2020年11月05日

横尾忠則の緊急事態宣言


 横尾忠則現代美術館で開催中の 『 横尾忠則の緊急事態宣言 』展に行ってきました。

横尾忠則氏の作品展はかなり昔に大阪の国立国際美術館で観たと思うのですが、氏の名を冠した美術館が神戸にできて氏の絵画作品を中心に様々な企画展が催されていたとは全く知りませんでした。
(この記事を挙げる直前に拙ブログをチェックしてみたら 2010年9月に国美の横尾忠則展のこと書いてました。やはりポスター展だったようです。10年前なら‘かなり昔’でもないような…でも実はもっと昔だと思っていたのでちょっとびっくり。)

さて・・・
この美術館はJR神戸線の灘駅を下車し、海側にある神戸市県立美術館とは逆の山側に建つ美術館です。
なだらかな坂道をテクテク上がってゆくこと約8分。王子公園の手前、緑が色合いを変える秋の空気漂う中、意外にもひっそりとそれは在りました。

                         横尾忠則展 - コピー.jpg  

< こんな展覧会 >
コロナ禍が起こるはるか以前から、横尾忠則は虚実が交錯するかのような緊迫した状況を繰り返し描いてきた。今回は、横尾の絵画における、そうした危機的状況の表現に注目する。
またコロナ禍に反応するかたちで、横尾は現在、様々なビジュアルにマスクや口腔のイメージをコラージュする作品《With Corona》をウェブ上で展開している。本展ではそれらを展示空間各所に散りばめるようなインスタレーションもあわせて行う。 (美術館公式サイトより転載)

展覧会パネルの画は《 ライオンと緑の月 》(1996年制作)で、アンリ・ルソーの《 眠るジプシー女 》(1897年) を下敷きにした作品です。
ルソーの《眠るジプシー女》は砂漠で疲れ果てて深い眠りについているジプシー女の傍らにライオンが寄り添う夢幻的な作品ですが、1967年に横尾忠則氏はこの作品のパロディとしてライオンがジプシー女を平らげてしまった情景を描いています。パネルになっている作品《 ライオンと緑の月 》はルソーのオリジナルと1967年のパロディ作品の間に位置するもので、ライオンがまさにジプシー女に襲いかかる瞬間を描いたものだそうです。(作品解説より引用) 
まさに‘ 危機的状況 ’ですね。

 本展の展示作品は全て撮影OKとのことで、印象深かったものを(印象と言うならどれも度肝を抜かれるくらい印象深いのですが)10点ほどスマホに収めました。
               
作品の前に立つ度にハッと息を呑むような感覚になり足早に通り過ぎることはし難い作品ばかり。
作品には解説文が添えられていなかったのでじーっと眺めて自分なりに想像してみて、あとになって会場に置いてあった<作品解説>を読んでみて初めて「あーなるほど」と分かったものばかりでした。

でも理解するより 迫りくるものを感じる、というような世界でしたね。
もしも夜中に展示場内に一人でベッドを置いて眠りでもしたら・・・いろんな作品から対象物?モチーフ?たちが飛び出してきて制御不能なしっちゃかめっちゃかな世界が展開するのを見られそうです。

  男の死 - コピー.jpg 崖淵の愛 - コピー.jpg 炎のように踊ろうよ - コピー.jpg
※ 作品左より
「男の死あるいは三島由紀夫とR.ワーグナーの肖像」「崖淵の愛」「炎のように踊ろうよ」

  wih C 1 - コピー.jpg with C. 2 - コピー.jpg with C. 4 - コピー.jpg
※ 作品 「WITH CORONA」シリーズより

        
 横尾忠則さんの頭の中は果てしなく無限で宇宙空間のよう。
先ず自由。そしてどこまでも破壊的でどこまでもロマンティストで。そんな印象でした。


死の中で高らかに愛を謳ったもの。
文明と堕落、戦争への警鐘と思しきもの。
幼少期に出会った様々な冒険小説や活劇の世界を追い求めたもの…等々、作品は多彩で面白い世界
でした。

来年は長期の改修工事に入るとか、、、再オープン後の企画展がどんなものなのか楽しみです。

 
                         高清水 - コピー.jpg

今回は再び冷酒の画。
熱燗に限らず美味しいのです、秋の夜のお酒は。
あ、、、お酒は秋でなくても美味しいです、夜でなくても美味しいです。




posted by ぺろんぱ at 22:40| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
横尾忠則といえば、マイルスのアルバム「アガルタ」をまず思い出してしまう自分・・。
昔から超有名で、イメージとしてはーサイケデリックーていう感じに受け取っていたものの、じっくり作品を見たことはなかったと思います。(今年は一番下に出してくださった「WITH CORONA」シリーズの女の人はけっこう目にした気ィが・・。)
もし、この展覧会に行ったら
「ガンガン攻めろやっ!」とカツを入れられるんでしょうか?(知らんけど)(・・・)

ほなまたです。


Posted by ビイルネン at 2020年11月06日 23:06

ビイルネンさん、お越し下さり嬉しいです。

マイルスの「アガルタ」、ジャケットのデザインのみならずアルバムタイトルも横尾氏の命名によるものとか・・・初めて知りました。いつも勉強になります、ありがとうございます。
氏は宗教やスピリチュアルな世界にも深い興味を抱いておられるようで「アガルタ」の画にも東洋の宗教に通じる神秘を感じますねー。

女の人の絵、多分原画は「ピンクガール」シリーズの「よだれ」の一作かと。背景やスタイルを違えていろいろあるみたいで本展でも複数展示されていました。

横尾氏、御年84歳。
「アートは肉体だ!」と豪語され制作活動はますます盛んとか・・・「ガンガン攻めろやっ!」の言葉は私も言ってもらいたいくらいです(^^)。

Posted by ぺろんぱ at 2020年11月08日 17:21
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