昨年末に録画していたBS.12での映画 『 レヴェナント 蘇えりし者 』 ( アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督 2016年4月 日本公開 )を やっと観ました。
本編開始前に映された警告文(「衝撃的なシーンが含まれるため…云々…」)に怯んでしまい、ならば‘心して’臨める時に と鑑賞を先送りしてしまっていました。で、週末、きちんと身構えて臨みました。
156分の長尺ながら一気に鑑賞。
確かに目を覆うシーンもあって凄まじい映画でしたが、息をのむほどに美しい大自然の映像と 神の存在を感じさせるかのような先住民たちの静かな言葉とによって、清らかで深く大きなものに触れたような感覚が残りました。
< story >
アメリカ西部の原野、ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は狩猟の最中に熊の襲撃を受けて瀕死(ひんし)の重傷を負うが、同行していた仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされてしまう。かろうじて死のふちから生還したグラスはフィッツジェラルドに復讐を果たすべく、大自然の猛威に立ち向かいながらおよそ300キロに及ぶ過酷な道のりを突き進んでいく。(※映画情報サイトよりの転載です)
「復讐」というワードが注目されていた本作でしたが、復讐が実際に形を成し始めるのは中盤以降のことで、本作は単に復讐劇だけではないのだと感じました。
そして、生きるか死ぬかという壮絶なサバイバルを乗り越えたのちに初めて、人は感情や思考全てに於いて 人が人である ことを取り戻せて行くのだということに改めて驚かされました。
観る側にとってもそれは同じで、映し出される大自然の雄大さは 過酷な展開の中では「美しい」と感じるよりも私にはむしろ畏怖の念での「近付き難さ」でした。だから、グラスがあの壮絶且つ凄絶な死の淵をなんとか脱し、蘇生を実感した後で私もやっとあの雄大な自然美を「美」としてインプットできた気がします。
時折グラスに蘇えってくる妻や彼自身の言葉。
「息をし続けろ、息が続く限り闘うのだ。」
「嵐の時に木の前に立つと、枝は折れそうになるが幹はびくともしない。」
人間が本来持つ 強さ や 気高さ を思わせると同時に、大きな神の存在を感じさせてくれました。神の存在と、それを深いところで受け止めた人間の強い魂とが重なり合って、幾つもの奇跡(あの状況での生還はまさに奇跡)と ラストの崇高な展開をもたらせたのではないかと思いました。

※この画像は映画情報サイトよりの転載です
同族・ヒククによる「復讐は神の手に委ねる」の言葉。
その言葉が蘇り最後の一撃を止めてフィッツジェラルドを川に流すグラスでしたが、直後に神が応えます。
ああ でも神が応えたことであると同時に、あれはゆるぎない意志と生き様によって人間・グラス自身が作りだした結果でもあったかもしれません。
ポーニー族の妻や子と共に生きてきた半生がグラスを危機から救い(種族の精神を解し種族の言葉を話すことでヒククと関われた)、グラスがアリカラ族の酋長の娘・ポワカの身を救ったという事実が結果としてグラスを神のもとに導いたと考えられるあのラスト、、、ぶるっと心が震えた瞬間でした。
凄まじいサバイバル劇の中、唯一温かみを感じられたのが、出会ったヒククと雪を舌で受けるシーンです。
白人の襲来により村や妻を失うこともなくあのまま部族と共に平穏に暮らせていたなら、グラスの人生はそういうひとときの繰り返しであったのだろうなぁと思いました。
それにしても撮影は過酷さの極みであったと思います。
脳裏に焼き付いて容易には離れないであろうシーンが幾つもあります。極寒の原野での撮影であったということも勿論。
テレビで観てもこれほどの衝撃なのだから、公開時に劇場で観ていたらきっと暫くは席を立てなかったでしょうね。
ディカプリオは本作で悲願のオスカーを獲得、5年も前のことで今更ですが 心から「おめでとうございます」と言わせてください。

さて某日のこと。
天に召されたウチ猫a. は今も変わらず心にいてくれていますが、猫パトロール以外に可愛い仔猫を眺めたくなることもたまにあって、こちらは久々に寄った某大型商業施設内のペットショップコーナーです。
アメショー、ロシアンブルー、マンチカン、ヒマラヤン、みんな可愛い仔猫たちでしたが、ひときわイケメン君だったこの子はソマリの男の子、生後約3か月とか。目が合いました、はじめまして。
見て癒やされたいだけで連れて帰る気は勿論ありませんでしたが、もし仮にそう思ったとしても私には無理でした。
この子のブースには超高額のプライスタグが燦然と輝いていて! 数字の横には [ 税別 ] の二文字がまるでトドメの一刺しのように添えられていました 。
ブースの前で思わず シェー! をしてしまいましたが、しかしこの子にはこの子なりの、あのプライスを背負った運命があるわけで・・・。
だから ええ人に連れて帰ってもらうんやで・・・元気でな。

私はその深い物語性や、レオ様の壮絶なまでの演技すらどうでもよくなってしまう程、ルベツキの映像に魅了されました。自然光だけで撮影されたと言う圧倒的な映像美に飲み込まれ、その世界観に没入した映像体験でした。
amiさん、お越しくださり嬉しいです、ありがとうございます。
エマニュエル・ルベツキの撮った映像美、私も映画館で観たかったなぁという思いが今、激しく湧いています。
物語だけでない、演技だけでない、、、そういうのが多分総合芸術としての映画の凄みなのでしょうかね。
amiさんが「映像体験」と書いておられるのがしみじみと分かる気がしました。
amiさんのところに飛ばせてもらって過去記事のそれを再読させて頂きましたよ、ありがとうございました(*^-^*)。
「レヴェナント」ご覧になったのですね♪
あのように神秘的で想像を絶する自然を観る事が出来たのも幸せで
レオさまにやっとオスカーが来てくれたのもシアワセな1本でした。
ご復活(?)おめでとうございます(^^)。
まさに想像を絶する映像世界でした。原野に射してくる光が神々しくて。
レオ様を初めて知ったのは『ギルバート・グレイプ』でしたが、観る作品全て外れ無しで受賞は仰る通り「やっと」の想いですね。