シネリーブル神戸でドキュメンタリー映画 『 行き止まりの世界に生まれて 』 ( ビン・リュー 監督、製作、撮影、編集 )を観ました。前回から約二か月ぶりのリブ神です。
ラストベルト ――― アメリカの繁栄から見放された土地 閉塞感ある故郷を抜け出そうと必死にもがく若者3人を追った12年間 (キャッチコピー)
< story >
家庭環境に恵まれないキアー、ザック、ビンの3人は、イリノイ州ロックフォードで暮らしている。厳しい現実から逃れるようにスケートボードに熱中する彼らにとって、スケート仲間はもうひとつの家族であり、ストリートこそが自分たちの居場所だった。やがて彼らは成長し、様々な現実に直面して少しずつ道を違えていく。 (映画情報サイトよりの転載です)
若く無軌道で、時に最悪な生きざまに堕ちてゆく姿が映されているのにこの作品にどこか温もりを感じたのは、やっぱり仲間である人間が撮ったものだからなのでしょうか・・・。
境遇を同じくする故の引き合いとスケートボードによる救いから激しく共鳴しあい強い絆で結ばれてきたと思える彼等でしたが・・・。大人になるにつれ遭遇する新たな障害と思わぬ辛苦とで過去と対峙せざるを得なくなり、それまでの馴れ合いの世界から抜け出さねばどうにもならないと感じるようになります。
3人のもがく様子はそれぞれに違っていて、父親となったザックがアルコールに逃げて自棄的になってゆく日々がとにかく見ていて痛かったですね、‘負の連鎖’という言葉がそこに感じられて。
最低の労働条件の下で働き始めるキアーが辛さの裏で仲間に見せる精一杯の笑顔は見ていて切なかったし、過去における継父の暴力について自分の母親に正面から問うビンの、その表情と眼差しには心締め付けられる思いも。
そんな痛々しい映像のなか、先述したように‘どこか温もりを感じた’のは、撮影者であるビンがカメラを回しながらも常にザックとキアーに問いかけ、心の内を救い取ろうとしていたからに他ならない気がします。ただ静かに彼らの声を聴こうとしていビンに、だからザックもキアーも心の奥にある思いを正直に吐露したのだ、と。
ビン・リューという、クリエイターとして才ある人間が作った故の素晴らしさは勿論あるのだと思いますが、ビンが仲間である二人と、そして自分自身からも目をそらさずにい続けたことの結果が本作なのだと感じました。(きっと撮り続けるのは苦しかっただろうなぁと思います。でも撮り続ける強さがあって、その強さが優しさや温もりをこのフィルムに感じさせてくれたのだろうと・・・優しさは強さなんだなぁ、と。)
貧困と暴力、それらによる負の連鎖。 親による心身の支配、そして根深い人種問題も。
ギリギリのところで踏ん張ってきた彼ら。時に負けてザックのようにアルコールに溺れてゆく姿も見せながら、それでも新たな道を切り開いてゆく彼ら。
挿入される流麗な音楽と、アメリカ的な、無骨だけれど広大な景観が息苦しい現実を少し和らげてくれます。
ラストで走馬灯のように駆け巡る12年間の彼らの表情がたまらなく切なくて愛おしかったです。
彼らに幸あれ。


時々見かけていたこの子ですが、こんなにまじまじと見つめ合ったのは初めてです。
これからもどうぞヨロシク、みぃ太郎。(だから女の子やったらどうすんねん、この命名。)

「 朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや。 」の画。
ずっと「友有り、遠方より…」だと思い込んでました。もっと勉強せんと愚か者のままですね、私。
ワイン女子会、たくさんの楽しい語らいとゴージャスなワインをありがとう。
明日は明日の風が吹く、、、みたいな結論で?
ちょっと気にはなったものの、よう行きませんでした。より行きたいのがあったもんで・・。
"マイルス・デイヴィス クールの誕生"と"マーティン・エデン"、と今月は何と2本も観に行けました。行けてよかったです。
ーワイン女子会ーいいですね!
「明日は明日の風が吹く」・・そうですよね。ともかく「今」を大事にすることから「明日の風が吹く」のですよね。
ほなまたです。
ビイルネンさん、お越し下さり嬉しいです。
ご覧になりたい映画を観に行かれることが叶ってよかったですね。
マーティン・エデン、主演の男優さん何だか素敵ですね(^^)。クールの誕生、M.デイヴィスさんの実際の演奏が堪能できる作品だったようで、こちらは私も観たかったです。
ワイン女子会。
この時の 潔いタイプ の友人の言葉たちに「前向かな…」と思わせてもらいました。
ビイルネンさんのコメントにも力戴いています、ありがとうございます!
この作品も見てらっしゃるのを発見!
ドキュメンタリーであるがゆえに、
より重く感じたザックの落ちていく感じ、
そしてビンの壮絶な過去。
心の中で彼らに「頑張れ!」と言い続けていましたが、
後になってそれは自分自身に投げかけてた言葉かもしれないなぁ
などと思ってみたり。
とにかく、見終わって終わりの消費型映画ではなく
何かを心に刻んでくれた良い作品でした。
>後になってそれは自分自身に
こういう若い子たちが懸命に何かと闘っている姿ってなんだか 尊い 感じがします。
‘息苦しい現実’はしかし形を変えてどこにでも、彼等より年齢の高い我々にも多分在って、人生は常に何かに抗して向かって行かねばならないものなのかもしれません。
今の私は特にもっと頑張らないと…です。
観終わってからもいろんなことを考えさせてくれる作品はそれだけ‘より深いところに残る’んですね。