やっと鑑賞が叶いました。
連休初日の20日、『シリアの花嫁』(エラン・リクリス監督)を梅田ガーデンシネマで。
先週末に劇場に行けなかった段階で「もう見送りかな」って思ったのですが、やはり観に行って良かったです。
自分の人生は自分で切り開いて行くしかないのですね。
しなやかで、未来を信じて自分を変えていける女は美しい。
story
軍事境界線を越えたシリア側の男性と結婚することになった、イスラエル占領下のゴラン高原の村に住む花嫁の決意と運命をつづる。監督のエラン・リクリスは自身のゴラン高原の旅の経験を脚本に盛り込み、一度越えたら家族とも二度と会えない境界線をめぐる結婚のエピソードを複雑な中東情勢を背景に描き出す。
イスラエル占領下のゴラン高原のある村。今日はモナ(クララ・クーリー)が嫁ぐ日なのに、姉のアマル(ヒアム・アッバス)の表情が悲しげだ。それというのも、一度「境界」を越えてシリアへ行けば、二度と戻る事はできないのだ。やがて長男ハテム、次男のマルワンも結婚パーティにやってくる。しかし父は、ロシア人女性と結婚して家を出たハテムを許さない。パーティが終わり、モナの一家は「境界」へ向かう。無事、出国スタンプが押されるが、思わぬ出来事が待っていた。 (※story、作品写真ともgooシネマ情報より転載)

タイトルこそ『シリアの花嫁』ですが、終盤に至るまでは、これは自分の人生を取り戻そうとする姉アマルの物語であるのだと思っていました。そして長男ハテムと父親を軸とした「家族の再生」の物語なのだ、とも。
しかしラストでこの花嫁モナは、女としての強さと人生を自分の手で切り開こうとする逞しさを見事に私たちに見せてくれました。
その行為によって背負うであろう人生の大きなリスクを覚悟し、愛する家族への思慕を断ち切って、ただ前を向いて「人生の一歩」を踏み出した彼女が見せた最後の表情は凛として美しく、また、モナの決意によって自らの生き方をも決めたような姉アマルの表情もまた、清々しい輝きを放っていました。
そして、やはり「家族の再生」。
ハテムと父親が肩を寄せ合うシーンには涙を禁じ得ません。
モナの結婚がそれをもたらせてくれたのですね。
家族は顔を合わせることが先ず大切なのかもしれません。モナの結婚で離れていた家族が集まり、不慮の事態の中でとにかく「モナを送り出すこと」に懸命になる中、こんがらがっていた家族の心の糸が少しづつほどけていったのですね。

この物語は幾つもの「頑ななこだわり」が出発点となっている気がします。
もともと、こんな複雑な状況を生んだ戦争、政治、宗教の違いというのも、信念という名の「こだわり」なのでしょう。
そしてそれは視点を変えれば“実はさほど重要でないこと”であったりするのかもしれません。
自らの存在理由を求める為に堅固に政治思想を唱え、大義名分を通そうとする一部の男たちの陰で、そんな是か非かの論点を超越したところで幸せに生きたいと願う女たちがいる・・・「男 VS. 女」の論じ方は余り好きではありませんが、本作ではそんな図式が見えた気がしました。
状況を打破すること、変えること、そして自分自身も変わること、そんな「しなやかさ」が実は「強さ」なのだと思うのです。
アマルやモナたちのしなやかな生き方が周りの人生をも変えてくれる、「大丈夫、きっと悪くはならない」、そんな前向きな気持ちにさせてくれる清々しいラストでした。
最後の方で、非戦闘地帯のゲートの前に立ってじっと前を見据えるモナにそっと椅子を差し出す若き兵士がいました。
ストーリーには関係がないのだけれど、あのシーン、何だかとっても良かったなぁ・・・。
さて、昨日は“飲み友”4人(うち1人は所用で途中で帰途に。途中迄でも参加してくれてありがとう。)がお昼から集って持ち寄りの春の宴。


先ずはスパークリングワインで乾杯のあと、ペールエールの地ビール、白ワイン、赤ワイン、、、ボトル6本が空きました。
『シリアの花嫁』でも、モナの結婚を前に親族縁者が集って乾杯の宴が繰り広げられていました。
どんなシチュエーションにしても、乾杯っていいものですね。
Nちゃん、Kちゃん、Hさん、ありがとう。

どんな困難な状況でも、「とにかく前へ一歩」という映画でした。この楽観主義が、希望を与えてくれます。
公開劇場が少ないようで残念です。こんな映画こそ、たくさんの人に観てほしいと思います。
マイベストコレクションの中に入る映画です。
本当に観てよかったです。keyakiyaさんのブログ記事に触発されてのことです、ありがとうございました。
モナが境界を越えたその越え方のように、実はモノゴトは視点を変えると絶望的だったところに希望が見えてくるものなのかもしれませんね。
「マイベスト」ですか・・・そういう映画に出会えた年は他にもいいことが起こりそうでですね。(*^_^*)
こちらではずっと前から公開されているのに(その劇場が行きづらい場所でして)やっと観ました。
これは期待値も高かったのですが、思った通りのすてきな感動作でした。
マルタの刺繍をふと思い出すような、古めかしい風習にとらわれる男たちに対し、柔軟で前向きな女たちの姿が心に染みましたねぇ。
しなやかさってホントに素晴らしいなって。
お酒もおいしそうー。
私は時々、映画館で持ち込みの小瓶ビールを飲む女になりました・・
私もかえるさんのところに度々お邪魔しては「シリア…はもしかしてお好みの外やったんかしら?」などと思っておりましたが、劇場の場所がネックとなってのことだったのですね。(^_^)
嬉しいです、早速貴ブログにお邪魔してきました。
いざという時には柔軟で変化を遂げられる女性って素晴らしいですね。
ある意味、男性以上に「人生は賭け」と思えてるところがあるから、自ずと“潔さ”も生まれてくるのかも知れませんね。(*^_^*)
>持ち込みの小瓶ビール
それはステキですね!拍手を送ります!
好きな映画を軽いアルコール片手に・・・「至福の時」です。
「しなやかな女性」の一つの形であります!!(*^_^*)
乾いた村のいかにもお天気のいい結婚日和。
デモあり〜の、手作り感満載の宴あり〜の、
やっと旅立ちの時に、×ゲームのような長い待機時間・・・
一日はこんなにも長いんだ〜と思いながらあの家族を見つめていました。
最後の、女二人が歩き出した時に銃声が―なんてことは絶対に起こらないでくれよと祈っちゃいました(^_^;
お越し下さり嬉しいです。
ホント、本来なら花嫁の幸せだけが願われて然るべき旅立ちの日が、こんなにたくさんの問題をはらんだ長い一日になるなんて・・・ね。
でも女は強し!です。
しなやかに生きていってほしい、私もそうでありたいと願う、佳き作品でしたねー。(*^_^*)