そんな中、DVDをレンタルしていたこの作品を、一昨日夜にやっと観賞できました。
『スリンング・ブレイド』(ビリー・ボブ・ソーントン脚本・監督・主演)です。
この作品も、『八日目』のご紹介をいただいた同じコメント上でitukaさんからご紹介を受けていた映画です。
『二十日鼠と…』や『八日目』と同じく、「純粋に一つのものを見つめ続ける人間」と彼を取り巻く他者との関わり合いを描いた作品ですが、本作のテイストはまた一味もふた味も違っていました。
骨太で非常に重く、ラストカットは「人間の真の存在理由とは?」と問われている気がしました。
story
ビリー・ボブ・ソーントンが監督・脚本・主演を兼ね、アカデミー脚色賞に輝いた野心作。
母親の浮気現場を目撃し、母とその相手を殺害した知的障害者のカール(ビリー・ボブ・ソーントン) 。25年間の精神病院生活を終え、故郷の町に帰ってきた彼は、そこで父親のいないフランクという少年(ルーカス・ブラック)と親しくなる。だが少年の母親が恋人(ドワイト・ヨーカム)の暴力に悩んでいる姿を見た時、彼の中である決意が芽生える...。 (※story、作品写真とも映画情報サイトより転載)

先ずはビリー・ボブ・ソーントン演じるカールの姿に驚きます。
二枚目と評してよい容貌と肢体のカッコよさを完璧に消して、彼は“ある障害を持つ、決して若くはない、孤独な一人の人間”になりきっていました。
カールは病院の外に出て、友を得て一度は生まれ変わるのですが(彼は「洗礼を受けたい」と言ったのです!そのシーンに静かに涙する思い!)、結果的にはカールの台詞でいえば「シャバは大きすぎた」ようでした。
その“大きすぎる”世間を去るにあたって彼が取った決意と行動は、“決して彼が望んだ結果を招くものではなかった”というその一点のみに於いて、私にとってひどく悲しいものでした。
フランクに「You will be happy.」と残したカールの言葉。
しかしカールのとった行動は、哀しいかな、フランクを決してHappyにはしない・・・むしろ心に深い傷を残すことになるものだといえるでしょう。
しかしカールは、(おそらく)自分のとった行動を、彼の人生全てを賭けた「誇り」に満ちたものであると捉えていたように感じます。ラストの彼の表情が、あまりに満ち足りた、人間の尊厳を思わせるものだったからです。
そこに、私はこの物語の持つ「救いようのない、非常に悲しいもの」が描かれているように感じました。
カールの行動に「感動した」というだけでは済ませられない、この世に深く存在する“原罪意識”みたいなものが見て取れた気がしました。
この物語をヒューマンドラマとして湛えるのは心地よいことですが、その心地よさの裏に見過ごしてはいけないような「何か」があるような気がしました。その辺りはまだ明確にできません。再度観返してみてからゆっくり考えてみたいと思っています。

作品のトーンは違え、『二十日鼠と人間』と『八日目』と、実は似通う部分はあるのかもしれません。
ジョルジュは実は天使であり、本作のカールは“ある一点で人間を超える”神の使者だったのかもしれません。
このことはあるシーンで一つの命を巡ってのカールとフランクが語った台詞に象徴されているように感じました。
カール「(あの子の命は)ああやって神のもとに戻してやったほうが良かったんだ」
フランク「そうかな、(僕なら)助けたかったけれどな・・・。」
この台詞は、二人の存在の差異、成り立ちの差異、受けた愛情の差異を感じさせて非常につらいものだと感じたと共に、「カールはおそらく違う次元で何かを見ているのではないか」と私に感させるものでした。
これはラストに見たカールの“満ち足りた笑み”から受け取れた「(辛苦を超越した)幸福感」からも感じ取れたものでした。
・・・しかし・・・まだよく理解できていないかもしれません、静かに、幾重にも余韻を残す作品でしたから。
これから折に触れて、一連の『八日目』『スリング・ブレイド』を、幾つかの違った解釈の仕方を伴って思い出すことになると思います。
itukaさん、ご紹介をありがとうございました。
意外な喜びだったのは、ちょっとした役でム・ジャームッシュ監督や俳優のロバート・デュバルが出ていたことです!
特にジム・ジャームッシュの役柄は面白かったですね。ちょっとした遊び心が感じられて頬が緩む時でした。

先日の大阪でのちょい飲みからワンショット。
熱燗と酒肴、、、花冷えのでの小宴でした。
ぼつぼつ腰を落ち着け、シアター探索しなくちゃ、、な今日この頃です。
と言っても、間もなくクルマで帰阪開始ですが・・(=^_^=)
『スリング・ブレイド』いいですねー。
アクターズ・スタジオ・インタビューのビリボブの時に紹介されてましたが、かなり「化け」ててびっくりさせられたものです。
何やら、アゴを突き出し「んー、んー」みたいな口癖で演(や)っておられましたっけ。
衛星が観れなくなったので、これからはレンタルには走ろっカナ? などと。
今は大阪にいらっしゃるようですね、桜を愛でて下さいませ。
ビリボブ(この略し方、いいですね)さん、このような才がおありになったとは驚きでした。
主演もされて「入魂の一作」という感じでした。
>アゴを突き出し・・・
そうです、それがカールの癖のようでした。「喉を鳴らす」という表現が使われていました。
衛星が観られないのは残念でしょうけれど、その分、より一層能動的にレンタルショップに走られるTiM3さんがいらっしゃるような気がします。
遂に、この三部作を完賞(?)されたのですね^^
って勝手に三部作などとまとめてしまって申し訳ないです。
どの主人公にも言えることですが、少ない会話のなかに実はとても奥深い意味が含まれていて
健常者であるが故、聞き逃してしまう部分も案外あるんですよね。
フィクションと言えども、こういう作品を観ることにより
主人公の純真なこころを知ることが出来るのは、とてもありがたいことかなと思っています。
ぺろんぱさんの更なる考察が楽しみです。
はい、ついに「三部作」を観終えました。(^^)
>勝手に三部作などとまとめてしまって
いいえ〜、実は拙レヴューでも最初にアップした段階では「三部作」と称して記していたのです!
結局は後から書き直して削除したのですが、itukaさんと同じ感覚でいたことが分って喜んでおります。
(削除したのは、もしかして他に加えたい作品が出てきて三部作じゃなくなるかも・・・なんて思ってしまったからです(^^ゞ)
>少ない会話のなかに実はとても奥深い意味が
そうなのです!
たとえピンポイントに於いてでも、そこにとても深い洞察を感じてしまう時があるのです。教えられることが沢山あります。
また佳き作品がありましたらご紹介ください。(こちらでは先週末に公開で、早速ユマ・サーマンには会ってきましたよ!)
それから・・・この場を借りまして・・・。
<すごいダイズ>、立ち寄るお店毎に探しているのですが、まだこちらでは店頭に並んでいないようです。
早くしないと“わさび醤油へのチャレンジ心”が萎えそうですぅ〜!(フツーに食べればいいだけの話なんですけどね・・・^^;)
おぉ〜!^^
ユマ様(ユマ・サマとTiM3さん風に^^)ご覧になったのですね。
これはぺろんぱさんに観てもらいたかった作品です。
ワタクシ、鑑賞後にオフィシャルサイトに行ってキ、キーワードを見逃したことにショックを受けてしまいました(爆)
><すごいダイズ>、立ち寄るお店毎に探しているのですが、まだこちらでは店頭に並んでいないようです。
実は、ワタシも先月の16日以降、立ち寄るスーパー、コンビニなどを見てるんですが
ないんですよね〜^^;
全国的に皆さん探しているようですが見つけられない感じです。
なんだか宝探しでもしているような感覚になってます(笑)
ある人は、お客様相談窓口に売り場を聞いたそうです。
http://www.otsuka-chilled.co.jp/pdf/2009020401.pdf
>早くしないと“わさび醤油へのチャレンジ心”が萎えそうですぅ〜!
マジですか?^^
それは早くしないと・・・トライして欲しい(なんでだ〜)
ユマ様、この表現良いですね〜、さすがはTiM3さん。
キーワードは「選択」のはずです、、、が、何故か開かなかったのです^_^;。
もしかしたら違っていたのでしょうか??
でも多分観た人それぞれの解釈が可能な気がします。その方がいいようにも思います。
そう思って開かなかったことを納得させている私です。(^^ゞ
>実は、ワタシも
そちらにも未だ出ていないのですね、<すごダイ>。(あ、この略し方はイケてないですね、しゅん。)
しかしこうなったら意地でも見つけて是非食したいものです!わさび醤油で。…って、この話は脇へ置いておいて^_^;、一応“是非フツーに”食べてみたいと決意を新たに致しました!
頑張って探し続けます。これってメーカーの術中にハマっているのでしょうか!?