中村文則さんの 『 悪と仮面のルール 』 (7月29日付ブログ記述) を読了した後、嶽本野ばらさんの小説に移行しました。
『 悪と仮面のルール 』は、最後に希望の光りを見ることができました。しかし暗く重たいトーンが全編を覆っていたことは変わらず、生きることへの呪いのようなものさえ感じました。何がこの作家氏にそこまで書かせるのか…たかだか4冊読んだだけでは理解できるはずもなく、だから中村文則さんの作品はいずれまた再び手に取りたいと思います。
一旦、少し方向を変えて嶽本野ばらさんの小説へ。
映画『 下妻物語 』は氏の原作ですが、活字での体験は私にとって初の嶽本ワールドでした。
2冊を読了。 備忘録を兼ねてここに感想を簡単に記します。
一冊目、『 星のアリスさま 』 (嶽本野ばら著)
美しく賢い少女・アリスの宇宙の旅を通して‘世の中の真実はかくありき’と描き出された物語です。
ブラックでぶっ飛んだ表現の中にも「不思議の国のアリス」「星の王子さま」「白雪姫」「銀河鉄道の夜」等々へのオマージュも感じられそれなりに面白く読めたのですが、毛沢の東(けざわのひがし)の国を巡る物語には最後に違う展開があるものと思っていたので清貧で善なる国として終わったのには少し違和感が残りました。成り立ちは善であれどんなところにもそれを束ねる側には利権が生まれてくるものではないかと思うので。それが嶽本野ばらさんの思想なのか、はたまた最後に託した希望だったのか、それは分かりませんが。
時に真理を突くような言葉があり、特に終盤、「命の尊さ」についての語りは心に沁みました。
ということで二冊目、『 通り魔 』 (嶽本野ばら著)

軽いコミュニケーション障害のある少年が自分なりに正直に真面目に生きようとするのですが、母親からの愛情不足と周囲の無理解、そして幾つかの不運が重なりやがて残虐な事件に突き進んでしまうという物語です。
まさに慟哭の世界。
非常に重く、読むことが辛く息苦しささえ覚える小説でした。小説なのだと割り切れず、何故か現実としてそこに展開しているようで。 そして最後まで・・・救いがない。
同氏の『 星のアリスさま 』の中で‘命の尊さ’についての言及があり深く心に沁みた と先述しましたが、本作では 「こんな希望のない生活を延々と続けなきゃならない程、命って尊いものなのかな。どうせ何時かは皆、死ぬのにさ。」 という台詞があり(主人公の吐いた台詞ではなかったのですが)愕然としました。
残り1/4になった段階で一気に読み進めて読了しましたが、「読まずにいられなかった」というよりは「明日もまたこの本を読み続けることに耐えられない」と思ったからです。
章分けも段落区分も無く文章が続くので精神的に一区切りつけるということが出来にくかったからかもしれません。しかしそれこそが主人公の生きていた日々なのですね。どこかで息をつくことも別の何かに視線を向けることも出来ず、ただただ目の前の暗闇から脱出しようともがくしかなかった日々。
読了して終わったわけではなく、リアルに明日もしかしたらそこにポッカリと口を開けているかもしれないどす黒い大きな穴の存在を思わせ、怖さが尾を引き続けました。どこでどうしたらどう変わっていたのかと主人公に自分を重ね自問せざるを得ず、しかし答えは出ないのでした。

かなり久々にスタバに行きました。
ここで冷たい飲み物をオーダーしたのは更にかなりの久方ぶり。プラ問題で紙のストローになっていました。
今度は希望を感じる本(少なくとも表紙の装画はきらきら

何だか今日の拙ブログ文、希望という言葉を多用してますね。
それだけ今の私に希望が見えてないってことなのでしょうか・・・(ん〜、しばし考え込む)。
まだまだ厳しい残暑が続く見込みです。 どうぞご自愛ください。