姫路文学館は前回の樋口一葉展から約2か月おいての訪問。
ここは大抵いつ行っても「 貸し切りですか? 」というくらいに空いていて、定期的に巡回されている警備員さんの姿を見て「あ、よかった、人がいた」ってホッとするくらい。
その分とにかく静かで展示物に没頭できるのですが。

☆ プロフィールを簡単に記します ☆
岸上大作(きしがみだいさく1939-1960)は兵庫県神崎郡出身の歌人。
5歳の時に父が戦病死し、貧困の中で一家を支えて働く母の姿を見て育つ。高校在学中から短歌を作り始め、大学では学生運動に身を投じながらも國學院大學短歌研究会に所属し学生歌人として注目される。しかしその矢先、21歳にして失恋を理由に自らの命を絶った。翌年、友人たちの手により遺作集『意志表示』が出版される。 (文学館公式サイトより抜粋)
恥ずかしながら私はこの歌人を全く知りませんでした。
展示されている作品や日記、資料、解説等を読んでゆくと、実に多感でナイーブ、‘心の痛み’を常に文字にしてきた人のようでした。
次々と目に入ってくる幾つもの言葉たちを読んでゆく度に「あー、この人苦しかったんだろうなぁ」という思いが湧いてきました。
好きな女性への対し方がまた不器用過ぎて痛々しい。
幼少時に父を失くし母も働き詰めであったことが一因するのか、彼自身の本来の性質なのか、、、それは分かりませんがいずれにしても豊かな愛で満たされることのなかった渇きのようなものを感じました。
学生運動を詠んだものはとにかく真っすぐで直情的。それだけに失望や挫折の感情はやはり痛々しくて。
母への思いを詠んだものは愛情が溢れているのに(溢れているが故に)屈折した感情もありありとうかがえて、貧困の中で昼夜働き続けた母への強い思慕の念と、後年母に見えた男性の存在の影にその思慕の念が揺らぐあたりの変化などが、私にはやはり痛々しさを伴うものとして受け止められました。
初期の、歌を詠み始めた高校時代の作品に瑞々しさでハッと心を掴まれる作品がありました。
ここに幾つかを挙げさせて頂きます。
● ツルゲーネフの「初恋」読みつつ餅焼けり 遠くかすかに夜汽車の響
● 淋しさが心一ぱい占めている夜 あなたのことは書かずにねむる
● ポケットに青きリンゴをしのばせて 母待つと早春の駅に佇ちいつ

非常なる驚きだったのは、自死の7時間前から直前まで一気に書き続けた200字詰原稿用紙53枚にわたる絶筆「ぼくのためのノート」の存在です。
それだけ熱情を込めて文章を書き続け完成させたというある種の高揚感や達成感が、死に向かう気持ちを止めることは出来なかったのでしょうか。
そのまま一気に死へとダイブしていった彼の思いとはいったいどのようなものだったのでしょうか。
知りたいという思いから、遺作集『 意志表示 』を現在読み始めています。
遺された数多の歌や日記文のあと、絶筆「ぼくのためのノート」は本書の最後に収録されています。

寒いねー。 一緒に暖をとってるのかな。
年末年始は大寒波が来るみたいだよ、ちょっとでも温いところを見つけて元気にイイ年を迎えなよ〜。
先日、好きな作家の一人である山本文緒さんに 7年振りの新刊 『自転しながら公転する』が出ていることを知りました。
いかんいかん、ちっとも知らなかった、私ダメだな。自分の足元しか見れてない証拠か。
早速買い求めましたので『意志表示』を読み終えたらページを繰りたいと思います。
すかたんなコメント(すまん)しかできない自分でしたが、いつもお優しい返信をいただき、嬉しかったです。
どうぞ来年もよろしくお願いいたします!
そして、来年がぺろんぱさんにとってより良い年となりますよう!
ほなまたです。
ビイルネンさん、お越しくださり嬉しいです。
そうですね、皆さんそれぞれにいろんなご苦労があった今年と思います。
そして、こちらこそビイルネンさんにご投稿頂いた数々のコメントに大変救われた一年でした。教えて頂いた事もたくさんありました。
改めまして、本当にありがとうございました。
拙いままで進歩のない私のブログですが、来年も続けていければよいなあと思っています。なのでビイルネンさん、どうぞまだお時間が許せばお越しくださいね。
そしてビイルネンさんにとっても来年が良い年でありますように!
ほなまたです!(と、真似しぃして終わります^ ^)