観てきました、『スラムドッグ$ミリオネア』(ダニー・ボイル監督)をシネリーブル神戸にて。
受賞から日が経ち興奮も引けてきていますが、ご存知、第81回アカデミー賞8部門に輝いた作品です。
思えば初めて本作のチラシを手に取った時には「アカデミー“最有力”!」と印刷されていたのですが、本当に取っちゃったんですねー。
公開から幾日かを経てやっと私も観賞が叶いましたが、その受賞にすんなりと「文句なし!」と思えた素晴らしい作品だと心からそう感じている今です。
story
『トレインスポッティング』『28週後…』など多彩なジャンルで観客を魅了する、鬼才ダニー・ボイルのヒューマン・ドラマ。
テレビ番組「クイズ$ミリオネア」に出演し、賞金を獲得したジャマール(デヴ・パテル)だったが、インドのスラム街で育った少年が正解を知るはずがないと不正を疑われ逮捕される。ジャマールになぜこれほどの知識があり、この番組に出演するに至ったのか。警察の尋問によって、真実が明らかになっていく。そこには1人の少女ラティカを追い続けた彼の人生の物語があるのだった…。 (※story、作品写真ともシネマトゥデイより)

スタイリッシュな映像。
貧困の極みを生きる少年の物語なのにウエットさは無い。
テンポよく、エネルギッシュに、時にスリリングに物語は展開します。
ジャマールと兄サリムが列車に飛び乗って逃避行を続けるところは、ドライな空気感が溢れ、さながらロードムービーのよう。
そこには辛苦を乗り越えるパワーとエネルギーが漲っていて、それがそのまま、成長したジャマールの“強く真っ直ぐな生き方”にも繋がっている気がしました。
とにかく“カラリ”とした作品のトーンがとても小気味良いのです。(描かれている世界は過酷で厳しいサバイバルワールドなのですが・・・。)
小刻みに挿入されるムンバイの風景はどれも美しく異国情緒に溢れていて、まるでこの映画が“希望に満ちたロードムービー”であるかのような感覚にさえなるのです。

そんな中、幼い子供たちが彼等をお金儲けの道具にするマフィアたちの手によって身体の一部を潰されるくだりには、心臓が痛くなるほどにバクバクと脈打ってしまいました。
そういう世界をくぐり抜けて彼等は生き抜いてきたのだと、「スラムドッグ」と呼ばれた子どもたちの「生きることへの試練と執念」を痛感すると共に、身体の一部を失っても尚、汚れなき歌声とかつての友の無事を喜ぶ「歌うたい」の少年の姿には涙する思いがしました。
それはやはり、宗教(イスラム教徒との対立が描かれていたので彼等はヒンドゥー教か?)の力なのでしょうか。
そういえば、最後の最後で自分の心に正直に従う道を選んだ兄サリムも、罪深き行為を繰り返しながらヒンドゥー教の神(シヴァ神?)に懺悔をしていたっけ・・・。
宗教の力の計り知れない大きさを改めて感じました。

そのサリムとジャマール。
二人の兄弟の“明と暗”を分けたのは何だったのでしょう。
「運命」をも自分の方へ引き寄せる、やはり「生きることへの力強いパワー」だったのではないでしょうか。
ジャマールはギリギリのところで“屈しなかった”のですね。
何ものにも屈せずに、ただ純粋にラティカを追い続けたジャマール。
そして、そのジャマールの心を決して忘れなかったラティカ。
自分の「運命」を信じて走り抜けた二人だからこそ、幸せをつかむことができたのかも知れません。
しかし・・・、「神は偉大だ」との言葉とともに華々しく散ったサリムにも、できれば幸せの微笑みが届けられてほしかったけれど・・・。

エンディングは“高揚感”そのままに、私の心まで喜びに沸き立ち、一緒にダンスステップを踏みたくて仕方がなかったです。(ちょっと北野武監督の『座頭市』を思い出してしまいました。)
手を取って消えていく二人の後ろ姿も素敵。
心の中で惜しみない拍手を送りました。
さてさて、ファイナルアンサーは「B」?ということで・・・
こちらのバーをご紹介します。その名も「B Bar」です。バカラの直営バーで、日本に3店あるうちの、こちらはヒルトンイーストプラザ店です。

勿論グラスは全てバカラです。
空になったグラスに上からの柔らかい照明が当たると、テーブルの上に様々な幾何学模様が形作られます。
うっとりするようなラグジュアリー・バーでした。ご馳走様でございました。
こういう情報には、かなりうといんです。
インドが舞台ということが、観に行くきっかけです。
観た後はスカーとした気分でした。
何かが抜けていくような。
良い兆しが感じられるような。
これは、映画代を払った価値があります。
また、サリムも一生懸命自分の人生を生きていますよね。
そしてラストのダンスもいいですよね、確かに北野武監督の『座頭市』にもこんな雰囲気の部分はありました。でもインドですよ!あのリズム感絶対ノリマス。
アカデミー賞とったのも良く分かりますよね。
本作も(この眼で観るまでは)レビューは読みません! きっぱり!(=^_^=)
そう言えばダニー・ボイル作品って『普通じゃない』『ザ・ビーチ』ぐらいしか観てなかったかも、、
久しぶりに鑑賞作品が一致して、なんか嬉しいです。
そして、面白かったですね。(=^_^=)
衝撃的だったのは、宗教の対立による虐殺シーンです。
現在、インド国内であれほど激しい迫害があるのかどうかわからないだけに
いっそう気になってしまいました。
幼い兄弟が列車に乗って旅をするシーンは良かったですね。
かつての仲間(盲目の少年)との再会のシーンもじんわり印象的でした。
この映画には色々な映画的楽しみが詰まってますが、
記憶に残るのはスリリングな場面よりもそういう静かなシーンなんですよ。
美しいインドの自然、そしてその対極にある様なムンバイ。
インドという国のはかりしれないパワーを少しだけ感じた様な気がしました。
あの幼い兄弟はもとより、母親たちに暗い表情がなかったところが良かったです。
スラム街を逃げ回る子供たちを追うあのスピード感に圧倒されっぱなしでした。
そういえば、幼少期の兄サリムとラティカを演じた子は
実際にスラム街に住んでた子供なんですね。
本作の大ヒットにもかかわらず、インドのスラムでそのまま暮らし続けていたことに
世界中から抗議が寄せられたとか・・。
そのお陰で、今はまっとうな住宅に移り住めたそうです^^
ラティカの身に付けていた黄色いマフラーは
風水の面からも良さそうですしね^^;
寸前のところで携帯電話が繋がった瞬間は
「ヨシ!」と心の中でガッツポーズを取ってしまったワタシです^^
インドという国は、訪れた人が「虜になる」かその正反対かだと言われていますが、とにかく我々を圧倒する何かがあるような気がします。
とくに貧困地帯には「生きることの原点」があるとも聞きます。
「良い兆しが感じられるような」と仰っていること、凄くわかる気がします。
観た後で“いい方向に”自分が変われる、それが明確に自覚できる映画ってそうないかも知れませんね。
佳き映画でしたね。
初めて本作のチラシを見た時(または、初めて予告編がスクリーンに流れ始めた時)、あの世界的メガヒット番組とインドのスラムに生きる少年というのがどうも上手くイメージ的に繋がりませんでした。どんな映画なんだろう・・・って、いぶかしく思うばかりでした。
思えば、その時から今のこの興奮が用意されていたのだなぁって思うと、人生ってオモシロイものだと感じます。
インドの映画って歌と踊りが不可欠要素みたいなところ、ありますよね。
ダンス音楽も民族楽的で良かったです!
>サリムも一生懸命
そうです、サリムも彼なりに“懸命に生きた”のですよね・・・。(涙)
はい(*^_^*)
本作もまた、御鑑賞後に改めてお越し頂けるのを
楽しみにしております。
ダニー・ボイル監督で私が真っ先に思い浮かべるのは『28日後・・・』でしょうか。
心底、怖かったです。(^_^;)
わぁ! ゆるりさんもご鑑賞でしたか! (*^_^*)
面白かったですよね。
宗教対立・・・私も驚きました。何が起こったのか咄嗟には理解もできず・・・。
目指すもの、願うものは「一つ」であるはずなのに、何故そうなってしまうのか、
悲しいですね。
>静かなシーン
>はかりしれないパワー
そうですね。
先のコメントで述べましたが、インドという国の持つ“生の原点”がある意味生々しく、
かたやそれら人々の営みを泰然と見つめている美しい自然との対比に、私たち日本人は
言葉をなくしてしまうのかも知れませんね。
冒頭からスピード感がありましたよね。
>実際にスラム街に住んでた子供
そうらしいですね。
先日の新聞で、出演の某女の子に養女話が持ち上がったとか・・・。それは真っ当な話として、しかしながらそこにもまた、更に高額での養女話を持ちかけようとした族がいたとかで、何だか心が沈む思いがしました。
>まっとうな住宅に移り住めたそうです
そうなのですね!よかったです!(^_^)
黄色は風水では「成功」「幸運」に繋がるとか。
私も黄色は昔から好きな色の一つです。(あ、、、その割りには何一つ成功してなどいませんが・・・^_^;)
>心の中でガッツポーズ
心優しきitukaさん。
きっとその瞬間、itukaさんの表情もガッツポーズ顔になっていたはずです!(*^_^*)
映画大国インドでもなかなかスラムで撮影は敢行されないそうで、それをイギリス人のダニー・ボイルがやってのけたのだからすごいですよねー。
過酷ながらエネルギーに満ちたその場所と子ども達を見事にカメラに収め、オスカー作品に仕上げちゃったのだから、素晴らしい快挙。
踊るエンディングもサイコーに楽しかったですよねー。
やはり皆さんの関心も高いですね〜
すごい良くできている映画でした
何故 答えられるの・・・といったミステリーな要素もあったりして
メイキングをBSフジでやっていたそうですが
一度見てみたいものです
いつも佳き映画をご覧になられていますね。観るだけでなく、いつもていねいにblogに纏められていますね。そして素敵なお酒ライフも。
ようやくぺろんぱさんの紹介する映画に追いついてきました。「スラム」「トリノ」も観ました。
ご存じかもしれませんが、GW号の「ニューズウィーク」特集は、「映画ザ・ベスト100」です。ハリウッド偏重ですが、まあ仕方ないですね。イーストウッドの習いに沿うと、アメリカが産みだした誇れるものは、西部劇とジャズとか。西部劇は映画と言い換えていいかも。レンタルの参考にはなります。
私はこれとグラン・トリノを続けて鑑賞し
その日は大満足でした。どちらも甲乙つけがたく素晴らしい作品で・・・。
特にこの作品はオスカー納得です。
目もあてられないくらいの惨状を描きながら
彼らの「生きる」ことへの執念やパワーのせいか
全編にみなぎる突き抜けた明るさが心地よかった。
ラストのダンスは感涙ものでしたよ!
ジャマール,ダンス上手すぎ!
バカラのグラスは二つ持ってます。水割り用に。
やっぱりバカラで飲むと味までシャープで美味しく感じてしまう・・・。
>映画大国インドでもなかなかスラムで撮影は
そうなのですね!
ボイル監督の熱情がそれを敢行させたのでしょうか?
その熱情の発露を是非知りたいところです。
この国の発する「エネルギー」をダイレクトに捉えたところも、そしてそれをこの超人気娯楽番組にリンクさせたというところにも、新鮮な驚きでしたぁ(*^_^*)。
>素晴らしい快挙
はい、改めて拍手!です。
やはり何と言ってもアカデミー受賞っていうことで関心は高まりますよね。
初めてこの映画の予告編を見た時は、インドのスラム街とミリオネアという番組が上手くリンクしなかったのですが、、、本当に「物語」としてよく出来ていましたよね。
BSフジのその番組は見ていませんが、メイキングにも興味がありますね。(*^_^*)
丁寧だなんてとんでもないです、私のは稚拙なブログですが、でもお越し頂けて嬉しいです。(*^_^*)
>GW号の「ニューズウィーク」特集は、「映画ザ・ベスト100」
知りませんでした。先程ちょっとだけネットで調べてみましたが、辛口コメントなるものも添えられた中々面白そうな特集ですね。書店で見てみます。
>西部劇とジャズ
なるほど・・・ジャズは、先日読み終えた某書に「ほんものの貧困から、歌しか救われるものがない」ような状況で生み出された音楽には「敵うものがない」って言う意味のことが書かれていました。
時を経ても心の糧となるものは引き継がれるのでしょうね。
GWは酒宴やら小刻みにお出掛け?の日々です。
劇場鑑賞は・・・叶うでしょうか。
さて、話題作を立て続けにご鑑賞の由、右脳が刺激され続け?の日だったのではないでしょうか。(*^_^*)
>全編にみなぎる突き抜けた明るさが
私もそこのところに惹かれました。
ジャマールもさることながら、ラティカ役の女性も素敵な美女でしたね。
バカラのグラス・・・良きグラスは良き「お酒タイム」を作り出してくれますよね。(*^_^*)
生活環境が変わって、ようやく落ち着いたので半年ぶりに映画館へ〜っ!
うん、良かったです(^^/
皆さんのコメントにそうそう!と頷きながら拝見しました。
もう一つ思ったのは、子どもにとって逃げることは最大で唯一の武器なのかもしれないということ。
たくさんの"痛い"場面で、命を賭けて走る子供たちに「頑張れ頑張れっ!!!!」と心の中で叫んでいました。
そして、大人になったジャマールは逃げずに正面から勝負した!
何と素晴らしい結末。
エンディング、「座頭市」と「踊るマハラジャ」を思い出しながら(笑)私も小さくステップを踏んでいました♪♪♪
半年振りの劇場鑑賞のトップを飾ったのが本作だったのでしょうか!? 素敵です!!
>逃げることは最大で唯一の武器
karcyさんならではのご表現にしみじみ頷いています。なるほど、最初っから彼らの走る姿には圧倒されましたものね。
どんな方法でも生きてやる!的な強さがいい方向で活かされて本当に良かった・・・本当に素晴らしい結末ですね。
>「踊るマハラジャ」
はい(*^_^*)、あれもかなりのカルチャーショックの映画でした!
また是非お越し下さいね。
久しぶりに映画館に行きました。やっぱり大画面はいいですね〜。
さて本作品、子役のキラキラした眼がとても印象的でした。マフィアの虐待のシーンはとても耐えがたかったです。壮絶、混濁とした背景の中、真っ直ぐ力強く生きる主人公の姿は爽やかでしたね〜。
若い頃インドを旅した事があるのですが、その時も街や人、いろんな物から力をもらえた気がします。〜インド〜不思議な力の国ですね。
大画面では迫力も感動も倍増かと・・・(*^_^*)。
あの虐待シーンですが、かの国のかのスラム街では、中には実の親が我が子をあんなふうにしてお金儲けの道具にしていることもあるとか(それくらいに貧困の極みがある、とか)聞きました。胸ふたぐ思いです。
だから余計、このエンドが嬉しいと思える今です。
れいれいさん、インドを旅されたことがあるのですね!(*^_^*)
>不思議な力の国
実際旅されたお方の言葉はやはり重みを感じます!
例えるなら・・手造りの荒削りな木のパズル・・に
取り組んだような気持ちの鑑賞でした。
色んな「ネタ」「アイテム」が雑然と劇中に散らばってるんだけど、それらのピースが「ちょっと隙間がありつつも」ハマっていくような感覚でしょうかね。
まだまだ映画には、描き方があるねんなーと感じた1作でした。
ご覧になられたのですねー、後ほどお伺い致します!
>ちょっと隙間がありつつも
仰っているのは、「やや強引な展開、或いは、上手くいきすぎている分、若干首を傾げる的なところも残しつつも」っていうことなのでしょうかね??
それでも、“ハマっていく”のは観ていて心が湧き立っていく思いでしたね。(*^_^*)
>まだまだ映画には、描き方がある
このタイトルだけでも十分インパクトがありましたが、プラス、何となく今までにないテイストを感じました。(^_^)
連日、新型インフルについての報道を目に耳にしますが
そちらのニュースが流れる度に、
「ぺろんぱさん!」って想ってしまいます。
御無事でしょうか?念には念を・・・お気を付けてくださいね!
さて本作、ようやくアップしました。
少しずつぺろんぱさんを追っています。(あと少し!笑)
この作品、見せ方が面白かったです。
私には新鮮に映りました。特に回想シーンが印象に残りましたが
悲惨で過酷な環境のはずなのに子供達はエネルギーに満ち溢れていましたね。
危なっかしくてハラハラしたり、切なくて胸が締め付けられたりと
観ていて色んな感情が渦を巻いて引き込まれました。
そして「B Bar」に繋げたぺろんぱさんに座布団10枚を!
グラスは全てバカラって贅沢です〜
素敵なBarなのでしょうね!(*^^*)
今のところ私は大丈夫です。(*^_^*) 大丈夫ついでにお酒も飲んでいます・・・念には念を入れて?“ガンガン”飲んでいます。(自分自身に→)こらっ!(>_<)
先ほどAnyさんのブログのお邪魔してコメントさせて頂きました。「見せ方が面白かった」と仰っているのは同感です(*^_^*)。私も、「作り方(見せ方に通じますよね??(^_^))」に凄く新鮮な感じを受けました。
キャスティングも新鮮でした。“さらっぴん”で心に響きました。
座布団10枚も!ありがとうございます。
苦し紛れの「ファイナルアンサー」でした^_^;。
素敵なBarでしたよー。
お酒そのものよりも「空間」に酔いました。(*^_^*)