初日の10日(土)は意を決しての鑑賞作、『永遠のこどもたち』(ファン・アントニオ・バヨナ監督)をシネリーブル神戸で。
前回ブログで記した通り、ギレルモ・デル・トロ製作の作品です。
意を決したつもりだったのに、やっぱり映像と音響が一体となってスクリーンに奏でる威力は凄く、かなりの怖さで身がすくむこともありました。
しかしラストは一気に全てが昇華、足元から頭上にかけて“良い意味での”鳥肌が立ちのぼりました。ホラー映画でこんなに胸に熱いものがこみ上げてくるなんて思わなかった。
story
子ども時代を過ごした海辺の孤児院に30年ぶりにラウラ(ベレン・ルエダ)が夫カルロス(フェルナンド・カヨ)と共に戻ってくる。閉鎖されて久しい古い屋敷を買い取り、障害を持つ子どもたちのホームとして再建する計画だ。気がかりなのは、難病を抱えた7歳の息子シモン(ロジェール・プリンセプ)が空想の友だちに夢中になっていることだったが、怪しげな老女の突然の訪問がラウラの不安を一層掻き立てる。そして、入園希望者たちを集めたパーティの最中にシモンは忽然と姿を消してしまう。(story、写真とも、goo映画情報より)

劇中、ソーシャルワーク的な集いで某人物が「死者と生者はこの世に共存する」というような台詞を口にするのですが、何気なく聞いていたこの言葉が、ラストで鮮明に私の中に蘇りました。
彼ら全ては死者であり、永遠の生者でもあるのですね。
魂が魂を呼び寄せる世界。
全てが一本の線につながり、「本当はこうでありたかった、こうであって欲しかった」と思う世界へ導かれていくラスト。
暗く深い井戸の底であたたかな優しい光を感じた気がしました。
人間の中に潜む残酷さと他者を憎む心、そこに悲しい偶然が加わってかくも惨く悲しい物語がつむがれてしまったけれど、本当はそこには柔らかい光と優しい波音に包まれた子ども達の「未来」があったはずなのですね。
それを願う子ども達の心と、ただひたすら我が子を想う母親の心が底知れぬ恐怖を乗り越えて“一つ”になった時、この世と共存するもう一つの死者の世界を「永遠に生きる世界」にしたのだと思いました。

ただひたすらにシモンの生を願い、信じ、突き進むラウラの姿が、スクリーンを通して(映画を観ている)私自身をも「今このこの恐怖に打ち勝て」と奮い立たせてくれたのです。
そして、やってくる“何か”には必ず「意味」があるのだ、とも。
ただ恐れるのではなく、そこに存在する何らかの意図を探り、自身が差し出す手を求められているのだと信じようとすれば、そこに一体化できる世界が見えてくるのかも知れません。(これは、やたらと怖がりの私自身への内省も踏まえてのことです。)
怖くて惨くて悲しいのに、最後は柔らかな光に身体ごと包まれていく、深奥な作品世界でした。
オープニングの透明感のある美しい映像から、斬新さが冴えるブラック感覚溢れる「タイトルバック」へと一気になだれ込むあたりは興味深い演出でした。
本作が長編デヴューとされる J.A.バヨナ監督、次回作品もやはりギレルモ・デル・トロ製作でのホラー映画(本作とは一線を画す系列のホラー)のようです。
さて、全てには「意味」があると書きました。だからお酒を飲むにも意味がある・・・ってことで。
先日の仕事帰りの一杯は、某店で存じ上げていたO氏が新しく御自身のお店を持たれたということで訪問させて頂いたお店、<BAR SPEAK LOW>でのバーボンです。


<メイカーズマーク>の後は珍しい名前の銘柄<バージン・バーボン>で。
北区のアメリカ領事館横・幸田ビルB1Fにあるとても居心地の良いBARでした。またお伺い致します。
この連休中にもう一本観に行っておきたいところです。

となると、ちょっとずつでも前向きな人を目指していかなあきませんよね。(トホホ)
それにしても、こないこわそうな映画は(最後に昇華されようとも)絶対よう行かん自分です・・。(重ねてトホホ)
心臓、大丈夫でしたか〜(^_-)b
主演女優のベレン・ルエダという方は初めてだったんですが、
彼女の鬼気迫る表情も、怖さより悲しさが伝わってきて、惹き込まれました。
>そして、やってくる“何か”には必ず「意味」があるのだ
・・・そうなんですね。。。
おそらくは、ラウラと、シモンが相思相愛で出会ったその時から・・・
そうラウラも悟ったように思えるラストでした。
そしてコメントとTBをありがとうございます。
ホラー映画とひと括りにはできない、仰る通り「不思議な感覚」の作品でしたね。
最後の輪に“彼”が居てくれた事に、私は泣けて来ました。ホント、いい映画でした。
今年もどうぞよろしくお願い致します。(*^_^*)
何かに付けて「トホホ」なのは私も同じです。(+_+)
本作を離れて私の場合は、「前向きに」というよりは、やってくる“何か”は敢えて“自分”を選んだのだと思う(思うしかない)ことで、受け入れるしかないのだというどっちかといえば「流れに身を任す」的な諦めに近い感じでしょうか・・・。
本作で言えば、ラウラには「受け止めよう」とする強い意志が存在しています。母親の愛情の強さを感じました。
怖かったのですが、どちらかと言えば悲しく美しいイメージの映画でしたよ。
でも怖かったですが(^_^;)・・・しかし本作を「(結局は選んで)観に行った」ことにも意味があったのではないかと・・・。
「怖がり同盟」の一員?としての私は、M.N.シャマラン監督は好きなのに同監督の代表作と評されている『シックス・センス』は未見のままなのです。
こちらの作品も同じような精神世界を描いたホラー映画のようで、いつかは挑戦したいと思ってはいるものの・・・やっぱりトホホの私です。^_^;
心臓は・・・今のところ起動していますが、例のラウラさんが浴室で転倒するシーンで一旦止まりました。^_^;
でも仰る通り、どちらかと言えば「悲しい」イメージの映画でしたね。
顔の自然な皺も、私はとても魅力的に感じた主演女優さんでした。
何かが「引き寄せた」、それは「決まっていたこと」だったのだと思えますね。
ラストがよかったですね。観に行けてよかったです。
Kiraさんの後押しのお蔭です、ありがとうございました。(*^_^*)
ぺろんぱさんの記事からシックスセンスを連想させられました。。あれをホラーっていうのかどうかは分かりませんが素晴らしい映画でしたので
これもそういう怖いだけの映画ではなく何か訳のわからぬ惹きつけを感じます。
なかなか映画館に行く時間がなくDVDレンタルですが観てみますね!
そうなのですか、、、私の課題作<シックスセンス>をご覧になられているのですね!(*^_^*)
私はシャマラン監督は好きなのですが未だに怖気づいてて観る事が出来ていないのです。(←あかんたれ)
で、本作は<シックスセンス>と同様の精神世界が描かれているように評されているようです。なので、もしよろしければDVDが出た際には御鑑賞下さい。
本作、怖かったけれど、最後で私は救われました。
この映画は母親というのが強く出ているせいか、男性である私にはついていけぬところもありました。
でも「恐怖おとぎ話」ですよね、本当にドキッとさせられました。
も一度観てもドキドキモノでしょうね。
PS あとでトラバ送らせていただきます。
観に行ったことを御報告せねばと思いつつ、先にお越し下さりありがとうございます!
はい、私もまた観ることがあってもやはりドキドキして、同じところで心臓が止まると思います。^_^;
しかし私はあのラストの「輪」に心打たれました。皆に手を繋がれて「あの子」がそこに居てくてたし・・・。
観に行ってよかったです。(怖かったですが。)
>暗く深い井戸の底であたたかな優しい光を感じた気がしました。
この表現,まさにその通りですね。
悲しみと幸福感が同時に感じられる作品って
他にないですよね,こういう種類の感動は・・・。
幸せはこの世のことに限定されるとは思ってはいませんでしたが
それでもこういう風に物語として訴えられると
新鮮な感動を覚えます。
霊というよりは,ひとの魂の存在やその神秘をも強く感じた作品でした。
バーボン,最近はウィスキーはバーボンばかりです。
ちなみに最近ハマっているバーボンはI.W.HARPERです。飲みやすいー
ようやく観て来ました〜
私的には・・『パンズラ』の方が好きかなぁ(・ω・)
母性を刺激し、全女性に、より訴えかける・・そんな1作に思いました。
それにしても『オール・アバウト・マイ・マザー』もそうだったけど、、スペインって交通事故が多そうで怖いですね(×_×)
(歩行者吹っ飛び系、、)
>霊というよりは,ひとの魂の存在
なるほど、そうですね。
だから怖さよりも哀切感、そして心打たれる想いが残ったのでしょうね。
「幸福感も同時に」と仰っているのにも深く頷けました。
永遠、共存、そんな言葉に神秘を感じた本作でした。
I.W.HARPERのグラスを静かに傾けるななさん、ですね。(*^_^*)
確かに、バーボンの中でも飲み易い上品な味わいだと思います。
ああ、書いていて私もバーボンが飲みたくなってきましたー。
『パンズラ』は「(ダークながら)ファンタジックな世界を描きつつ一気に…」という点で衝撃と感動は非常に大きかったです、確かに。
仰る通り、「母性」を意識する本作でした。
が、TiM3さんの中にも(その他の男性の中にも)母性は存在するものだと思う私です。(*^_^*)
『アール・アバウト…』、ペドロ・アルモドバル監督作品において「コレは押さえとくべきもの」ながら、実は未見です。
“吹っ飛び”は怖いです、本作のは特に怖かったですぅ。
ああいう描き方はやっぱり“ホラー”の俊英監督っていう感じですね。
次作『HATER』なんて、、、ああぁ〜想像もしたくないくらいに怖そ〜です。
最も不得意分野…(>_<)。