先月16日付の記事で最後に 「 7年前の『 なぎさ 』を再読しようと思う 」 って書きました。
で、再読しました、 山本文緒さんの小説 『 なぎさ 』。
7年振りなので、まるで新作に触れたかのような読後感。( ← 単に「記憶力が低いだけ」とも言う。)
過去記事を繰ってみると2013年11月19日付けの記事に『なぎさ』のことは書いていますが、この時は「買ったのでこれから読むのが楽しみーーー」的な内容でしたので、今回は改めてここに感想を記しておこうと思います。
やっぱりぐいぐい読ませてくれました、面白かったです。そして終盤、、、泣けた。

< こんな本 >
家事だけが取り柄の主婦 冬乃と会社員の夫 佐々井。同窓生夫婦二人は故郷長野を飛び出し、久里浜で静かに暮らしていた。佐々井は毎日妻の作る弁当を食べながら、出社せず釣り三昧。佐々井と行動を共にする会社の後輩の川崎は自分たちの勤め先がブラック企業だと気づいていた。元芸人志望、何をやっても中途半端な川崎は、恋人以外の女性とも関係を持ち自堕落に日々を過ごしている。夫と川崎に黙々と弁当を作っていた冬乃だったが、転がり込んできた元漫画家の妹 菫に誘われ「なぎさカフェ」を始めることになる。姉妹が開店準備に忙殺されるうち、佐々井と川崎の身にはそれぞれ大変なことが起こっていた―。 (※本の情報サイトよりの転載です)
何人かの登場人物がそれぞれの視点で語ってゆくパートがあって(序幕と終幕は別の人物の視点)、描かれているテーマは幾つもあるように感じられます。家族間の呪縛や確執、過重労働、支配する者される者の構造とか。
でも結局は一つ、「自分にとって生きてゆくうえで一番大切なものは何なのか」っていうことではなかったでしょうか。
過去の記事(2010年3月)で、「文緒さんの小説は爽やかで清々しい気持ちになれるものがある一方で激しい痛みを伴わずしては読めないものもある」的なことを書いていましたが本書は圧倒的に後者で、例えば最新作の『自転しながら公転する』に比すと状況は更に重たく深刻で、筆致もその分 不穏な空気をはらんだものでした。
漫然と過ごしながら持つ幸せへの期待と依存、、、まるでそのしっぺ返しのようにどん底の苦しみをも味わいながら、登場人物はそれぞれ新しい明日に一歩踏み出そうとする兆しを見せて終わります。それはあくまで‘兆し’なのですが、やはりそこに文緒さんの、人物たちと同じ目線に立っての慈しみ、それぞれへのエールを感じたのでした。
彼らの未来は本を閉じた後の‘これから’であり、彼らにとってそれが幸せを感じられる日々であって欲しいと心からそう思った読後でした。
7年前の初読の時はそれほどでなかったかも ですが、今回、冬乃の夫 佐々井くん(冬乃が夫をそう呼んでいる)がもの凄く愛おしく感じられたんですよね。
気持ちの行き違いで冬乃との関係が危うくなるけれど、決して彼の方から冬乃の手を離すことはしないだろうという思いが読んでいてずーっと心の底にありました。それはきっと冬乃の方からも同じだと思いますが。
二人が冬乃の両親のもとを訪ねる時のタクシーの中での一コマは、何気ない描写だったのですが何故か喉の奥に熱い塊が込み上げてきて涙に変わりました。
所さん(登場人物の一人)が終盤に冬乃にかけた言葉も心に優しく沁みました。
「力まなくていい、生きていくということはやり過ごすということだよ。」っていう言葉。
これも7年前より多分今の方が沁みたような気がします。もしかしたら文緒さんはこの言葉を残すためにこの小説を書いたのではないかと思ったくらいでした。

二日続けて涙に見舞われてしまった私です。
なぎさ読了の前日夜は 録っていたNHKでの「伝説のコンサート 山口百恵 1980.10.5 日本武道館」を観てて最後の方で大泣きしてましたから。ガチ、百恵ちゃん世代です。
歳のせいで涙腺弱くなったかな。 (読みながら、観ながら)呑んでたアルコールの威力かも。
久々のホットワインの画ですが、やっぱり湯気は上手く撮れていませんねぇ、下手な写真ですみません。
度数12〜13%のライトなワインだと一晩でボトル一本は空けてしまいます。
そろそろ本気で自分で自分を<呑み方改革担当大臣>にでも任命しないといけません。( ← 毎年同じようなこと言ってる気がします。)
・・・ものすごく深いです。じんじんきます。ありがとうございます。
ぺろんぱさんは自分よりずーと若いんでアレなんですが、年いくと涙もろくなりますね。アルコールの威力というより、それまでのそれぞれの経験が作用しているように思えます・・。
あ、<のみ方改革担当大臣>ですか。まぁともかく
ーのむ量<食べる量ー
て図式を意識するとおのずと腹パンパンでのむ量減るかと・・。(そんなのみ方どこがうまいねん!)(・・おっしゃる通り、ちょい腹減り気味でのむビールの美味い事っ←聞いとらん!)(・・・)
ほなまたです。
p.s.−のむーて漢字がうまく出ませんねん。(トホホ)
ビイルネンさん、お越し下さり嬉しいです。
所さんの言葉は更にもう3行ほどあって、それらを全部記せばもっと更に文緒さんの想いが伝わって良かったかもしれませんが、流れに身を委ねるという意味も込められていて仰る通り私にとっても‘深い’言葉でした。
「ずーと若い」などとお気遣いくださってありがとうございます。
歳は大きく変わらんですが「経験が作用」と仰って下さったのは、歳を重ねてきたことの良い面と切なく哀しい面とがないまぜになって再び涙を誘われました、です。
お酒。
そうなんです、お腹空いてる時に‘胃壁を流れ落ちるアルコール’を感じてこその美味しさ!でもあるのですよね。
でもちゃんと食べて呑むようにはしています(*^-^*)、というか、やはり美味しい食べ物があっての美味しいお酒なのかもしれません。
さて、呑み方改革は進むのでしょうか・・・。