2019年08月27日

ロケットマン     すべてが今の彼の礎と思いたい


  アースシネマズで『ロケットマン』(デクスター・フレッチャー監督)観ました。

世界的ミュージシャン、エルトン・ジョンの半生を描いたミュージカル仕立ての作品。エルトン・ジョン本人も制作総指揮として名を連ねています。

storyぴかぴか(新しい)
イギリス郊外の町で両親の愛を得られずに育った少年レジナルド(レジー)・ドワイトは、唯一、音楽の才能には恵まれていた。やがてロックに傾倒し、ミュージシャンを目指すことを決意したレジーは、「エルトン・ジョン」という新たな名前で音楽活動を始める。そして、後に生涯の友となる作詞家バーニー・トーピンとの運命的な出会いをきっかけに、成功への道をひた走っていくが……。 ※映画情報サイトより転載


  エルトン・ジョンはLOVEバラード集のCDを一枚持っている程度なのですが、エルトンファンの友人からはよくその名を耳にしていましたっけ。
同性愛者であることは周知のことでしたが、それ以前にあのド派手なパフォーマンスに“きっと(精神的に)いろいろある人なのだろうなぁ”とは漠然と思っていましたが、本当にいろいろある(あった)人でした、エルトンジョン。

     
                         ロケットマン チラシ - コピー.JPG


映画タイトルは<Rocket Man>ですが<Goodbye Yellow Brick Road>の曲がまるで作品のメインテーマのように何度か流されます。
エルトンのバラードの数々はどれも素敵ですが、本作を観たあとの今はこの曲が脳内ヘヴィーローテーションになっています。とても好きな一曲になりました。


  心が穴だらけで冷徹な父親。
「閉じ込められた愛」で毒を吐くことでしか子どもと接することができない母親。
そんな中で育ち、レジー少年はいつしか自分自身を愛せなくなっていたんですね。
自殺未遂シーンはこの上なく痛々しく、且つこの上なく切なく美しいものでした。

エルトンのセラピーでは「自己を許す」ことが請われていましたが(今年観た映画『ドント・ウォーリー』でも同じことが言われていましたっけ)、エルトンにとって一番許さなければならなかった対象は、誰からも愛されなかった少年の頃の彼をずーっと愛せないままでいた“今のエルトン自身”だったのですね。
セラピーの輪の中でレジー少年と対峙するエルトンの姿には胸を強く掴まれました。

同性愛者であることも、やはり辛いことが多かったのですよね、エルトン。
肉親の愛にすがりたくて思い切って打ち明けた母親が「孤独な人生を選んだと思いなさい」と彼に言い放った言葉は非常に重く、受話器を握りしめたままのエルトンと共に私も心の中で泣きました。


生涯の友となる作詞家バーニー・トーピンとの出逢いのシーン、そしてあの名曲<ユア・ソング(僕の歌は君の歌)>が生まれた瞬間のシーン。
全編通して心に痛く辛いエルトンの姿がこれでもかと描かれ続けられていた中で、今思い出してもあたたかで柔らかく、確かに幸せを感じさせてくれるシーンでした。
エルトンを演じたタロン・エガートン本作での全曲を吹き替えなしで歌い上げています。
心に響く歌声で、その巧さには驚きでした。ナイーブな面持ちもある種の母性本能をくすぐる素敵さでした。


「未来は黄色いレンガ路の向こうにある…。」( Goodbye Yellow Brick Road より )
元の自分を消してなりたい自分になると「エルトン・ジョン」と名乗った彼ですが、元の自分レジナルド・ド
ワイトを受け入れて、どうかこれからも心を解き放つ人生であり続けてください。ぴかぴか(新しい)



                        raku namabi2 - コピー.jpg                      
  
  母親を演じたブライス・ダラス・ハワード。
好きな女優さんの一人なので彼女観たさもあっての本作チョイスでしたが、最初出てきた時にはブライス…って分からなかったです(肉付きが…)。それでもやっぱり好きな女優さんですけどね。

Goodbye Yellow Brick Road には「立ち直るまでには2、3杯のウォッカ・トニックが必要だ」っていう歌詞がありますが、ウォッカトニック2、3杯では私の立ち直りには多分足りないです。
そういえばいろいろあって今夏は大好きなジンを楽しめていません。

今はせめて今秋のジンを楽しみにしていよう…と思っています。





posted by ぺろんぱ at 19:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
今回レビューを拝読して、ぺろんぱさんに共感しっぱなし。

共同作業で名曲の数々を生み出す、そんなバーニーとの関係性が本当に羨ましい。

一方で精神的に追い込まれていったエルトン。
彼と結婚した女性も、そんなエルトンを見ているのは辛かったんじゃないかなぁと、
実話だけに色々考えてしまいました。

実はこれまで彼の曲を積極的に聞いた事がなかったのです。
今回、私のお気に入りは「タイニーダンサー」と「ロケットマン」です。
あのプールの底のシーンは、哀しいけど綺麗でしたね。

70年代のアメリカのギラギラ感(ファッションも人々の野心も)が
「トム・オブ・フィンランド」と共通してるなー、なんて感じました。

増量して役作りしても、タロンのチャーミングさは隠せない!ですね。


お酒の弱い私でも美味しいと思える、それがジントニックですが。

>ウォッカトニック2、3杯では私の立ち直りには多分足りない

一杯でもう、かなりクラクラきてしまう私には羨ましい!
美味しい時間をゆっくり長く楽しみたいとい気持ちだけはあるのです。
くやしい。。。
Posted by Yururi at 2019年08月31日 21:17

Yururiさん、ようこそです。

結婚したあの女性との出会いと別れは、短いシークエンスでしたが印象深かったですね。
エルトンにとっては「やっぱり違ったんだ」と改めて自身の本質に向き合わざるを得ず、女性にとっては「結婚した相手が結局は自分を見てはいなかった」って言うの…凄く辛いと思いました。
でもあのエピソードをきちんと映画に取り入れたということはエルトンのその女性に対する優しさなんだろうなぁと考えたりもしました。

「タイニーダンサー」。
開放感、希望、そういうのを感じるいい曲ですよね。

>「トム・オブ・フィンランド」と共通してるなー、なんて

アメリカっていう国は良くも悪くもやっぱり凄くパワフルな国なんですね。
エルトンの才能にパーッ!と大輪の花を咲かせたし。

タロン・エガートンという俳優さん、よく知らなかったのですが・・・ふむふむ、あの姿は役作りの増量の姿でもあったのですね。
仰る通り「チャーミング」という語がぴったりの男優さんです。(^^)

お酒は「一杯でもう、かなりクラクラきてしまう」っていうのでもきっとYururiさんに特別な瞬間をもたらせてくれていると思います。(*^-^*)
是非ジントニックで「クラクラな時」を楽しんでください!
(私は呑み過ぎなので一杯でクラクラという女性に憧れもあります)





Posted by ぺろんぱ at 2019年09月01日 11:18
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