観るまでは、ただひたすら「宇宙の映像美」に感動する映画だと思っていました。
でも違っていました。
本作は、人類で月へ降り立った彼らしか発することの出来ない「言葉」の深遠さに酔いしれる作品でした。
その「言葉」と、それらを裏打ちさせる「映像」と、どちらもが紛れのない“本物”であるということが私たちを圧倒します。
言葉に酔うと言っても、では書物で味わえるかと言えばそうではない・・・。
スクリーンで、作り物ではない映像と、カメラの前で当時を語る経年の宇宙飛行士達の肉声と、それらが一体となって初めて得られる感動なのだと思いました。

story
人類が初めて月に降り立ってから約40年、月に赴いた宇宙飛行士たちの証言とNASAの蔵出し初映像などを基に、宇宙体験の感動をよみがえらせたドキュメンタリー。アポロ計画の宇宙飛行士たちが多数登場するほか、『アポロ13』の名匠ロン・ハワード監督が参加。
アメリカ合衆国が宇宙計画でソビエト連邦に後(おく)れを取っていた1960年代。ケネディ大統領の強い意志のもと、人類初の月面着陸を目指してアポロ計画が発動。全世界が注目する中、1972年までに9機のロケットが月へと飛び立ち、12人が月面を歩く結果となったが、そんな当時の状況をアポロ計画に参加した宇宙飛行士たちが振り返る。(stpry、写真ともシネマトゥデイより転載)
原題は『 IN THE SHADOW OF THE MOON 』。
この原題が心を振るわせる瞬間の映像があります。月の影に入って深い暗闇の世界にすっぽりと入ってしまう飛行士達が、やがて徐々に光を受けて目にする月面の世界。
そしてさらに、日の出の如く上ってくる「地球」を月から眺めるという、想像を超えた壮大な天体観測。
彼らはそれを“肉眼で”“間近に”観ることの出来た人達なのです。
そこに到達するまでには、彼ら自身の幾多の試練に加え、多くの人々の多大な貢献と膨大な資金とが勿論不可欠のものであったけれど、その結果として彼らは30億という人類の中においてたった12人だけが体験できる未知の世界に立つことが出来たのです。
その事実に、もうただただ心が熱くなってきます。

語る元・宇宙飛行士の方々は、老いて尚、皆さんとても“いい顔”をされています。
語る間中ずっと穏やかな笑みを絶やさぬ人、沈着冷静に当時の状況を分析できる人、目が少年のようにキラキラ輝いて見える人、気の効いたジョークで沸かせる人、深く刻まれた皺に知性と熱い血潮を感じさせる人・・・全ての人が本当に素敵な老紳士でした。
彼らの言葉は、一つ一つが宝石のそれとは違った“輝き”を放っていて、深く、神秘的で、神々しくさえありました。
実際そうなのかもしれない、、、彼らの身体にはあの月面で神の如き何かが乗り移ったのかもしれませんね。
「ここはどこなんだ? とんでもないところに来てしまった!」
「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ。」
「今この時に、なんと30億の人々が地球にいて、あとの二人は月の上にいて、そして私は一人、この指令船の中にいるのだと・・・」
「地球は偶然の産物にしては美しすぎる。」
「全ての細胞は、この遥か宇宙でつくられたものだ、他と私ではなく、万物は一つなのだと・・・その神秘と驚異。」
「月を知ることで地球を知った。私はなんて小さな存在で、そしてなんて幸せなのだろうと思った。」
「真の自己、悟りを得たような・・・月から帰ってきた後は、この世のたいていのことは気にならなくなった。」

こうして列記してしてもきっとこの日にスクリーンの前で得た感動を表現は出来ないと思うのですが、自分の為に書き留めてみました。
今こうしてキーを打ちながら、もう一度聞いてみたいなぁって思う言葉の数々です。
それから、もう一つ。
時はベトナム戦争下で、多くの兵士たちが命をかけて闘っていた時でした。
死んでいく若き同胞を悼み、月を目指すことだけに没頭できる自分に苦悩する飛行士が、「ベトナム戦争は自分自身との戦争だった。」と語り、友人である兵士の一人が「キミは我が国が唯一、誇れる事業に参加しているんだ」と言ってくれたことで試練を乗り越えられたと述懐されていたことも、深く印象に残りました。
唯一無二の体験を「体感」できた時間でした。
さて、朝から気合を入れまして、この日実は連続鑑賞が叶いました。

もう一本のレヴューは近日中にアップします。
鑑賞前夜の美酒は久々に訪れたWishy-Washy での、カクテル<ウィッシー・ウォッシー>と<ギネス・スタウト>です。

やっぱり黒ビールはギネスですね、美味しいです。
私にはお初の<ブロッコリーのおつまみ>も湯で具合が絶妙で美味しかったです。

こちらでの時間も、私にとっては唯一無二の時間です。
月の裏側というものが、あんなに不安定で怖いゾーンだったとは思いませんでした。
球体の斜め下側を通過する不安定さが怖かったです。
飛行船で周回するパイロットの言葉が“その”怖さを上手く表していました。
>「真の自己、悟りを得たような・・・月から帰ってきた後は、この世のたいていのことは気にならなくなった。」
ワタシが最も印象深かったのがこの言葉だったんです^^
大らかな人間になれるものなら是非体験してみたいです。
『ライトスタッフ』を観たくなりました。
劇場には行けなかったこの週末でした(×_×)
その「怖さを上手く表現していた」言葉・・・残念ながら思い出せません・・・なんていう台詞やったんでしょう・・・凄く悔やまれます。(T_T)
どちらかと言えばその後の光の方に心を奪われていたみたいです・・・しゅん。
私も「悟れる」ほどの何かを体験してみたいです。
考えてみれば・・・生を受けてから逝くまでに、一体どれほどの人間が宇宙の神秘を間近に体感できるのでしょうね、みんなこの宇宙の中に生きているというのに、、、ね。
『ライトスタッフ』のワードは何度か飛行士達の口から出てきました。
良い意味で、皆さん意識をされていたようです。
劇場鑑賞タイムは捻出できなかったのですね・・・思うようにいかない忙しい週末っていうのもよいものですよ。
それにしてもTiM3さん宅には(ご購入されたけど)未開封のDVDというのが多そうですね。勿体無いから早く開封して下さ〜い!(*^_^*)