久し振りに神戸に出てシネ・リーブルで映画を観て来ました。
『 ブータン 山の教室 』( パオ・チョニン・ドルジ監督・脚本 )です。
拙ブログに時折コメントをくださっているロラ男さんのブログでこの映画のことを知りました。
改めましてこの場でお礼申し上げます、ありがとうございました。
チラシの女の子、とても愛らしいと思いませんか。
子役俳優でも何でもない現地の女の子だそうですが、声も表情も、披露してくれた踊りも歌も、唯一無二と思える清らかさでした。
チラシには「 現代を生きる我々に 本当の豊かさとは何か を問う作品 」とありました。
しかし私には大自然とともにある素朴な暮らしへの一方向的な賛美では終われない、少し複雑な思いを残した作品となりました。

< story >
ある日、若手教師のウゲンはブータン王国で最も辺境の地であるルナナ村に赴任するよう告げられる。彼はオーストラリアに行ってミュージシャンになりたいという夢を持っていたが仕方なく承諾し、1週間以上かけてようやくルナナ村に到着する。当初は電気もトイレットペーパーもない場所での生活を不安に思っていたウゲンだったが、次第に村になじんでいく。 ( ※ 映画情報サイトより転載させて頂きました )
「国民総幸福」の国、ブータン。そう言われて注目されてきたこの国です。
大自然の圧倒的な美しさ、空気はどこまでも澄んでいるのがスクリーン越しにも伝わってきます。(高山の村々では「人口3人」とか「人口0人」とか。空気を汚すものの存在が無に等しいのですね。)
美しい村娘の歌う「 ヤクに捧げる歌 」には心洗われ、チョーク一本、黒板一つない、本当に何もない教室でひたすら「学び」を待つ子どもたちの瞳はどこまでもキラキラしていて・・・。村人たちの営みに接する中でウゲンが変わってゆく様子は、確かな幸せの築き として静かに心を打つものがありました。
その思いは観終わった今も 不変 でありながら、子どもたちに学問をさせてやりたいと願う村長の「 学問があれば別の道も開ける 」という言葉が、私には全てのような気がしてならなかったです。
他の世界を知らないことは、乱暴な言い方かも知れませんが 選択肢がない ということ。
ブータンで今を生きる、その幸福度を十分に分かっている村長自身が実はその幸福度の裏で深いジレンマを抱えているのだと感じました。
それは本作を撮った監督の苦しい葛藤と自問自答でもあったのですね。祖国ブータンへの深い愛と、村人たちの希望の未来と。
「 本当の豊かさ、幸福とは何か 」とは、監督自身が自問し続けていることなのだと気付かされました。
ルナナへの深い郷愁に包まれるウゲンでしたが、、、
故郷として心に留めおくこととその地で人生を歩んでゆくことの間には抽象的な意味での遠い距離が敷かれている気がして、何とも切なくほろ苦いラストでした。 ウゲンはあの後どうしたのだろうか。
それにしても学級委員のこの女の子(名はペム・ザム)が本当に清らかな感じで可愛かったなぁ。自己紹介の時に披露してくれたあの踊りと歌、もう一回見たい聴きたい!です。

スマホ内の画像を整理していたら……昔々 ウチ猫a. が拙宅にやって来てくれた頃の写真がありました。
捨てられてた猫たちを保護して下さってた猫ボランティアさんを通して我が家にやって来てくれました。
この時はもう生後5ヶ月くらいだったかな…左足の下に敷いてるのはネズミのオモチャです。
天に召されて行ってもう7年余り。さらに昔日の、小さかった頃のことを懐かしく思い出しました。
空の上で元気に暮らしているか? I miss you.
視聴はDVDレンタルになりそうです(泣)。
さて、穴が開くほど公式HPを見まして自分なりに考えた幸福。
将来、先生にならずに未来を知らない方が幸福が少ないかもしれないけど、「不幸」も少なくて済むんじゃないかなと思っています。
起きている間はもちろん、寝ている間にもスマホには嫌なこと知りたくなかった不幸な出来事が春の花粉のように大量に舞い込んできます。
目にするたびに暗い気持ちになったります。
「幸せの数と不幸の数は同じの法則」はブータンの田舎にも大阪の都会にも成り立つんじゃないかな。。。って。笑
ロラ男さん、お越し下さり嬉しいです。
本記事冒頭に勝手にお名前を記させて頂いてしまって気にしておりました、すみません。でも本作に出会えたこと、(改めまして)ありがとうございました。
>「不幸」も少なくて済むんじゃないかなと
そうなのですね、それなんですよね!
拙レヴューをアップする時に この内容でこのまま挙げてしまっていいのかな とちょっぴり逡巡したことがあって、それが何ゆえのことなのか、、、ロラ男さんのコメントで今納得できた思いです。
私のこのレヴューもある意味一方向からのものだったかもしれないなぁと、再び本作に想いを馳せております。気付きを、重ねてありがとうございます。
この先、DVDレンタルでずっと先になられたとしても、いつかロラ男さんが本作を心穏やかにご覧になられる時が訪れますように(*^-^*)。