(^_^)

登場人物の名前や設定の細部に渡ってビートルズにリンクするところが沢山ありましたね。
それらを全部指摘できる人って凄いと思います。
「よう知らん」若い人でも名前がビートルズとリンクしてるって分かるなんて、さすがは不滅のビートルズです。(*^_^*)

不思議な魅力に満ちた作品でした。(*^_^*)


Posted by ぺろんぱ at 2008年09月14日 11:40
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/18618649
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック

アクロス・ザ・ユニバース
Excerpt: Across the Universe(2007/10/16)Original Soundtrack商品詳細を見る ↑ サントラはかなりいい出来では?! イチゴのシーンも素敵でしたぁ 監督:ジ..
Weblog: ゆるり鑑賞 Yururi kansho
Tracked: 2008-09-08 01:17

アクロス・ザ・ユニバース
Excerpt: アクロス・ザ・ユニバースHP  http://across-the-universe.jp/ 浜辺で唄う「girl」で幕が開く。陰鬱なスコットランド、リバプールの海。切なく甘いメロディにキュー..
Weblog: Art- Mill  あーとみる
Tracked: 2008-09-14 00:01