2023年が明けましたね。今年もどうぞ宜しくお願い致します。
例年通り、年が明けてからの‘昨年の振り返り’とさせて頂きます。
劇場での新作映画鑑賞は本当にもうブログタイトルを変更しないといけないくらいの体たらくで(昨年も同じこと書いてましたが)3回のみ。別途、DVDやBSなどでの旧作鑑賞は(再鑑賞作品も含めて)約20作品程度でした。
体調が芳しくなかったこと(今も少し)もありますが、それについては早く忘れ去ってしまえるようにと願います。
旧作でも自分にとっては初鑑賞だった映画や、本やTVのドキュメント番組などについて書き残しておきたいことなどを記します。
■ 映画 ■
旧作映画ですが出会えて本当に良かったと思えた、昨年一番印象に深く残ったのは10月16日にブログに挙げた『 セントラル・ステーション 』です。
今日はその他に、ここに挙げていなかった他の鑑賞旧作品についてちょっとだけ書かせて頂きますね。
一つは『 帰ってきたヒトラー 』(ダーヴィト・ヴネント監督 2015年制作 BS松竹にて)で、これは公開時にドイツがヒトラーをコメディーにするなんてと物議を醸した映画でしたが、私にとってはちっともコメディーなんかじゃなく凄く怖かった作品でしたね。主演のオリヴァー・マスッチがもう途中からはヒトラーにしか見えなかった。
ヒトラーが本物であると気付いた女性の台詞「あの時と同じよ、あの時も最初はみんな笑っていた」、そしてヒトラー自身が聴衆を前にして言った「私は君たちの心の中にいる。だから消えない。」の台詞が今も忘れられません。
もう一つは『 ベンジャミン・バトン 数奇な人生 』(デヴィッド・フィンチャー監督 2008年制作 NHK・BSプレミアムにて)。
ブラッド・ピットの映画は結構見ていると思うのですが何故か拙ブログでは挙げていないみたい。
ブラピファンの某女性と『 ジョー・ブラックをよろしく 』ってイイ映画ですよねーと盛り上がる機会があって、それ以後なんとなくブラッド・ピットのことが(彼が失顔症という病をカミングアウトしたこともあって)以前にも増して気になっていたのでした。
F・スコット・フィッツジェラルドによる原作は短編ですが(未読です)、たっぷりの哀切感と短い青春の煌きとともに巨編に仕上げられた映画です。ストーリーテラーでもあるデイジーを演じたケイト・ブランシェットはさすがの存在感で、大好きなティルダ・スウィントンもとても素敵でしたが、やっぱり主演のブラッド・ピットの魅力が大きい作品だったと思います。バイクを駆るシーン(特に赤のインディアンでの)は本当にクール!
愛する人と共に老いてゆける幸せは得られず、共有できる時間のあまりの短さが悲しすぎて・・・だから妻と娘を残して姿を消したベンジャミンの行動が私としては悔やまれ、しかしそうせざるを得なかった彼の精神状態も私としては解りたいと思うのでした。
■ 本 ■
昨年ラストに読んだ故・山本文緒さんの闘病記『 無人島のふたり 』はやはり辛く、衝撃でした。
この本については改めて別の日に綴りたいと思っています。
■ 2022年の ドキュ72 ■
昨年に続いて今年もNHKの『ドキュメント72時間 』から。
恒例で12月30日には「視聴者が選ぶBEST10」発表がありました。
1位作品は、これがそうなるだろうなぁと思っていた回(「どろんこパーク 雨を走る子どもたち」)でしたが、幼い子供たちにとっても生き辛いこの世の中で、彼らなりに前を向いて行こうとしている姿が鮮烈でした。
りんたろうクンが死なないでいてくれてよかったし、ケイスケくんもケイスケくんのお母さんも‘何処かへ消えて’しまわずにいてくれてよかった。
5位だった「ゆめまぼろしのテーマパークへようこそ」は私としては‘推し回’でしたが、BEST3に入るより5位くらいの方が丁度よい存在感かも、です。
私的には BEST10には入っていなかった好もしい回も他にありましたが、それはそれで心の中で密かに支持していようと思います。
今年も「ドキュメント72時間」、楽しみです。
■ そして、、、ヒロシのぼっちキャンプ ■
以前にいっとき観られなくなっていたのですが、そのあと放送再開、以来ずっと録画して観ています。
黄昏から夜の火を焚く風景は勿論イイのですが、朝靄に包まれた翌朝のテントでちょっと‘兵どもが夢の跡’的なヒロシさんの表情と毎回変わるエンディング曲がなかなか良くてやっぱり見続けてしまう番組です。
でもいつか、撮影スタッフさんもいない、誰かに見せることも意図されていない、‘本当のぼっちキャンプ’のヒロシさんを見てみたい気がします。
2023年、皆さんにとって 笑顔になれることが一つでも多くなる一年でありますように。

>『帰ってきたヒトラー』
ドイツではヒトラーネタはタブーだと聞いていたので、ここまでやって大丈夫なの?と心配になりました。うろ覚えですが「私が民衆を扇動したのではない。民衆が私を選んだのだ」と言う様な台詞があり、今の世界情勢を見ると公開当時より今の方が更に我々の中に潜むヒトラーを身近に感じることが恐ろしいです。
>『ベンジャミンバトン』
私は映画を観た後に小説も読んだのですが、これがプロットは同じでも全くの別物と言っていい位(笑)でしたが、どちらもそれぞれの良さがありました。映画は人生の素晴らしさを、小説では人生の儚さを強く感じました。
新年早々長々と書いてしまいましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
amiさん、明けましておめでとうございます。
お越し下さり嬉しいです。
『帰ってきたヒトラー』の「私が民衆を扇動したのではない…」の台詞、聴衆を前にした時のものだったのと思います。「私は君たちの心の中に…」と同じくして発せられていたものだったと(間違っていたらごめんなさい)。私もあのシーンが一番怖かったです。
「分断」という言葉が世界のあちこちで聞かれるようになって、そしてまさかと思っていた21世紀の現在の戦争・・・amiさんが仰る通り今の方が現実味を伴うような恐ろしさがありますね。
『ベンジャミンバトン』、やはりamiさんは小説も読まれていたのですね。
私も映画を観た後読んでみたくなって書店に行きましたが、あの大きなJ書店でも出版社からの取寄せのみとのことでそのままになっていました。
amiさんが「それぞれの良さ」「小説では人生の儚さを強く…」と仰るところ、なるほどです、両方に触れておられてこそ其々の良さが更に際立つのでしょうね。気付きをありがとうございます。
長々とだなんてとんでもないです!
お手紙をいただいたみたいで嬉しかったです。こちらこそ、今年もどうぞよろしくお願いいたします。