2022年11月14日

西村賢太小説を2冊


 時折前を通る、全国展開している某大手予備校が入るビル
1Fエントランス横に立てられている大きな看板には、「 夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ。」と書かれています。
前を通る度その看板を眺めては、「そりゃそうだけど…そりゃそうだけど、そんなこと正面切って大上段に言われてもなぁ。」と思います。「そんなこと言われんでも分かっとるんじゃ。」とも思います。
ここにやって来る青少年たち、きっといろんな思い(例えば勉学以外の悩みも)を抱えているはずで、それでも勉強をやり続けなきゃいけないと(生きていかなきゃいけないと)このドアをくぐって来るのだと思う・・・そんな彼らの背中をそっと 頑張れよ と押してやる優しさはないのかと思ってしまうのですよね。私は独り身で子どももいないから甘いんでしょうか。
でも「 夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ。」って大人の我々にも、否、大人の我々だからこそ一層グサッと刃が刺さる感じのセリフですよね。
このビルの前を通るときは今まで逃げの人生だったと思う自分にはイタい瞬間です。(と言いつつ結構前を通ってますが。)


二度は - コピー.jpg 苦役列車 - コピー.jpg

 西村賢太さんの『 一私小説書きの日乗 』を読了後、やはり氏の小説を読んでみたくてこの2冊を選びました。
図書館での予約で2冊ほぼ同時に手元に届いてしまいました。
『 二度はゆけぬ町の地図 』( 2010年刊行、短編集 )『 苦役列車 』(2011年刊行)です。
「苦役列車」は皆さんご存じの芥川受賞作品ですが、タイトルに惹かれるものがあって先ず「二度は…」から読み始めて読了し、今は「苦役列車」の序盤です。

「二度は…」に関しては、自分が勝手に想像していた氏の小説世界とは正直言って違っていました。いきなりのカウンターパンチを受けてばかりで。「苦役列車」でもそのパンチは続いていますが、私小説とされていながら主人公への 一線を画した客観的描写 があって不思議と引き込まれてしまうところがあります。
光明が見えてくるのか来ないのか、端からそんなものなんて無いのか、今はまだわかりません。でも、怒涛の勢いでページを繰らせてくれる作家氏ではありますね。とてもパワフル。


日曜の夕景 - コピー.jpg

  先週の日曜日の夕景。
はっと息をのむ美しさを感じて思わずスマホで撮影しました。
続けて4枚撮ったのですが、刻一刻とその様を変えるこの夕景一枚目と四枚目のそれは全く違った表情のものでした。写真4枚撮る間のたった30秒ほどで、自然の迫力を感じてしまった私でした。




posted by ぺろんぱ at 19:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
「そんなこと言われんでも分かっとるんじゃ。」
のとこでしばらく笑ってしまいました。美女ぺろんぱとのギャップがおかしい!また、そういうとこが魅力とも言えますが…。(あのう、ひょっとしてガラ悪い自分の影響受けたんでは?…すまん)

自分が最近読んだ"一私小説書きの日乗"以外の、以前読んだ5冊に、挙げられた2冊は入っていません。(苦役列車をはずしてるところでーへそ曲がりーと言われそうですが…)
"一私小説書き〜"は読んでる途中何度も「あ〜亡くなりはってんな〜」とせつないような気分に陥りました。(それにしても食と飲があまりにあまり!自分でちょこちょこつくったはるのは評価←偏ってるとはいえ)

写真もますます凄み帯びてきましたね。パチパチ〜ッ。
ー自然の迫力ー
ほんまそうですね。夜、ベランダから空とか月とか見てると畏怖を感じてしまいます。「この先どないなるんやろう」という現実的な不安と共に…。

ほなまたです。
Posted by ビイルネン at 2022年11月14日 21:43

ビイルネンさん、お越し下さり嬉しいです。

>そんなこと言われんでも…
この手の毒はごくたまに吐かせてもらってます、美女のビの字もない私ですよ。
ビイルネンさんはガラ悪いだなんてとんでもなくて私の憧れのインテリジェンス溢れる女性です(*^-^*)。

氏の深夜あれだけの飲食、、、お酒の量は人のこと言えない私ですが、いやいやだからこそ そこはかとない ‘イタさ’も感じたんですよね。
でも本当はもしかしたら氏にとっては 心底楽しいひと時やったんかも、です。豚こま肉と野菜を炒めてウスターソースで とかありましたよね(._.)
ビイルネンさんが『苦役列車』を手に取られていなかったのは何となく想像していました(^^)、へそ曲がりとかじゃなくて、何となく違うところから触れたいと思われるだろうなぁと思って…。

写真をほめて下さってありがとうございます。
ひたすら実際の空の美しさとスマホの力です。
仰る通り「この先どうなるか」は全く分かりませんが「ああ、なるようになるんかなぁ」と思わせてくれる瞬間でもあります。


Posted by ぺろんぱ at 2022年11月15日 19:20
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