うちの猫は日曜朝7時45分放送のNHK番組『さわやか自然百景』が大好きです。特に鳥の生態を追う内容の時は目が釘付けで、いつも“お勉強タイム”となります。殊に今日の内容はウチの猫にとってはヒットでした、「吹雪の中、食べ物をさがすゴジュウカラ」。


凛と生きるゴジュウカラ そして 勉強を終えて完璧“オフ”状態のうちの猫
さて、昨日21日(土)は、猫ならぬ犬が登場するこの映画を梅田ガーデンシネマで。
『ホルテンさんのはじめての冒険』(ベント・ハーメル監督)です。
モリーという名で登場するこのワンちゃんは、本作でなんと08年カンヌ国際映画祭“パルム・ドッグ賞(特別賞)”を受賞しています!
story
勤続40年のまじめな運転士ホルテンさんが、定年退職日に人生初の遅刻をしたことから巻き起こる騒動を描く物語。
監督は『キッチ・ストーリー』『酔いどれ詩人になるまえに』などで知られるノルウェーの名匠ベント・ハーメル。
ノルウェーの首都オスロと第2の都市ベルゲンを結ぶ“ベルゲン急行”の運転士オッド・ホルテン(ボード・オーヴェ)。勤続40年、67歳の彼は、とうとう定年退職の日を迎えることに。仲間たちにその功績をたたえられ、恥ずかしながらも祝いの席に招かれた彼は、人生最後の運転をするはずだった翌朝、あろうことか人生初の遅刻をしてしまう。(story、作品写真ともシネマトゥデイより)

雪、雪、いちめん雪の中を、ベルゲン急行は走る。
運転士オッドの実直さそのものに、ひたすら真っ直ぐ、規則正しい加速と減速で。
オッドの長きに渡る日常が静謐で淀みなかったものであることを思わせる、心をすぅっと綺麗な刷毛で撫でられたような、そんな冒頭シーンでした。
生真面目な、ちょっと孤独なオッド・ホルテンさん。
変わること、生活のスタンスを変えたり長年の習慣を止めることって、実は勇気が要ることなのですよね。
ホルテンさんの自発的な決断では無理だったと思うから、あの偶発的な出来事が起爆剤になったことが「よかったなぁ」って思えるホルテンさんの転機でした。(あんな理由で遅刻することになるとは驚きでしたが。)
そう思うと人生ってなんて不思議なんでしょうね。
あのままだったらホルテンさんは、パラレルに存在するもう一つの(少なからず彩りを欠いた)人生を生きていたのかもしれないのだから。
そしてこの映画自体も凄く不思議な余韻を残すものでした。
人生初の遅刻を機に、ホルテンさんが(本人の意思とは無関係に)人生の“迷宮”に迷い込んでしまうかのよう。
出会う人々や目にする出来事がどれも風変わりで可笑しくて、そしてちょっぴり哀愁を含んでいて、それらが本来なら全く彼の人生には関わっていないことだったのに、最後には結局すべてのことがホルテンさんのその後の人生に彩りを添えるものになっていたという優しみ。
吐く息も白く凍る雪景色のノルウェーで不思議な温かみを残す作品でした。

様々な人との出会いの中、とりわけ発明家の老人との出会いと別れは大きかったと思います。
作品の一つの山場でもあったと思いますね。
私的には夜更けのプールのお話が気に入りましたが、それは一つの添え花として、とのことで。
台詞が極端に少なく、一切の余分な説明を排除し、唐突に場面転換を図ったりするところには一瞬カウリスマキ監督を想起させるものもありました。
のほほんとしたストーリーのようで、意外と人生の深遠な部分に迫る台詞があるところも似ているでしょうか。
「死も人生の一部ですわ。」
「人生はいつも手遅れだ。でも逆に考えれば何だって間に合うのさ。」
特に「何だって間に合う」という言葉は、ホルテンさんのその後の人生を変えてしまうエネルギーを持つものでした。
そして、再びベルゲン急行は走る、走る、ひたすら走る。
穏やかに微笑むホルテンさんがとっても素敵なラストでした。

さて、ノルウェーのお酒と言えばアクワビットなのですが、劇中では、ホルテンさんと老人がウィスキーの杯を交わすシーンがあります。
このウィスキーが何とサントリーの<響>なのです。
そう言えば「ニッサン(日産)」を巡る会話も出てくるし、監督は親日家なのかもしれませんね。
同監督作品では『キッチン・ストーリー』を観に行った記憶がありましたが、『酔いどれ・・・』については原作は読んだものの映画は観送ってしまいました。機会があれば手にとってみたいです。
さてさてその<響>の乾杯シーンでの二人の会話。
「氷は?」
「要らない。」
「私も要らない派だ。」
そうやって二人は大ぶりのグラスにストレートで注いだ響を飲みます。実に美味しそうに。
私は通常は「要る派」なんだけど、今日は「要らない派」で飲んでみたくて両方試してました。
ホルテンさんとモリーと、寄り添うあの婦人に心から「乾杯!」です。
ゴジュウカラのお腹もぷっくりしてて押してみたくなります。
今週はベント・ハーメル監督でしたか。
ちょっとそんな気がしてました。
私も見たいなぁと思いつつ、あまりにも何回も予告と遭遇したので
(2回目からは見ない様にしてまいたが)、
ちょっと気分が盛り下がってしまいました。( ̄▽ ̄;A
が、ぺろんぱさんのレヴューで少し気分が盛り上がったので
都合がつけば行ってみたいなぁ。
日曜朝7時45分ですか。。。こちらはまだ犬共々寝てます。(=^_^=)
記してくださった「人生はいつも手遅れだ。でも逆に考えれば何だって間に合うのさ。」て言葉心にしっかと刻みましたです。ありがとうございます。
で、”さわやか自然百景”が大好きという猫ちゃん、めちゃシブイし可愛いし。
ー2月22日「あんじに乾杯っ!」ー
昨日、今日は大阪に居ました。
Live、WWに行きましたよ(^−^)
梅田ガーデンにも行ってこの映画のポスターを
見ましたよ。見たいなあと思っている映画ですが
未だ、見ていません。
いいよね!!
さわやか自然百景もたまに見ますよ。
動物達がかわいいですね。
この映画はあまりに淡々と劇的変化もなく進むので、ちょっと盛り下がった?くらいの気分で臨まれるほうが丁度いいかも、です。^_^;
仰る通り、何度も予告編を繰り返されちゃうと「もういいよ」って感じになっちゃいますよね。固定観念もできてしまうし・・・。(>_<)
もしも御都合が合えばご覧になって下さいまし。(*^_^*)
猫は意外な動きをするものに眼が釘付けになるようです。鳥の動きは格好の対象です。目がらんらんと輝きます!(時々画面をつつきます。^_^;)
『・・・胡蝶の夢』も興味はあったのですが、、、ブルーノ・ガンツさんも出てらっしゃるみたいだし。(*^_^*)
私も「まだ間に合うのさ」に妙にしんみり聞き入ってしまいました。
受験の頃、高校の先生が「“まだ間に合う”はもう遅い」という言葉を何度も我々生徒に言っていたのを思い出しました^_^;。マクロに捉えれば「遅い」ってことはなかったんですよね・・・って、当時ちっとも勉強していなかった私にはどっちの言葉にしても同じだったと思いますが^_^;。
自然百景、良いですよねー。
うちの猫が狂喜するのは<鳥>の時ですけど、日曜の朝がちょっと豊かになる感じです。(*^_^*)
ようこそ大阪へ!
WWにも梅ガデにもお越しの由・・・大阪のゴールデンコース!でござりまするな。(*^_^*)
本作はゆったりまったり、、、の中に、きらりどきりのシーン・台詞があります。なかなかよいです。
自然百景、カメラワークは凄いですよね。
短い番組なのに込められている(静かな)熱情を感じますね。
無記名で送ってしまい失礼しました。
顔文字で判断・・・ さすがですね!
今年の目標(いまごろ?!)「落ち着く」になりました。
やはりゆるりさんでしたね(*^_^*)・・・でも本当にゆるりさんで良かったぁ〜、ホッ。^_^;
>目標・・・「落ち着く」
いえいえ、「記名忘れ」はきっと拙ブログのシステム上の不備です。(^−^)
私からすれば貴ブログを拝読する限り、ゆるりさんは“ゆっくりと、そしてご自分のスタンスとペースをちゃんと守りながら”日々を過ごしていらっしゃる“穏やかで落ち着いた女性”という印象そのものです。
私こそ今年の目標、「節酒」。・・・真実味まるで無し!おまけに守る意思まるで無し!(それじゃ「目標」じゃないじゃん!!(>_<))
映画の方は毎度上映予定がなく未見なのですが、
にゃんにゃんにゃんに誘われフラフラ〜ッとお邪魔します^^
画像を大きくして拝見!可愛いですねぇ〜猫くん。
ピンクのニクキュウにうっとりです。(*^^*)
しかも勉強家だったとは(笑)
凛と前を向いて生きるゴジュウカラもイイですね〜
小鳥って寒いとぷっくり毛(羽根?)が膨らんで
可愛くて愛しくてたまりませんっ!
ホルテンさんが抱いているワンちゃんも哀愁があって素敵(笑)
えぇーーカンヌ国際映画祭で賞を獲ったんですか!
因みに去年なら、私は『レッド・クリフ』の白鳩ちゃんに賞をあげたいです☆
にゃんにゃんにゃんの誘い、効きましたか〜(*^_^*)
お越し頂いてとても嬉しいです。
全部ピンクの肉球なのは写真でご覧の右後ろ足だけで、あとは一つだけ黒色なのが混じってたりしてます。(傍らでウチの猫が「それはオイラの個人情報や!」とか言ってます・・・言うてません(^_^;))
ホルテンさんのワンちゃんも、実は台詞はないのですが(当たり前ですが、、、でも台詞っぽい演出もないんですよ)、実に“いい味”出してるワンちゃんでした。
しかし「パルム・ドッグ賞」って・・・カンヌも遊びますよねー。(*^_^*)
>『レッド・クリフ』の白鳩ちゃん
さすが、ジョン・ウー監督!ですね。
でもこれは私は未見のままですぅ(T_T)。
いつか観なきゃ!ですね。
>小鳥って寒いとぷっくり毛(羽根?)が膨らんで
北国にお住まいのAnyさんならではのコメントで、素直に感動してしまいました。
また「Anyさん写真館」を楽しみにしていますよ!(って、プレッシャーかけてたらゴメンです!)
えーっ、嬉しい誤解です! そういう事にしておきます。( ̄▽ ̄;A
ところで、この映画観てきましたよん。
彼と母の関係がいったいどうゆうものだったのかは
観るものの想像をかきたてますね。
彼が何かから解き放たれた様な最後はすがすがしいものでした。
いい映画だなぁ。予告は全然いけてないと思いますが。(←すみません、しつこくて)
これもご覧になられた由、果敢なるご行動に拍手です!パチパチパチ!
これからは「穏やかで落ち着いていてガッツもある女性!」というイメージに変わりました(*^_^*)。
>お母さんとの関係
今のお母さんの様子とあの若かったころの写真とで、あとは我々が想像するばかりなのでしたが、ホルテンさんが母親を(表現はできていなかったのかもしれないけれど)深く愛していたことは何となく伝わってくるようでしたね。
もしかして上手く表現できていなかったことが彼の中で悔いとなって?残っていたのかもしれませんね。
それらも含めて全てから解き放たれた感じが、ゆるりさんの仰る通り「すがすがしい」感じにさせてくれましたね。
いい映画でしたね。 予告編は・・・ゆるりさんの意見は大事な意見です!よりよい演出を求めるのも!(^−^)。
オスロの街のほんのりとした街灯りが、「ムンクの絵」を連想させます。冬なのに、寒さを感じさせないこの温かさは、一体なんでしょうか。
ポスターにはワンちゃんが大きく載っているのに、映画では、ほとんど出てこない。「あれー」とちょっぴり不満でした。
雪の中を走る電車の映像は美しい!
もう少し電車のシーンがほしかったなと思いました。それくらい、あの映像は詩的でした。
>のほんのりとした街灯りが、「ムンクの絵」を
ムンクの絵は、存外、温もりが感じられるものなのですね。
厳寒の地では冬の寒さがごく自然に生活の一部であるから、寒さでさえ“生活そのものの温もり”に通じることにもなるのでしょうか。
>「あれー」とちょっぴり不満
そうですね(^_^)。
でもポイント部分は押さえてましたよね。(^_^)
ああいう泰然とした感じのワンちゃんの画を見ると、犬もいいなぁ可愛いなぁって思います。
一面の雪景色に、ひた走る電車の姿が際立っていました。「詩的」と評されたkeyakiyaさんの感覚も素敵ですね。
ちょっと疲れて行ったのでついウトウトと....そんなところにあったプールのシーン。実は驚きで目覚めたのですが、意味はイマイチ分っていないです。
そして再び、返信遅れをお詫びします、ごめんなさい。
北欧に何度か行かれたとの事、羨ましいです。
>なんともいえない寂しさ
「“気の長い刹那主義”の人々」・・・とは私の某友人が教えてくれた言葉でした。
そんな気質の人々が集っているのではないかと…。
プールのシーンは前後のストーリーと直接呼応するものではありませんが、“あるがまま”に開放されるホルテンさんを感じる印象深いシーンでした。