フォ・ジェンチイ監督は、『故郷の香り』を観て以来とても好きになった監督です。
シアターのあるスカイビル下、新梅田シティ・ワンダースクエアでのドイツカーニバルはクリスマスまでずっと続くようですね。
中央にツリーがそびえ、回転木馬が回り、ビールやソーセージやお菓子の出店もたくさん。
賑わいを見せる中、シアターへ向かいました。
story
1970年代中国、チー・ラン(ヴィッキー・チャオ)とホウ・ジア(ルー・イー)は同じ宿舎で育った幼なじみだった。二人は成長し、やがてお互いに恋心を抱くようになるが、なぜか彼らの親は交際に否定的だった。大学の受験発表の日、ホウ・ジアは母親から亡くなった父の自殺はチー・ランの父親のせいだという衝撃的な事実を知らされる。(シネマトゥデイより)
※映画に関する掲載写真は全て映画情報サイトより転載させて頂いております。

本当に欲しかったものが手に入らないと悟るや、欲しいと手を差し出すことも怖くなる、そんなことってありますよね。
幸せになれる要素は持っているのにどこかで運命がかみ合わず、孤独と共に生きていく道を選んでしまうことになる人もいますよね。
そんな、“宿命的な哀しみ”ってあるのだろうなという思いを抱いてシアターを後にした映画でした。
チー・ラン(ヴィッキー・チャオ)とホウ・ジア(ルー・イー)。
初めは、チー・ランの純であるけれども幼い感情と我が儘とも取れなくはない言動に何となく感情移入できなかったのですが、ある時点を過ぎた時から、彼女の人生に張り付いてしまった哀しみの影を痛いほどに感じ、ひどく切なく哀しい心になりました。
それは彼女が若き頃に最も悲しいことだと言っていた“心をも殺してしまう”ということでした。美しく、輝く未来に満ちていたはずの彼女だったのに、彼女はある時点から耳を閉ざし、何かに背を向けてしまったのです。
だからこの映画は、ホウ・ジアと二人というよりむしろチー・ランの純愛と孤独の半生の物語であったのだなと感じています。

「初恋」というワードに何となく気恥ずかしさもあって、ロミオとジュリエットを想起させる悲恋が軸となっているということもあり、ありがちな恋物語が展開するのじゃないかしらという危惧も、正直に言って持っていた私です。しかしそれは杞憂に過ぎなかったですね。
私自身がジェンチイ監督に抱いている魅力ですが、登場人物の感情の襞をとても丁寧に描き、優しい眼差しが注がれ、ノスタルジックな風景描写もチー・ランとホウ・ジアの若き頃の二人の感情をあわあわとした美しさで彩り、味わい深い作品になっていたと思います。

しかし「家族」というのは、人間にとって幸福の原点であると同時に呪縛の源でもあるのかもしれませんね。
「過干渉が許され、家族の絆が儒教的価値観として根強く残っていた」とされる80年代の中国だそうですが、それにしてもこの二つの家族、そしてこの二人の若者が、心の底から笑い合うことなく見送った年月はあまりに長く、決して戻るものではないことを思うと、ひどく惨いことだと思わざるを得ません。何気ない幸せを掴める図式は其処かしこに溢れていたのに・・・。
ホウ・ジアの母を思う気持ちにも頷けるだけに、やるせないです。
ラストはどう捉えられるでしょう。
私は諦観の涙と感じました。愛しい感情はそのままなのに、一度殺してしまった心が鮮やかに蘇生することはもうないのだ、と。
待つことと待たせること・・・家族の絆を選択した二人の心のタイミングが、結果的には微妙に違っていたという皮肉な事実も、ただただ哀しいですね。

映画を見終えてビルを出ると、ドイツカーニバルはそれぞれにイルミネーションを灯し、たくさんの家族・恋人たちの幸せの図が満ちていました。
チー・ランの涙が心に残っていて、目に映るイルミネーションも一瞬滲んだ瞬間でした。
この後はふと思い立って、かねてから訪問したかった阿波座にある老舗の某酒販店へ。
地下セラーで銘酒の数々が有料で利き酒できるお店です。土曜は6時閉店とのことで、飛び乗った地下鉄の車内で走りながら急ぎ向かいました。
そこでの利き酒のことや最近のアルコールのお話を、撮り置いた写真と共に次回のブログに綴りたいと思っています。
それにしてもチー・ラン役のヴィッキー・チャオは本当に美しい。『レッド・クリフ』にも出演されているようですね。透き通るような美しさでした。
私的にはメイク面で監督にいじめられてた(?)『少林サッカー』より、
実は主役級だった(!)『クローサー』での彼女が、りりしくて可愛くて好きでした。
ウィキさんに載ってる、彼女の受賞歴を眺めてて、
「最も大学生に歓迎された女優賞」ってのがちょっと面白かったです(=^_^=)
ちなみに、ドイツカーニバルは今年はクリスマスまでですか?!今年はちょっと長いのかな?
私は転勤になって職場が変わったので新梅田シティーからも遠のくことになりそうです。ぺろんぱさんがちょっと触れられる言葉に期待しています。あそこって本当に別世界ですから。
「故郷の香り」大好きです〜。
世間では「山の郵便配達」ほどには評価されてなかった感じですが私はよりハマったのでした。
今作はベタなラブストーリーという危惧もありましたが、もちろんそんなことはなく、せつなさにうたれましたよね。
男の子が私好みだったらもっとよかったのですが。
ヴィッキー・チャオはキュートですよね。
彼女が素晴らしく魅力的だったのは「緑茶」♪
ヴィッキー・チャオのファンですよ。
「少林サッカー」のあのくりくり頭に魅了されました。
なかなかのおてんばさんで、かなりの自由人とか。
「夜の上海」では、本木さんをちょっとてこずらせたとか?
映画俳優さんにはあまり興味がないのですが、
彼女の眼のいたずらっぽさがお気に入りです。
「初恋の思い出」は京都ではいつごろ上映でしょうか。
楽しみに待ちましょう。
レッド・クリフにも出てる人ですね。
そして、フォ・ジェンチイは「山の郵便配達」の監督さんなんですか。
他の方の書き込みがとても参考になります。(=^_^=)
どこか詩的なぺろんぱさんの表現からせつなさが伝わってきて、
読んでるだけで哀しい気分になりました。
「故郷の香り」も観た事ないので、今後観たい映画のリストにまた一つ加えたいと思います。
来週あたりは久しぶりに梅ガデに行きたいもんだ!
『少林サッカー』のヴィッキーさんが話題になってるみたいですね。ネット上では、コメディっぽいイメージが強い彼女の本作が斬新だと言う様なことが記されていたような・・・。『クローサー』、未見です。結構メジャーな女優さんだったのですね。
>「最も大学生に歓迎された女優賞」
アイドル的でもあるんでしょうか??
確かに、「美しい」という表現も「可愛い」という表現もどちらもピッタリです。(*^_^*)
ヴィッキーさんにまたもや一票!ですね。(*^_^*) 本作では特に“清楚”で可憐なイメージが前面に出ていました。
ご転勤とのこと・・・大阪府内にはいらっしゃるのでしょうか・・・いぜれにせよ、お任せ下さい!梅田スカイビル内<リブ梅><梅ガデ>で上映の映画にはこれからも足を運びたいと思います(^_^)。
『故郷の香り』、いいですよね〜。私も『山の・・・』よりも尚一層好きです。
そして主演の男の子に今一つ・・・だったのもかえるさんと一緒です。ヴィッキーさんが輝いていただけにねぇ。
『緑茶』ですか? 未見です。
そこまでメジャーな女優さんだったとは・・・本作で完全にインプットできました!(*^_^*)
わぁ、ヴィッキーさん、人気大ですねぇ(*^_^*)。
『夜の上海』?ですか?? またしても未見作品です。
確かに、元来持たれているイメージは本作のイメージとはかなり違うようです。でも多彩な魅力の箱を持ってるなら、それは女優さんとして素晴らしいことですよね。
本作では後半部の彼女がより好きでした。
もしも京都でご覧になられましたら、レヴューを楽しみにしています。
はい、私も(ゆるりさんのコメントも含め)皆さんのコメントでいつも勉強させて頂いています。
ありがとうございます。
詩的だなんてとんでもないです!
いつもだらだらと要点なく書き連ねてしまってますので恥ずかしい限りです。(>_<)
(ちょっと酔って書いてる時はセンチメンタリズムの塊りになってしまってるし・・・しゅん。)
『故郷の香り』は、いつか是非ご覧になって下さいね。香川照之さんも出ていらっしゃいます。
近いうちに、またスカイビルのシアターでニアミスといきましょう!(*^_^*)