アースシネマズにてチャン・イーモウ監督最新作『SHADOW 影武者』を観ました。
本作は不覚にもノーマークでした。作品チラシも無く殆ど予備知識なしで観ました。だから余計によかったのかもしれませんね。
オープニングのタイトルバックにまず心を奪われます。
その後も墨絵のように美しい、全編ほぼモノトーンを基調とした世界に時折深い紅が映える・・・芸術的な映像に心酔いました。
リアルで迫力ある戦闘シーンも見応えがあり、最後まで先を読み切れない物語にあっという間の2時間でした。
story
「三国志」のエピソード「荊州争奪戦」を大胆にアレンジして描いた武侠アクション。
戦国時代、沛(ペイ)国が敵の炎国に領土を奪われて20年の時が流れた。炎国との休戦同盟により平和な時間が続いていたが、若くしてトップの座を継いだ沛国の王は屈辱的な日々に甘んじていた。領土奪還を願う男たちを束ねる同国の重臣・都督は、敵の将軍で最強の戦士としても知られる楊蒼に、手合わせを申し込む。王は都督の勝手な行動に怒りをあらわにするが、王の前にいる都督は影武者だった…。 ※映画情報サイトより転載
都督の妻(スン・リー)の苦悶のシーンで始まるのですが、このシーンが持つ複雑な意味合いがラストで分かります。
そこには単なる武侠ものだけで終わらない、人間のもつ黒い部分とそれがもたらす皮肉な運命を描いた世界がありました。
私は予備知識無しでしたので始まって間もなく目の前の都督の雄姿に「影だったのね」と驚き、一気に物語に引き込まれてゆくのでした。
実際の都督と影武者としての都督の二役を演じたダン・チャオがイイです。
感情を抑えた影の演技と、毒を吐き内にある黒い部分を匂わせる本物の都督とを見事に演じ分けていました。
影との秘めた愛に陥る都督の妻を演じるスン・リー(実生活でもダン・チャオとご夫婦らしい)は“ザ・ヒロイン”という感じの女優さんで、ラヴストーリーとしても十分見せてくれます。
戦闘シーンは刀戦だけにリアルに痛さを感じますが、その新兵器となる“あるモノ”がまさに「陰で陽を制す」術であり、雨に煙る適地の坂をなだれ行く“あの武器の大群”には異次元の世界を思わせるような不気味さと共に美しさをも感じさせてくれました。
兵士たちがまとう甲冑のゴシック美、流される血の透明な紅色、とにかく全てが「美」となっていたように思えます。
チラシにも描かれている<太極図>の象徴する「陽」と「陰」の世界がまさに当人と影が相対する本作の核でした。
光の届かない暗闇を「最も怖れるもの」と苦しみ続けてきた影。このまま影で終わるのか…苦悶の末に影がとった道を私は是としたいです。


ひやおろしの季節です。

こちらは本田酒造<龍力 雄町・特別純米>のひやおろしです。
雄町は優しい柔らかみのある酒米ですが、その良さが最大限に活かされ、且つ濃醇な味わいを感じます。初春の初搾りも秋のひやおろしも、やっぱり今年も間違いのない美味しさを届けて下さっています。
ありがとうございます。
かなり前観てけっこう心に残った「古井戸」て映画の主演が「あの子を探して」「初恋のきた道」の監督チャン・イーモウと知ったのは、ぺろんぱさんもご存じの故H氏によってでした。その二作品もH氏にーすごいいいから観てみてーと言われて観たのでした。ーいい映画でしたー
なんで、チャン・イーモウの文字を見ると即H氏を思い出してしまいます。
あちゃらで、ぺろんぱさんブログも読まれてて、−ぺろんぱさんもチャン・イーモウもがんばってるよねーと言うたはることでしょう。(キッパリ)
ほなまたです。
ビイルネンさん、落ち着かれない状況の中、お越し下さり嬉しいです。
故H氏・・・そうでしたね。
私も拙ブログで<泣き映画ご指南役>としてイーモウ作品『あの娘を…』を薦めて頂きました。同時に薦めて下さった他監督の別作品は観て拙ブログにも挙げさせて頂いたのですが、イーモウ監督の『あの娘…』は未見のままです、Hさん、ごめんなさい。
ブログ見て下さってますかねー(^^)。だと嬉しいのですが。
でもあまり頑張れていない私には「喝っ!!」と仰られているかもしれません。
『古井戸』は知りませんでしたが、当作品の監督氏が主人公にふさわしい男優が見つからずカメラマンとして参加していたチャン・イーモウに白羽の矢をたてたとか・・・。チャン・イーモウ監督、雰囲気のあるよいお顔立ちをされていますものね。
同監督作品は『秋菊の物語』もとっても良い映画ですよ。あ、ビイルネンさんはご覧になってますかね。
あらためて、H氏を偲びます。
ありがとうございます。