シネリーブルで 『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)を観ました。
カンヌでパルムドールを取った映画なのですが、やはり受賞の力は大きいですね、いつもは空いているシネリーブル神戸が珍しくお客さんで溢れていました。
シアター前のポン・ジュノ監督直々メッセージで「本作を誰かに伝える際は思いやりのあるネタバレ回避を!」とありました。なので観に行かれる方は読まないでくださいね、そしてご鑑賞後に再訪下されば嬉しく思います^^。
Story
半地下住宅に住むキム一家は全員失業中で、日々の暮らしに困窮していた。ある日、たまたま長男のギウ(チェ・ウシク)が家庭教師の面接のためIT企業のCEOを務めるパク氏の豪邸を訪ね採用が決まる。兄に続いて妹のギジョン(パク・ソダム)もその家に足を踏み入れるが・・・。
※映画情報サイトより転載
チラシで謳われていた「エンターテインメント!」という表現はしっくりきませんが、凄い作品だと感じたのは確かでした。
途中で何となく先が見えるようにもなった途端、予想もしなかった展開が幕を開けます。
この瞬間が−怖い−です。
前半は格差(の激し過ぎる)社会の上下が時にコミカルに時にブラックに描かれ、後半から終盤はそれが一気にドーンと戦慄の世界まで落とし込まれていました。
もしかしたら笑えたかもしれないシーンでももう笑えるシチュエーションではなくなります。
とにかく、とんでもないことが起きてしまうという予感のようなものが私の中で徐々に形を成していく感じでした。
幾つかの台詞が深長。
「ただここがラクなんだ、ずっと住まわせてくれ」
「計画すれば人生は上手くいかない、絶対失敗しない計画は 無計画 だ」
「僕は似合ってる?ここに・・・」
「石が僕にへばりつく、着いてくるんです」
下層に生きる宿命みたいなものがキムの家族にまとわりついているようで。
コミカルな演出であっても前半はキム一家のやり口には嫌悪を抱くしかなかったですが、彼ら自身がそこに息苦しさを覚え始めたあたりから彼らが救われる道を私も探していたような気がします。
時既に遅し、だったとしても。
狂気に満ちた凄惨なシーンを乗り越えたところに用意されたもう一つの物語が心を突きました。
その物語が真実になる時は果たしてくるのでしょうか・・・。

熱燗でほっこりしましょう。
温かい食事、温かい飲み物は大事です。陽の光の入る部屋で暮らすってことも。
本作を振り返って今じんわり憂うのは、結果的に3つの家族から無自覚に傷つけられ損なわれてしまった幼いダソンの未来です。 涙。
物語の中に引き込む力があるし、よく出来た作品だと思います。
好きな映画とは言えませんが。
以前の作品でも感じたのですが、この監督の感性みたいなものと
相性が悪いんだと思います。
特に最後に父親がとった行動、これが容認されると誤解を招くような展開に違和感です。
もしこれが多くの支持を集めているとしたら、格差社会に追い詰められた人びとの心が
悪い方向に向いているようで心配になります。
それでも、自分達を自身で笑い飛ばすような視点があった分
「ジョーカー」よりずっと面白くて楽しめました。
家政婦さん、結構好きだったのになー
Yururiさん、こちらにもようこそです!
韓国映画をあまり観ていないということもありますが、この監督の作品は初めてでした。『グエムル...
』とかの有名作品もありましたけれど。
私も、もう一度観たいかと問われれば多分「No」ですかね。作品の凄さは体感できました! が、「エンターテインメント」と楽しむほど割り切れず後味の悪さが否めませんでした。
Yururiさんご指摘の件は「あーなるほどなぁ」って改めて今感じております。仰る通りそれは非常に怖いことかも知れません。
ラストは未来があるようで「無い」気がしました(私には)ので監督は結局はあれを「是」とは描いていなかったかもしれませんが、、、様々な受け止め方がありますものね。
私もギウのメッセージには心を突かれましたから、遡ってあの行為をも容認してしまう心理は働くと思います。
しかしこうして続けていろんな作品で語らせて頂けて嬉しいです、ありがとうございます。
家政婦さん、冒頭で豪邸の奥さんのことを「ヤング&シンプル」って評していましたよね。
あれ、結局“的を射た”表現でしたよねー。実は鋭い人やったんですねぇ・・・。
どうみても、今から数年で大豪邸を手にすることは無理だろ!でしたよ。
あの未来のシーンでエンドロールならよかったんですが
現実に戻りましたもんね。韓国映画らしいバッドエンドだな〜でしたよ。
華やかな地上、色のない地下、ビジュアル的に分かり易かったです(笑)
itukaさん、ようこそです。
先ずは貴ブログで拙コメント「星4未達」の件、ご丁寧な返信をありがとうございました。
読ませて頂きながら膝を打ちまくっていました、なるほど、でした^^。
>韓国映画らしいバッドエンド
そういう“らしさ”もあったのですね。
韓国映画は鑑賞数がめちゃ少なくて。
でも本作、後味悪いと言いながらも鑑賞から時間が経っても結構あれこれと反芻してしまっているのですよね・・・それってやっぱり心に深く引っかかってしまった作品ということなのでしょうか。
>華やかな地上、色のない地下、
そうですね。
たまに潜る世界だからこその地下なのかも・・・。ふとそんなことを思いました。