当初トウキョウソナタのつもりだった4日(土)、「これはやっぱりスクリーンで観なくては!」と途中からすっかりターセムモードになってしまっていた10月。
前作『ザ・セル』での映像美には随分と魅せられたものですが、本作でもその絢爛豪華な映像が話題になっていました。
でもね、豪華な映像美だけじゃないです、この映画。とっても素敵な物語でしたよ。
“絶望の淵に落下しても、生きてさえいればこの世界は美しい”(映画キャッチコピー)
シネカノン神戸にて『落下の王国』(ターセム監督)を鑑賞。
劇場鑑賞のきっかけとなったゆるりさんのブログに感謝します。

story
「ザ・セル」の鬼才・ターセム監督が、世界24ヵ国以上でロケを敢行して撮り上げた絢爛豪華な映像叙事詩。主演は「グッド・シェパード」のリー・ペイスとこれがデビューのカティンカ・ウンタルー。
1915年、ハリウッド。撮影中の事故で重傷を負い病院のベッドに横たわるスタントマン、ロイ(リー・ペイス)。身体が動かず自暴自棄となり、自殺願望にとらわれていた。同じ病院に入院中のアレクサンドリア(カティンカ・ウンタルー)は、家族を手伝ってオレンジを収穫中に樹から落下して腕を骨折した5歳の少女。じっとしていられず敷地内を歩き回っていて、ロイの病室へと辿り着く。ロイはアレクサンドリアを呼び寄せると思いつきの冒険譚を語って聞かせる。ロイの語るめくるめく物語にすっかり引き込まれていくアレクサンドリアだったが…。(allcinemaより)
※映画に関する写真は全て映画情報サイトより転載させていただきました
映像は息を呑むほど。
CGではなく全てがロケでの実写によるものと聞いていたので、いたるところで「こんなに美しいところがあるの?ここはどこなの?」という思いが湧き起こりました。
実際の風景も絶景ながら、それを絵巻物のように豪華に、オペラのように気品高く、眩いほどの美しさに仕上げて見せてくれるところはさすが「映像の魔術師」と言われるターセム監督です。
真っ白い砂漠に青い湖、深い緑の海面に浮かぶバタフライの礁。幻想美にうっとりしてしまった、海をゆったりと泳ぐ象のシーン。
ワンカット、ワンシーン、それぞれに込められた魂がすごい。

それらの豪華なシーンは全てはロイが少女アレクサンドリアに語って聞かせる「物語」の世界で劇中劇のように見せている映像なのですが、、、実は意外にも、病院の中で繰り広げられる「現実世界」の物語の方に何だかとっても引き寄せられてしまう作品なのでした。
アレクサンドリアにとってロイは、時に孤独な患者として苦を分け合う友のようであり、時に淡い恋にも似た気持ちを抱く異性であり、そして終盤には、自分の力では救えなかった亡父をそこに重ねてしまうのですね。
いたいけな少女の純粋さが、ファンタジックに、でも少しブラックに、余すことなく描かれていて、「ああ、この映画はアレクサンドリアの物語なのだな」って思ったり。
ロイの語る冒険譚は、もともと即興でつくったお話だから結構いい加減で笑える(時にぶっ飛ぶ)展開なのですが、現実の世界とリンクしあっていて、徐々にアレクサンドリアが牽引役となって物の展開を変えていってしまうところがとてもチャーミングです。
失意のロイが強引に悲劇へと導いた冒険譚の終盤も、やっぱりアレクサンドリアの純真さが救ってくれたのです。
ロイにとっての本当の姫はこの子だったんですね。

アレクサンドリア役の女の子の演技がとても自然なのには驚きました。
造作としてはちっとも美形じゃないのに何故か無性に可愛いのです、この子。その魅力の引き出し方もターセム監督の手腕なのでしょうね。
ロイとの会話は、まるでリップノイズまで聞こえてきそうなくらいの囁きでとっても心地良く、子守唄を聴いてるみたいでした。
ロイ役のリー・ペイスも、何となく若き頃のジョン・キューザックに似ていて素敵でした。
「The Fall」という原題も観念的でカッコイイのですが、「落下の王国」とした邦題にはセンスの良さを感じました。
このタイトルの意味するところはラストになって分かるのですが、あのラストのモノクロ映像の繋ぎ合わせに被さるアレクサンドリアの言葉に私は胸が熱くなりました。
『ニューシネマ・パラダイス』へのオマージュも感じられたけれど、それよりずっと素敵に感じました。

ラストのあの言葉で、ロイがヒーローのように輝いたのですから。
また一つ、観返したい映画に出会いました。

さて、昨日は日本酒を浴びるほど飲んだので(こ、怖い^^; ・・・浴びる程というのは冗談です、でも半分くらいはホントです)、今日はスパイシーな赤ワインが飲みたくなって、お買い物に出た際、ちょうど試飲販売をしていたので買ってまいりました。
シラー種で作られたジェイコブス・クリークです。

試飲した時はスパイシーな感じだったのですが、改めて飲んでみるとスパイシーさよりもプラム系の華やかで甘い香が際立って感じられました。
どうしてでしょう?・・・で、試飲した時の少し前にグレープミントのキャンディを食べてたことを思い出しました。
味覚って凄く繊細なものなのだと改めて感じました。
でもこのワインは正解です、美味しいです。
心地よい“酔い”の世界に fall in ですね。
ホント、これは劇場鑑賞しなくてどうするってな作品でありました。
当初は、映像美だけに期待をしていたのですが、思いの他、現代パートのドラマも胸をうつものでした。
アレクサンドリアちゃんのナチュラルさがよかったですよねー。
『ザ・セル』の時は、スタイルだけの人かと思っていたような気もするターセムですが、映像美だけじゃなくて、物語や映画全体への愛情をもっているクリエイターだと知ることができて嬉しかったですー。
旅ごころも刺激されー
「逃避型ファンタジー」の進化系ってところでしょうかね?
itukaさんのブログ記事と共に、何だか期待値が高まって参りましたよ、ええ!
私も本作でターセム監督に対する認識が変わりました。
次回作(CMで稼いでもらって(^^ゞ)、ね)が楽しみですねー。
>旅ごころも刺激されー
あぁ、そうですね!世界旅も出来ちゃう本作でしたが、やっぱり実景を見てみたいですよね!!
>「逃避型ファンタジー」の進化系
そうですね、そういう点ではあの「パンズ・・・」と似ている部分もあるかと思います。
itukaさんのブログもさっき拝読してまいりました。(コメントしたいと思いつつ・・・。コメントさせて頂いても良いでしょうか・・・。)
TiM3さんもよろしければ公開中にご覧になって下さいね!
なんだか感動を共有できたみたいで、うれしいっす!ヾ(〃▽〃)ノ
それにしても、表現力がある人が書くとわかりやすいし、
私もこうゆう事が言いたかったのよ!と
すっきりした気分ですよー。
私はいつも思っている事の半分も書けない気がします。。。( ̄▽ ̄;A
>若き頃のジョン・キューザックに似ていて
そうか、どこか繊細なイメージは、
甘酸っぱい青春モノに出ていた頃のキューザックに通じる所があるかも。
最近思うようにブログ更新が出来ない私ではありますが、
これからもよろしくお願いします!
私も嬉しいです、ゆるりさんに感謝です。(*^_^*)
表現力なんてとんでもないです、私はごちゃごちゃとあれこれ書き連ねてるだけで読み返すと恥ずかしいばかりです。
>最近思うようにブログ更新が
そうですか?
いつもゆるりさんのブログは作品のチョイスがシブいなぁと感心しながら楽しみにしているのですよ。こちらこそこれからも宜しくお願いします。(^^♪
ジョン・キューザックもいつの間にか「オトーサン」の役までこなす人になったのですね・・・(しみじみ)。
ああああああああっ!!!この映画観たんですね。私も観たい。もうちょっとで映画も観にいけると思いつつ、好いなぁ。観たい!観たい!観たい!!
随分と前の新聞に出ていた言葉「実写で豪華なシーン」というのが気になっているんです。
もうちょっとで区切りがつくので、是非とも観に行きたいです。
今気づいたけど、ブログのタイトルバックも変わっていますね、赤いバラに。
そんなに長い間ご無沙汰じゃないですが....??
「観たい!」の三連呼に、west32さんの“気合!”をビシバシ感じました。(*^_^*)
確か、某御資格取得でお忙しい日々とか拝察しておりました。もしご覧になれる日がきましたら是非どうぞ!
ブログの背景は、変えてから確か一ヶ月は経っています。west32さんにも背景を変えてから御訪問頂いていたと思います(^_^;)。
多分いろんなことで「心ここにあらず」状態だったのでしょうか?・・・あ、何より、拙ブログの背景がどれもインパクトが無いのかも、です。(T_T)
御希望の資格のご取得が早く叶うと良いですね!!
皆さんおっしゃるように、これって絶対スクリーンで見るべきですよね。
見逃さないように.........仕事をしながら、実は心は「落下の王国」に。
じゃあいよいよ今週に本作を御鑑賞ですか!?
でも(私自身にもいつも言えることなので)、あまり期待を膨らませ過ぎられませんように・・・真っ白&まっさらの状態でご覧になるほうがよろしいかと存じます。
期待が過度だと反対側に気持ちがぶれた時のショックが大きいですから。
あくまでwest32さんの率直なご感性で・・・そしてその御感想も楽しみにしていますよ〜。(*^_^*)
期待どおり、もう一度みたいと思った映像でした。
そのうえ、是非ともこの映像の現実の世界に行ってみたいです。二つしかしらないもん。
わーい、ご覧になられた由、後ほど貴ブログにもお邪魔させていただきます。
私は、もし行けるとしたら、、、拙ブログに引用させて頂いている2枚目の写真の地に佇んでみたいです。
ほんとうにこの作品の映像の見事さと言ったら!
おまけに実写というのですから。
ここまで来たら人間国宝ものの職人芸とでも言いましょうか。
それに,みなさんおっしゃてますが,アレキサンドリアの愛くるしさは絶品ですね。
何でしょう・・・太めなのにめっちゃキュートでした。
くるくる変わる無垢な表情に見とれてしまいました。
主人公の青年は,キューザックにも似てると思いましたが
私はなぜか,まゆげが「郷ひろみ・・・」と思ってしまいましたよ。
この作品に合うのはやはりワインですね〜。
それも赤。
私はワインはもっぱらチリワイン党です。
>太めなのにキュートなアレキサンドリア
そうそう!ビジュアルを超越してあそこまで魅力的な彼女に脱帽の思いです。
>まゆげが「郷ひろみ・・・」と
いえてますね。
「自信を持てない、悲観論者の郷ひろみ?」という感じでしょうか・・・。^_^;
チリワイン、よいですね〜。
特に赤。
今日は日本酒でほろ酔いの私です。(*^_^*)