戻り寒波で花冷え。

27日、会社近くで撮ったビル街の早咲きの桜
花も寒そう・・・
ぴゅーっと吹く風が冷たく感じられた3月最後の土曜28日、「こんな寒さなんか楽園!」と思われるほどの極寒の地・内モンゴルの映画を観てきました。
大阪・上海友好都市提携35周年記念祭と銘打たれた「中国映画の全貌2009」の開催記念公開作品『草原の女』(ハスチョロー監督)をシネ・ヌーヴォで。
昨年公開の『胡同の理髪師』で知られる監督ハスチョローが、2000年に自身の故郷・内モンゴル東部の厳しい自然を舞台に撮った長編デヴュー作です。主演のハースカオワが中国版『遥かなる山の呼び声』と称したとされています。(映画祭チラシより)

“ハワイの暖かな島で撮られた映画”と“ちょっぴり大人になったダコタちゃんの映画”と“パンクバンドの物語”と、いろいろ迷ったのですが、これを選んでしまいました。
モンゴルの冬は厳し〜い。
story
厳冬の内モンゴル。
都会に行ったきりもう何年も帰らない夫を待ち続けるゾル(ハースカオワ)は羊を飼いながら息子アヨール(デンジバヤル)と暮らしていた。ある日親子の元へ見知らぬ男性(トゥメン)が訪ねてきた。彼は火を嫌がるところから「火」の意味を持つガルと呼ばれるようになる。ある事件をきっかけに親子はガルを受け入れ、ガルとアヨールは無二の親友となるが、ある日突然ゾルの夫ラシ(バオハンルン)が帰ってきた。( ※ storyはチラシより、作品写真は映画情報サイトより転載させて頂きました。)

モンゴルでの生活を描いた作品には、本当に観る度にカルチャーショックを受けます。
『天空の草原のナンサ』、『トゥヤーの結婚』、そしてこの『草原の女』も然り。
厳しい(本当に厳しい!)自然の中ではとにかく「生きる」ことが先ず闘いなのであって、逆境に打ち勝ち前を向いて生き抜こうとする姿勢が女性を逞しく強き者に変えるのですね。
確か、以前に観たドキュメンタリー映画『ダーウィンの悪夢』のなかで「感傷にひたること自体が贅沢だ」という語りがありましたが、毎日がサバイバルの厳冬のモンゴルにあってはまさにそれですね。
しかしそんな中にも親と子、人と人との絆は当然あるわけで、暖をとる火気の焚かれたゲル(家)の中では親子の温かい暮らしが息づいているのです。
ガルの出現によってアヨールには「欠けていた父性」を、ゾルには「感情を分かち合える相手」を、それぞれにもたらせてくれることによって親子の暮らしがより温かい鼓動を打つようになる様子には、ハスチョロー監督の人間味ある優しい視線を感じさせてくれました。

流れ者であるガルの出現は、確かに『遥かなる山の呼び声』に似ていますし、『シェーン』をも想起させるところがあります。
ただ、本作では、正直に言って「映画としての醍醐味」のようなものを余り感じられなかったですね。
ガルを演じたトゥメンは良かったけれど、ゾルを演じたハースカオワが何処となく一昔前のメロドラマのヒロインのようにも感じられ、厳しい自然に足を踏ん張って生きる女の“オーラ”のようなものを今一つ感じられなかったのがちょっぴり残念でした。
ゾルの語り口によるナレーションが説明的に過ぎたことや、BGMや重要なシーンで挿入される効果音などが“いかにも”的で、どちらももっと最小限にとどめてほしかった気がしました。あれだけの大自然の中での撮影なのですから、もっともっと自然と関わりあうシーンをたっぷりと、スクリーンを通して見せつけるほどに力強く描いてくれても良かったのになぁという思いも残りましたね。

しかし、物語は良質だったと思います。
制作は2000年ということですから、今から9年前のハスチョロー監督の意欲的な長編デヴュー作品ということで、監督の「人々をあたたかく見つめる視線」は存分に感じたつもりです。
特に後半、夫ラシをめぐるある秘密を「実はゾルもガルも知っていた」という辺りは、キーとなる部分でありながら涙を誘う大仰な作り方を避けて、さらりと流して描いていたところは(私的には)好きだなって思えました。
残念なところもありながら、やっぱりどんな映画にも学ぶところはあり、作品に投影されている監督や演者さんたちの真摯な姿勢を感じるのは喜ばしいものです。
厳冬のモンゴルを観た後では、大阪の街をぴゅーっと吹く風も春のそよ風に感じられましたよ。
厳しい世界を描いていながら、とても温かい作品でした。
劇中、ゾルが街に出てガルへのお土産として買ってきたのは<お酒>でした。
凍てつく身体を燃やすような、きっと強いお酒なのでしょうね。
私も強いお酒で乾杯。

米焼酎十五年古酒<黒いつき>、アルコール度数35の逸品です。やはりロックがいいですね。
>「感傷にひたること自体が贅沢だ」
確かに、生きる事に精いっぱいだと、何の為に生かされてるのか
なーんていう事は考えてる余裕はないやろし。。。。
あっでもニュース等で、草原が砂漠化して遊牧民としての生活が
困難になってきていると耳にしますね。
そんな変化を描いた「白い馬の季節」という映画もありました。(←未見です)
私も、モンゴルの映画を見ると人々の逞しさに圧倒されてしまいます。
シネ・ヌーヴォさんのこの企画が始まってから半月がたちますが、
そのうちと思いつつまだ一度も足を運んでおりません。
その次の企画では「フランス映画の秘宝」があるし、
うれしい様な困った様な。( ̄▽ ̄;A
こうやってレビューを拝見するとヒジョーに助かるわけです!!
これ,DVDで観ましたが,今やってる劇場があるのですねー
私も「胡同の理髪師」でハスチョロー監督に興味を持って
この作品も観てみましたが
「胡同」ほどの完成度はなかったけど
モンゴルの風習や,極寒の地で生きるヒロインの凛々しさに目を奪われましたよ。
お話はちょっと薄い気もしたけど,最後まで飽きずに一気に観ました。
モンゴル映画って最近ちょっと注目してます!
で,お酒の話ですが,私は焼酎だけは飲んだことないのですよ。
でも今度挑戦してみようかな。
モンゴル映画はパンチ力強大!ですよね。
砂漠化のニュース、そういえば『トゥヤーの結婚』でもそのことがベースになっていましたっけね・・・。
『白い馬の季節』は私も未見です。
調べてみますと07年の日本公開みたいで、割りと新しい作品なのですね。早速インプットさせて頂きました。(*^_^*)
そうそう、「フランス映画の秘宝」!
私もチラシを貰って眺めてました。こういう企画もの、シアターのカラーが出て面白いですよね。
私のレヴューはたった一作だけですのでちっともお役に立っていないと思います。(>_<)
フランス企画、ゆるりさんのレヴューにこそ期待しています〜!(*^_^*)
あ、でも観たい映画が重なる週は困りますよね、、、。(-.-)
本作、DVDが出てるんですね!そういえば日本初公開は08年だったとか・・・東京方面のみでの公開だったのでしょうか・・・・???
モンゴル映画、そういえば書き忘れましたが『らくだの涙』もモンゴル遊牧民の映画でしたよね。さきほどの拙コメントでも記しましたが、モンゴル映画は強力パンチ!ものです。
本作も確かに飽きることはなかったですね。
厳しい自然の中にも何処か登場人物達の大陸的な気質も感じられて興味深かったです。
>お酒
私の友人にもいます。(酒豪なのに)「焼酎だけは飲めない」っていう友人が。それと、「焼酎は好きじゃないけど芋焼酎なら飲めるの、ロックに限ってね。」という友人も。芋焼酎は、一般的には麦焼酎に比して癖があるっていわれているのに、です。
まさに“嗜好品”!・・・面白いものです。(*^_^*)
もしかしたら、ななさんにピッタリの焼酎がななさんに見つけてもらうのを待っているかも知れませんよ〜!(*^_^*)