今日でこのブログも4年目に突入となりました。
読んで下さっている皆さんのお蔭です、本当にありがとうございます。これからもどうぞ宜しくお願い致します。
さて、レンタルショップで見つけ、観賞が叶いました。
『八日目』(ジャコ・ヴァン・ドルマル監督)です。
拙ブログの『二十日鼠と人間』のレヴューで、itukaさんから頂いたコメントの中に紹介されていた作品です。
現実の閉塞感と弱者排斥主義のようなもの、そんな世界に生きている私たち自身への自省というほろ苦さを多分に感じたけれど、でも一番強く感じたのは、「誰かに必要とされることってなんて素敵なんだろう」そして「誰かを必要とする気持ちってなんて温かいのだろう」という思いでした。

story
エリート・ビジネスマンとダウン症の青年との奇妙な友情が互いの人生を変えていく。監督・脚本は「トト・ザ・ヒーロー」でカンヌ映画祭新人監督賞に輝いたベルギーのジャコ・ヴァン・ドルマルで、彼の長編第2作。
エリート会社員アリー(ダニエル・オートゥイユ)は妻ジュリー(ミュウ=ミュウ)と娘に家出され、一人イライラと車を飛ばしていた。が、犬を撥ねてしまい、その飼い主のジョルジュ(パスカル・デュケンヌ)を同乗させることに。ジョルジュはダウン症の青年で、施設から逃げ出し、母親に会いに行くところだった。母親の元に向かう二人。だがたどり着くと、母親は数年前に亡くなっていた。アリーはジョルジュを連れて、施設までの旅に出る……。 (※story、作品に関する写真はシネマトゥデイ他、映画情報サイトより転載)
この映画は全く知らずにいたのですが、DVDを手にとってビックリ、 ダニエル・オートゥイユが出ていたのです。
1996年の映画だからまだ少し若いダニエル・オートゥイユでした。昨年から幾つかの作品を通してファンになった俳優さんです。
彼はジョルジュ役のパスカル・デュケンヌと共に、本作でカンヌ国際映画賞の主演男優賞をW受賞したそうです。それも納得、二人の好演が光っていました。パスカル・デュケンヌは実際にダウン症を患う青年で、障害者による劇団プラタネ座で活躍中とのことで同監督の「トト・ザ・ヒーロー」にも主演しています。

オープニングは聖書の「天地創造」の教えから。八日目、「人間」の後に神が造ったものは果たして何だったのか・・・。
この映画、ダウン症の青年をファンタジックに、彼が巻き起こす騒動をフランス映画的に大胆に、夢想的に、幾らかのユーモアをちりばめて描かれています。
ジョルジュは“したい時にしたい事”をやり、“言いたい時に言いたい事を”言い放つ。それを「真のピュアさ」と見て微笑んでいられるうちはよいのですが、幾つかのシーンでジョルジュを取り巻く「現実」もきちんと描かれていて、それが悲しく、苦しく、私自身をも含めた「世間の目」を痛感させられ、ジョルジュの世界と“完全には”融合することのできない歯がゆさが滓のように残ったことも否めません。
しかし、その歯がゆさを超えて余りあるほどの温かい感情を、私はこの作品から貰った気がします。
ささくれ立ったアリーの心が徐々に解きほぐされて行くように、私たちの心も柔らかくまあるくなっていく感じがしました。
「もっと笑って!アリー! 僕の友だち!」
そう言って大笑いしながらアリーに笑顔を取り戻させるジョルジュ。
一瞬アリーがジョルジュを「神か?天使か?」と見まごうシーンがあるのですが、そのシーンに象徴されるように、ジョルジュは本当は天使だったのかもしれません。
天使は人間とは違うから、人間界では生きていけなかったのでしょうか。

当初は「友だちだ」と言い続けてアリーを必要としたジョルジュだったけれど、アリーもまたジョルジュが必要だと分かります。
雨の中で抱き合うシーンは、人と人とが「必要とし合う」ことの素晴らしさをひしと感じさせてくれて涙が止まりませんでした。草原の真っただ中、さえぎる物の何もない中で、あるのはただ人間同士の心の重なり・・・名シーンでした。
事象として捉えると悲しいけれど何故か淡い幸福感をも感じるラスト。
本当に行きたかった場所に行けたであろうジョルジュ、現実世界で価値のあったものは失ったけれど「本当に大切だったもの」を得たアリー。
・・・てんとう虫は空に舞う。
とても素敵なシーンがあります。
レンタルショップに返却する前に、二度、同じところを観返しました。これも名シーンと言えるでしょう。
「ぼくらのためだけの1分間」
多分これから先ずっと決して忘れることのない、天使がそっと傍らで微笑んでくれているかのような1分間でした。
またひとつ、佳き作品に出会えました。itukaさん、ありがとうございました。
さて、思い出すのは先週末の堂島サンボアBARでのジンライム。
サンボア・バーは何軒か行かせて頂いていますが、中でも私はこの堂島サンボアがとても好きです。

大ぶりのグラスにたっぷりのジンと大きな角氷一つ。正統的でありながら「襟を正して」というより「そっとバーカウンターに身を委ねて」っていう感じです。仕事帰りの空腹時に飲めばこのグラス一杯で確実に酔えます。
佳き映画、佳きお酒・・・あ、これは前にも書きましたね。
ブログ3周年、おめでとうございます。
これからも、佳き映画、佳きお酒、そして…
時々猫くんの記事も楽しみにしています。
4年目も「シネマで乾杯!」の一ファンで居させてくださいね。
お忙しい日々かと思いますが、お身体に気を付けて・・・
あっ、弥生3月・・・お誕生日ではないですかっ!
これからでしょうか?え?もう既に?
何れにしても、心よりおめでとうございます。
『八日目』はもう十年以上も前になりますが、
障がいを持たれた方の保護者が主催する上映会で鑑賞しました。
TVでは、パスカル・デュケンヌさんのドキュメンタリーもやっていて
彼のひたむきさに胸が熱くなりました。凄い努力家です!
私の場合、日頃からダウン症の方はもちろん
発達障害の方々と接する機会が多くあり、
彼らへの思い入れが強い分、この映画を観た当時は
迎える結末に、何とも言い難い想いを抱く結果に・・・
どうしても映画的に捉えて観ることが出来なかったのです。
でも時を経て(笑)、ぺろんぱさんの優しさに包まれた感想を拝読して
もう一度観てみたくなりました。
今ならきっと又違う想いを持てるような気がします。
ありがとうございました。再見が楽しみです。(*^^*)
これからも応援しております。
ワタシ、新※田シティやらロ※ト地下やらの「ミニシアター系」
からは(この春より)ちっと遠ざかってしまいますが、
地方なりに(?)貪欲に劇場鑑賞を続けて参りたいと思ってます。
そう言うと、先日ようやく堂島サンボアバーの場所を知りました☆
行ったのが昼過ぎだったから、入ることは叶いませんでしたけど。。
でも良さげな雰囲気でした(=^_^=)
などと、とりとめなきことをコメントしつつ、退場です・・(・ω・)
お祝いのお言葉、ありがとうございます。
Anyさんに「ファン」だなんて言って頂いてこの上なく嬉しいです。
私こそ「Candy Cinema」のファンであり続けます!この命ある限り!(←何故か演歌風)
誕生日は既に(ほんの少し前に)迎えました(^^ゞ。
早いもので、二十歳の成人を迎えてからもう十年・・・。うわぁ〜(^_^;)、こんな脱力の冗談は書いてて自分で自分が可哀相になってきました、しゅん太郎。
『八日目』、ご覧になっていたのですね。
>彼らへの思い入れが強い分、・・・迎える結末に、何とも言い難い想いを
そうですね、本作はその一点で大きく評価を分かつものだったと思います。
Anyさんのようにダウン症の方々と接する機会の多い方や、実際の家族・親族の方々にとっては非常に複雑な思いの残るものだったと思います。
ネットでの批評を拝見すると、パスカル・デュケンヌという実際にダウン症の青年が配役されたことがあまりにリアルすぎて、ファンタジックに描かれていた部分を受け入れることが出来なかったと記されていたコメントにも出会いました。
私自身、どうしても対岸に居る人間として観てしまった感は否めず、拙レヴューにも書かせて頂きましたが、やはり“言い尽くせない不条理感”みたいなものが滓のように残ってしまったのだと思っています。
しかし、確かにある“一瞬”には、それらの不可解な感情もパスカル・デュケンヌさんのいる世界との「融合」をみた時があったのではないかと信じたい今です。
いろいろと考える良い機会となりました。Anyさん、こちらこそ貴重なコメントをありがとうございました。
もしも機会がございましたら再見なさってみて下さいね。(*^_^*)
お祝いのお言葉、ありがとうございます。
TiM3さんの「応援」は“千人力”ですねー、嬉しいです!
>地方なりに(?)貪欲に劇場鑑賞を続けて
はい、TiM3さんは何処に身を置かれようとも「映画への飽くなき追求」は続くものと信じております。
私こそ応援しております。(私は“非力”ですが・・・)
堂島サンボアの前をお通りになられたとか。
あそこは早歩きだと通り過ぎてしまいそうでしょう!?
中はちょっとレトロ感もある、不思議に安らぐ空間です。
ご帰阪時に堂島周辺にお越しになることがあるのでしょうか・・・あるとすれば知らぬままでニアミスしてたりしてね・・・互いに「怪しい奴がいるぞ」とか思ってたりして・・・。^_^;
すみません、怪しいのは私だけです。
『八日目』素敵な映画ですね。
印象に残っているのは、毎朝の始まり、ラジオ(?)かなんかの啓発的なアナウンス。
なんか笑えます。
じんわり感動させるだけじゃなく、エスプリがきいてるところがいいですよね。
オートュイユも役にはまってるし。
残念なのは、ぺろんぱさんがおっしゃる「素敵なシーン」の記憶が全く無いことです。
気になるので、そのうちに見直そうかなっと思います。
4年目のぺろんぱさんのレビューも楽しみにしております!ので、がんばってください。
そして、これからもよろしくお願いします。(=^_^=)
そうなのです!フランス映画(ベルギーとの合作ですが)らしい機知に富んだ感じが素敵な本作でした。
朝のラジオ、面白かったですねー。
「素敵なシーン」は1分間のシーンです。もしも再見される機会がございましたらどうぞお楽しみ下さいませ。(^_^)
4年目もこの拙いブログをどうぞ宜しくお願い致します。"^_^"
おっと!遂に鑑賞されたのですね。
気に入ってもらえてホッとしてます^^
それから、ブログ4周年突入おめでとうございます。
もうひとつ、遅れましたけど誕生日おめでとうございます。
ワタシも3月に誕生日を迎えたところです(笑)
>DVDを手にとってビックリ、 ダニエル・オートゥイユが出ていたのです。
流石です。
オートゥイロを知っているとは可也のヨーロッパ映画通でないと、そうは知らないと思います。
因みに、ワタシは知らなかったです^^;
パスカル・デュケンヌさんの役名がジョルジュでしたか。
そういえば、検索したらオートゥイロさんのジョルジュというのもありましたよ(只の偶然ですけど^^;)
因みに『隠された記憶』(2006)というミステリー映画ですけどね^^
今月はご自身のお誕生月でもあったのですね
♪
またひとつ好い女度もあがっちゃったのではないでしょうか〜(^_−)☆
これからも、シネマで乾杯!シネマでなくても乾杯♪ファンですから〜!
で、この記事を見てから私の行きつけのショップで探しましたが、残念なことになかったです〜。
ちょっと、「家の鍵」にも似た作品かしらと思いましたが、
想像するに、もっと悲しいラストのようですね。
ぺろんぱさんのレビューはホントにお酒のようで、(笑)
思わず手にしたくなる、そそられます♪
はい(*^_^*)、観賞が叶いました。
観ることができてよかったと思っています。改めましてありがとうございました。
拙レヴューに勝手にitukaさんのお名前を挙げさせて頂いてしまってすみません。(思いっきり事後承諾…^_^;)
でも近いうちに別作品でもう一回載せさせて頂くと思いますが、ご了承願います。(一応、事前承諾のつもり…^_^;)
>オートゥイユ
いえいえ、結構オートゥイユファンは多いのでありまするぞ(*^_^*)、殊に女性にね。
私なんぞはまだまだオートゥイユワールドの新参者です。
また本作の彼はとっても素敵だったんですよ。
機会がございましたらitukaさんもどうぞご覧になって下さいませね。
>『隠された記憶』(2006)
ジュリエット・ビノシュとの共演ものでしたっけ?
興味はありつつ見送りました。今になって新たな鑑賞欲に繋がってくるとは・・・人生って面白いですね。(*^_^*)
それから・・・itukaさんも3月のお生まれでいらしたのですね!
おめでとうございます! お互いに乾杯!です。
お祝いのお言葉、心に沁みます、ありがとうございます。
「好い女度」・・・憧れながらついに手に入れることの叶わなかった度数です・・・しゅん。でもKiraさんに言ってもらえたから独りで嬉しく(寂しく)ガッツポーズ、「ヨシッ!」です!ありがとうございます!
>「家の鍵」
そうかも、、、初めに接し方に戸惑うところは似ているかもしれませんね。残念ながらその作品は未見なのでラストはどうなのか・・・でもね、Kiraさん、本作は確かに“事象としては”哀しいラストですが、何故か温かなものに包まれたラストでもあったのです。またいつか出会う機会がございましたら是非手にとってみて下さいね・・・。
>ぺろんぱさんのレビューはホントにお酒のようで
安酒・粗悪酒であるとは思いますが、悪酔い覚悟で是非またいらしてください!ありがとうございます!
これからもどうぞ宜しくお願いいたします!(*^_^*)
これからもおいしいお酒と映画を堪能しませうー。
『8日目』は心温まる映画でしたよね。
オートゥイユって、コメディ系の方がいいと思う私。
お祝いのお言葉、ありがとうございます。
これからもずっと、お酒と映画の「至福の時」を楽しみたいですね。(*^_^*)
確かオートゥイユのコメディセンスに以前から着眼されていたかえるさんでしたね!
私の中でも、『あるいは裏切りという名の犬』なんかの険しいイメージが昨年来よりぐぐっとソフトになってきているオートゥイユさんです。(*^_^*)
意外ときゅっと笑っている顔なんかが素敵です!