2022年07月10日
考えごとしたい旅 (本)
安倍晋三元首相のご冥福を心よりお祈り致します。
ここしばらくは地味に勉強していることのテキスト本に走りがちな日々ですが、それでもふと目に留まったり誰かに教えてもらったりして、読みたい本は読むようにしています。
先日はこちらの一冊を読了、ワクワクするような表紙(タイトル)です。
『 考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール 』(益田ミリ著 幻冬舎)、旅エッセイ。
フィンランドは大好きな映画監督アキ・カウリスマキの国で、「いつか行ってみたい国」の一つであり続けていますが、この本はそれだけの理由じゃなく少し違うところで触発されるものがあったので手に取りました。
<こんな本>
温かいコーヒーとシナモンロールを頬張りながら、通りを歩く人々をぼんやりと眺める。 そして考える。時間とか、人生とか、自分について。 「食べて」「歩いて」「考える」、フィンランドひとり旅。 ※BOOKデータベースよりの転載です。
益田ミリさんの著作に触れたのは初めてです。イラストレーターさんなのですね、お名前は知りませんでしたがイラストは触れたことのある親しい感じの画です。
風景、食べ物・飲み物の写真も豊富で、ミリさんが訪れた先々でのちょっとした‘旅あるある’的出来事もさらりとした表現で書かれていて、スーッと愉しい気持ちで入ってゆけました。ミリさんの道行きに自分も歩を添える感じでした。
でも何て言いうのかな、旅への向き合い方が切実に心に響いたところが幾つかあって、そういう意味で深く刺さった一冊でありました。
◆・・・楽しいはずなのに満たされぬものがあった。旅の前に気がかりなことがあり解決せぬままにやってきたからだ。自分を守ることは大切である。しかし守りすぎるとかえって逃げ場がなくなることもあるのではないか。・・・中略・・・守るって何だろう。誰かを嫌ったり憎んだりしたくないという回避に似た気持ちなのだろうか。(本書より引用させて頂きました)
旅は非日常で確かにワクワクするものですが、非日常の中で新たに向き合った自分自身に何かを問うたり何かに‘はっ’と気付かされたり、そういうことがあるものだと思います。
考えながらもミリさんは歩き、立ち止まっては風景や建造物を眺め、コーヒーを飲み、カリッと焼きあがったシナモンロールや生クリームたっぷりのドーナッツを頬張ったりなんかして、結局こういう表現(以下)にたどり着いておられます。
◆旅の前に気がかりだったことは旅に出たからといって解決するわけではない。・・・(中略)・・・(でも)今の私は「そこまで悩むことでもなかったな」とケロリとしている。悩みごとなどない方がいいに決まっている。けれど、悩みがまったくないのが正しい状態だと思って生きるのはしんどいのかもしれない。(本書より引用させて頂きました)
大丈夫、だから旅を楽しんで、とのミリさんの声が聞こえてくる感じがしました。
私も、たとえ大きな旅でなくてもいい、またいつかそう遠くない未来に一人旅を楽しんでみたいと改めて思いました。
職場の女性からサクランボをいただきました。
遠方のご友人から送られてきたとかで、その御裾分けとして。
瑞々しくて、甘くて、キュンとした心地よい酸味もあって、とても美味しかった。この果物は ‘さくらんぼ ’っていう名前が何ともキュートですよね。
そして久々にコーヒーの画。
先日 高校時代の同級生と再会してランチ呑みを楽しんだ後、「美味しいコーヒーが飲みたい」という彼女のリクエストに応えて古くからあるこちらのコーヒー店へ。暗い感じなのは、こちらは地下にあるお店なので。
コーヒーにこういう表現が合っているのか否か分かりませんが、エッジの効いた美味しいコーヒーでした。添えられていたチョコレートが時折の良いアクセントになっていました。
そうだ、フィンランドのことは村上春樹さん著の旅エッセイ『ラオスにいったい何があるというんですか』( 文藝春秋 )の中にも< シベリウスとカウリスマキを訪ねて フィンランド編 >として登場していました。カウリスマキ監督のBARのことが書かれていましたっけ。
本棚から引っ張り出して早速再読を始めています。
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アキ・カウリスマキ、「希望のかなた」をもって引退宣言されましたが、あまりに残念すぎます! もっと撮ってほしい!
ウディ・アレンもいまだに"リフキンズフェスティヴァル"が日本で公開されないばかりか、あと1本で引退という噂も流れています。(ウゥッ)
何かと重い日々、人間それぞれに楽しみは必要です!(キッパリ)
ほなまたです。
ぺろんぱさんの映画の旅、読書の旅、酒の旅、今後も楽しみです!
ビイルネンさん、お越し下さり嬉しいです。
奇しくもコメントいただいた昨日はマッティ・ペロンパーの命日でした、ウォッカは呑まなかったですがジン呑みました。
『TOVE』、観に行かれたのですね。
ムーミンは私たち日本人(当時は子ども)にとっても非常に想い出深い‘ 休日のアニメ ’でした。
アキ・カウリスマキは引退宣言撤回??なのか、新作を撮るらしいですよ(ネット情報)。英語タイトルは『Dead Leaves』で来年公開とか。主演はビイルネンさんもご覧になられた『TOVE』でトーベ・ヤンソンを演じたアルマ・ポウスティさんだとか!本当にそうなら楽しみです^^。
映画監督含め芸術家は自分が望む(納得のゆく)形で作品を残せないならそれは苦しみでしかないのでしょうね。ファンはどんな形のものでも観たい(知りたい)と思ってしまうものですが。
ウディ・アレン監督もまだまだご健在の印象があるので全く知らないところに行ってしまわれないよう、私も願わせてくださいね。
>人間それぞれに楽しみは必要
本当にそうですね。
好きなことを「楽しみ」と思える心のゆとりを私も持ちたいと思います。
ロラおさん、お越し下さり嬉しいです。
佳き日々を過ごされていらっしゃるようで何よりです。
山への旅は、平地の観光地を巡るソレと異なって旅人が心に期するものがよりダイレクトに感じられるような気がします(あくまで私のイメージですが)。
やはり山は‘ 別世界感 ’が大きいと言いますか。あと‘孤高の旅’のイメージがあって究極の自己との対峙的旅のような(すみません、あくまで私的イメージです)。
いずれにしても、翌朝に発って行かれる方々の横顔に何かしらの晴れやかなものが宿っているといいなぁと思います。
>ぺろんぱさんの映画の……今後も楽しみ
そのようなお言葉をいただけるとまた生きてゆけそうです(←冗談でなくマジで。凹むことも多し、で。)。ありがとうございます!