アースシネマズ姫路で映画『 ミッドナイトスワン 』(内田英治 監督、脚本)を観ました。
※いつものことながら今回も結末に触れる記述をしています。
「 ミッドナイトスワン 」というタイトルに込められた思いが映画を観て初めて分かりました。
劇中でヒロインが踊る「白鳥の湖」のオデットは夜の間だけ人間の姿に戻れる娘。
その踊りに、本当の自分でいられる時を求め続けた凪沙(なぎさ)とヒロイン 一果(いちか)の姿が重なりました。
< story >
新宿のニューハーフショークラブのステージに立っては金を稼ぐトランスジェンダーの凪沙(草g剛)は、養育費を当て込んで育児放棄された少女・一果(服部樹咲)を預かる。セクシャルマイノリティーとして生きてきた凪沙は、社会の片隅に追いやられる毎日を送ってきた一果と接するうちに、今まで抱いたことのない感情が生まれていることに気付く。 (映画情報サイトよりの転載です)
観ていていろんな感情が渦巻きました。
一果を巡って二人の人間(凪沙と りん)の運命が大きく動いてゆきます。
どちらも一果を愛する(かたや母として、かたや切ない恋の対象として)ことになりますが、どちらも自分は一果のようには決してなれないのだという絶望をも抱くことになり、その絶望を抱く瞬間はとても微妙な展開だったと思えます。もしかしたらそこが最も本作の核心部分だったのかもしれません。
一課の自傷行為の痛々しさは凪沙が危険を伴うホルモン注射を打ち続ける行為とどこか似ている気がしました。
注射による激しい後遺症の苦しみに耐えきれず「なんで私だけ…」と嗚咽する凪沙に私も泣かずにいられなかったです。「泣いたらおさまるから」と凪沙は言ったけれど、貴女はそれを何度繰り返してきたの、 何度泣いてそのたびに苦しみを封印してきたの、と。
※この画像は映画情報サイトより転載させて頂いております
一果との出会いは凪沙に母性の目覚めによる幸せをもたらせたかもしれませんが、その母性を完遂させようとする思いが凪沙の命を奪うことになってしまった・・・それまで生きてきて一度も得られなかった母性という感情は彼女にとっては美しい愛の形だったのかもしれないけれど、私は凪沙に、たとえ違うステージ(母性を得られない世界)ででも生き続けて欲しかったです。
同じ様に、一果を見つめ続けたバレエ仲間 りんちゃん にも生きていて欲しかった思い。
彼女の絶望は計り知れないもので、安易にそれを乗り越えろとは言えなかったですが、やっぱり彼女にも生きて欲しかったのです。
結果的に一果の存在が二人の死に繋がってしまたけれど、一果が二人に、二人にしか解り得ない尊いものを与えてくれたのも事実なのです。
りんちゃんや凪沙の絶望と二人から自分に注がれた愛情と、それらを全て受け止め内なるものにして、二人が抱いていたであろう希望に繋げた一果は、本当にただただ懸命に前を向いて頑張ったのだろうなと思えました。
そうなってくれて(二人の思いを繋げてくれて、そういう未来を築いてくれて)、一果に「本当にありがとう」という気持ちでした。 一果自身が二人と同様、いやそれ以上にボロボロの状態だったのに。
終盤の海辺のシーンは凄いです。
一果が凪沙の死を悟ってザバザバと波を分け入って海へ入ってゆくところ。
「白鳥の湖」の王子とオデットの最期がよぎって 貴女まで死なないで と心の中で叫び続けていました。
演じた服部樹咲さんはオーディションでバレエの実力を認められて選ばれた新人さんとのことですが、存在感が凄くてまさに‘見入って魅入られて’しまいました。次に出演される作品があればとても楽しみです。
いろんな絶望が本作には在りました。
求めても求めても、本人が望む形では手に入らないものがある。他人が違う道を示してもそれはやっぱり本人の望む幸せではないのですね。
生きていて欲しかったけれど、凪沙やりんちゃんの死は彼女たち自身にしか語れないものなのだなぁって思いました。
いろんなことを考えた映画でした。

久々のこちらのお店。
店内の二つのドアがオープンにされていて、空気がさわさわと流れていました。お客さんは私の他に若き男性お一人のみ。
ジョニ黒のソーダ割をオーダーしました。
「全然儲からん。ずーっとヒマや。」とはマスター氏の弁です。売上に貢献できていなくてごめんなさい。
Go TOキャンペーン関連のニュースを聴いてて、‘旅’なんてしていないなぁとずーっと思ってました。 コロナ禍に関係なく。
今年なんて2月に京都の大山崎山荘美術館に行ったくらいでしょうか・・・そんなのもプチ旅と呼べるなら、ですが。
そのうち何処かへふらりと行きたいものです。 フーテンぺろんぱ、寅さんみたいなトランク提げて。
先日、意を決して久々に映画館に行ってきました。
以前から観ると決めていた2本だったのですが、、
しかも出掛ける前にこの記事を読んでいたにもかかわらず・・・
少し、後悔(^^;
最近は直ぐに上映回数が減ってしまうのでチャンスが少なくなりますが
まだ上映していたら、観たいです。
Kiraさん、お越し下さり嬉しいです。
そうですよね、最近は上映回数が結構早く減っちゃいますよね。
私も行こうと決めた映画なのにJRが遅れて間に合わず、その次の機会には時間が合わなくて別の映画を選んだってことがありました。結果的にイイ作品だったのでそれはそれで良かったのですが。
映画との出会いもタイミングだなぁって思います。今はコロナで映画館に行くことも減って尚更。
Kiraさんが観ると決めてご覧になられた映画って何でしょう(*^-^*)。
本作はちょっとキツく感じるシーンもあるかもしれませんが、もしも機会がございましたら(^^)。