台風10号、「経験したことのない風雨」とアナウンスされ続けています。
奇跡的にでもなんでもいいから台風が消滅したり大きく勢力を落としたりってことはないのでしょうか・・・どうか各地の被害が最小限のものに留まりますように。
今日は本の話(8月23日付ブログ)の続きを書きます。
先ずは‘表紙の装画がキラキラしていた’と記していた『 君の名は。』(新海誠著)。
キラキラしているっていうか、読了するとその画のキラキラは‘彗星落下の瞬間’の煌めきだったのですが。

新海さんが監督されて大ヒットした2016年公開の同名アニメーション映画の、新海さんご自身の手によるノベライズです。
氏の「あとがき」によればその時点では未だ映画は完成しておらず小説版の方が先に世に出ることになり、「どちらが原作かと聞かれれば微妙なところ」だそうです。
私は映画は残念ながら未見です。
しかし小説版『君の名は。』は、ほんの小さな可能性も輝くものだと感じさせてくれる大きな広がりを持つ魅力的な作品でした。十代の頃にこういう作品に出会っていたら何かが変わったかも? 十代は遥か遠くになりにけり の私ですが、それでも読み終えた後は空が何だか美しく見えました。
こうなるとやはり映画も観てみたいですね。
氏の「あとがき」で興味深い一節がありましたので紹介させて下さい。
「映画は多くの方々の才能による華やかな結晶。個人の能力をはるかに超えた場所に映画はあると思う。」としたうえで、本作の主人公である瀧や三葉のような‘何かを信じてもがきながら手をのばし続けている人たち’の想いを「映画の華やかさとは別の切実さで語られる必要があると感じてこの本を書いた。」と綴られていました。
その切実な語りを私はちゃんと心に刻めたかな・・・でも心に残る小説でした。
そしてその「あとがき」にちらと御名前が登場した、映画版『君の名は。』のプロデューサーである川村元気さんの小説を読んでみたくなり手に取りました。 そして一冊を読了。
『 世界から猫が消えたなら 』 (川村元気著)です。これも映画になったみたいですね、私は未見ですが。
<story>
30歳、郵便配達員。 余命あとわずか。 陽気な悪魔が僕の大切なものと引き換えに1日の命を与える。
僕と猫と陽気な悪魔の、摩訶不思議な7日間の世界。(帯文からの転載です。)

著者である川村さんは猫がお好きなのでしょうか。実はこの小説を読了の後、さらに手に取った別の小説にも猫が登場します。
・・・死への準備。
それは今まで生きてきた日々との向き合いなのだと感じました。向き合うことで未来が見えてくるのだと思えました。たとえ死が待っている未来なのだとしても・・・。
‘誰か’のことを忘れない。
幸せだった‘感覚’を忘れない。
そして‘後悔’すらも忘れない。 その後悔は自分がまぎれもなく生きてそこに存在していた証なのだから。
大切な人のこと、大切な思い出、それぞれについてあらためて考えさせられました。そして考えることで、それまでとは少し違った明日を生きられる気がしました。
エンディングは切ないけれど美しく爽やかなもので、でもやっぱり切なくてちょっとだけ泣きました。
イイですね、川村元気さんの小説。
映画プロデュースがご本業なのかもしれませんが(あの『 告白 』や『 悪人 』も氏のプロデュースとか)、もっと小説を読んでみたくなりました。調べてみると著作で刊行された小説が本作の他に2、3冊あるみたいでした。
で、現在は『 四月になれば彼女は 』 (川村元気著)を読んでいます。
サイモン&ガーファンクルに同名の曲がありますよね、映画『 卒業 』も懐かしい。
この『四月に…』の世界は『世界から…』と筆致が少し違っていて、人間の不確かな心の揺れ動きが静かに紡がれていく感じです。まだ中盤当たりですけれど。
この小説については読後にまた改めて感想をここに綴りたいと思います。

この世からお酒が消えたなら・・・怖すぎて考えられません。
どちらの本も読んだことありませんが、いつやったか地上波でやってた映画「君の名は。」は観ました。あまりに話題になってたんで、どんなんかなぁと。
話題がずれずれですが、新海誠さんの娘さんの新津ちせさんがわりと気になってます。可愛くてうまいなぁと。(3つ位しか観たことありませんが←そのうちの1つは"エール")
ーそして`後悔`すらも忘れないー
・・深いですね。どうしてもー後悔ーに引きずられそうになって、あかんあかんと自分を戒めますが、この言葉からー後悔を受け入れるーという言葉に至れます。おおきにです。
ほなまたです。
ビイルネンさん、お越し下さり嬉しいです。
台風10号は日本から離れてくれましたが、やはりその爪痕は小さくはなかったですね。
『君の名は。』は新海さんが書かれていた通り映画としての完成品は華々しいものだったのだろうと拝察します。機会があれば観てみますね。
新津ちせさん…『エール』で幼少期の梅ちゃんを演じた子なのですね。そうですか、新海さんの娘さんなのですか、知りませんでした。
ビイルネンさんはそういう細部にお詳しいなぁといつも感心してしまいます。またいろいろ教えて下さいね(^^)。
川村元気さん。
紡がれる言葉に惹かれるところが多かった本作です(今読んでいる本も筆致は違えどそんな感じです)。
失敗も後悔も全部ひっくるめての‘そこに確かに存在していた自分’なんですよね。
在るがままを受け入れるって、中々難しいことですが大事なことなのですね。