アースシネマズで『ラストレター』(岩井俊二監督)を観ました。
岩井俊二監督作品ということで気になっていたもののスルー予定でした。ラヴスト―リーという括りに何となく置いてけぼり感を味わうだけのような気がして。
その日のタイムテーブルでこの作品がベストだったということで鑑賞に至り・・・。
あり得ない展開に感じた前半から一転、やはり最後は岩井ワールドにやられてしまいました。
これってラヴストーリーっていう感覚は受けなくて、生きてきた日々とこれから生きていくであろう日々について深く思いを寄せる作品でした、私にとっては。
勿論100%ラヴストーリーと受け止めた方もいらっしゃると思います。観る人によって(年齢とか状況とか)それぞれの受け止め方があったのじゃないでしょうか。
Story
夫と子供と暮らす岸辺野裕里(松たか子)は、姉の未咲の葬儀で未咲の娘・鮎美(広瀬すず)と再会する。鮎美は心の整理がついておらず、母が残した手紙を読むことができなかった。裕里は未咲の同窓会で姉の死を伝えようとするが、未咲の同級生たちに未咲本人と勘違いされる。そして裕里は、初恋の相手である小説家の乙坂鏡史郎(福山雅治)と連絡先を交換し、彼に手紙を送る。 ※映画情報サイトより転載
オープニングのロケ地、あの滝は何処だったのでしょう。未知の地なのに何処か懐かしい感じ。
広瀬すずさんと彼女の従妹役の森七菜さんの清らかで透明感のある美しさとか、極薄のヴェールをかぶせたかのようなフィルム感も昔日へいざなってくれた感がありました。
二匹のブルゾイも画的に素敵でした。
「他の誰とも違う人生を送ることになる」、誰にもその夢輝く未来があったはずで、でも誰もが輝く未来を手にするわけじゃなくて・・・。
「お前はいったい何者なんだ」、そう自分に問いたくなる惨めな人生を抱えてしまうことも。
過ぎ去った過去の日々を思い、変えられたことも変えようとはしなかった後悔と、時には大切な誰かへの懺悔と・・・そんな、取り戻せない日々へのどうしようもない思いがたくさん詰まっていたと思います。(あの未咲の元夫にさえも未咲への秘めた懺悔の感を何となく感じました)。
冒頭に、観る人によって受け止め方も変わると書きました。観た人の数だけの「ラストレター」があったと思います。
この作品で、私は自分自身の人生を振り返る以上に肉親の人生を強く意識することになりました。
時代は違っても、私の知らない“キラキラしていた日々”があって、“もしかしたらもっと幸せな明日”があったのかもしれないことを思うと何だか切なさがこみ上げてきて涙が止まらなかったです。
それが私にとっての、この「ラストレター」の世界でした。
「誰かがその人を思い続けていたら死んだ人も生きていることになる。」
鮎美のこの台詞にちょっと救われた思いでした。

全くと言っていいほど情報なしの状態での鑑賞でしたのでトヨエツさんのご登場にはびっくり。ミポリンさんも。
本作は同監督の初長編映画『Love Letter』(ミポリンさんトヨエツさんご共演)のアンサー的映画と言われていますので。
そのトヨエツさんが劇中で呑んでらしたのは梅干し入りの酎ハイでした。
今度同じもの呑んでみようと思います。
今日はいつだったかの博物館の休憩室にてのホットコーヒーの画です。お陽さんがいっぱいに差し込んでくれて心地よい空間でした。
お陽さんの力は偉大ですよね。
ラブストーリーは好物ですが、予告を観た段階では私もスルー予定だったのです(^^;
コレは再生の物語でしたね。。。
仰る通り、年齢や経験値でも感想は違うと思いますが、
男性と女性で、大きく感想が分かれる作品だという気がしました。
>変えられたことも変えようとはしなかった後悔
まさに!
こういう後悔って、引きずるんですよね〜〜・・(遠い目)
Kiraさん、お越し下さり嬉しいです。
そうでしたか、トヨエツに惹かれてのご鑑賞で…(^^)。
私は登場シーンで「この役いったい誰がやってるねん」て身構えたらカメラがバーンッてトヨエツさんを捉えて・・・心の中で「トヨエツやんかーっ!」って叫んでました(笑)。
で、その後の台詞はさすがの迫力でしたよねー。凄味があった・・・。
>男性と女性で、大きく感想が
そうですね。
仕事や生き様、誰かの人生を大きく巻き込んでしまうという点で男性の方が一層重たく受け止めてしまうところがあるかもしれません。(あ、もしかしてKiraさんは全く別の感覚で仰っているのかもしれませんが…だとしたらごめんなさい)
そしてKiraさん、私も“遠い目”をしてしまいましたよ。帰らない日々、ですね。