友人Mちゃんが「読んだから返却不要よ。」って送ってくれた何冊かの本のうちの一冊、新潮文庫『リプレイ』(ケン・グリムウッド著/杉山高之訳)です。
通勤電車用の一冊にしていましたが、夢中になってしまって物語の展開が気になり、とうとう半身浴にも持ち込んでしまいました。よって既にもうボロボロですが、メゲずに電車中でも読んでいます。
<物語>
ニューヨークの小さなラジオ局で、ニュース・ディレクターをしているジェフは、43歳の秋に死亡した。気がつくと学生寮にいて、どうやら18歳に逆戻りしたらしい。記憶と知識は元のまま、身体は25年前のもの。株も競馬も思いのまま、彼は大金持に。が、再び同日同時刻に死亡。気がつくと、また――。人生をもう一度やり直せたら、という究極の夢を実現した男の、意外な、意外な人生。(文庫本裏表紙要約より)

SF小説において「記憶を残したまま、時間が戻って人生をやり直す」という物語はありがちな設定かも知れませんが、興味深く感じたのは、彼(ジェフ)が繰り返す人生がどうやら一度や二度ではないらしいということでした。
まだ私が読んでいるのは彼の“三度目の人生”なのですが、読むまでは一度だけ繰り返されるジェフの人生が描かれるものだと思っていたので、まだ1/5程のページのところで彼が再生後の人生において再び新たな?死を迎えたのには正直言って驚きました。
ジェフの心理的描写が切実で、SF的で奇想天外なストーリー展開だけを意図して著されたものではないと判ります。
ジェフが、繰り返されるその人生の中で“思いのままの人生”を謳歌しているわけでは決してないこと、むしろ“繰り返される若さ”とは不釣り合いの“深い憂いと苦悩”を徐々に身にまとっていくことに、読んでいる私まで心かき乱される思いがしています。
SF小説と一括りに表現するよりもこれは謂わば青春小説であり、同時に、ジェフという人間の(少し形態を変えた)大河小説と言えなくもないかと感じています。
20年ほど前に書かれた小説なので、43歳の「今」のジェフの世界でさえ、時代背景は少し古いと感じることでしょう。
しかし、当時のリアルなアメリカの姿が窺われ、(残念ながら私は共有はできないものの)18歳のジェフの世界を実際に知っている年代の人にとっては尚一層面白く感じられる世界なのかもしれません。
何度か繰り返される人生で、出会い、深く関わる人間は微妙に変わっていくようです。
結構長い小説ですので全編を描き切るのは難しいかも知れませんが、映画にしたら面白いだろうなぁって思います。
時代背景や風景の描写も丁寧に織り込まれているので、事実、私は読みながら自然と幾つかのシーンを映像化して読んでいるようなところがあります。
ジェフはどんな俳優さんが良いでしょうね。
『ベンジャミン・バトン・・・』のようにCGで若い頃から43歳までを一人の役者さんが演じるのいいのか、はたまた、18歳のジェフを誰かが演じ、40歳前後のジェフを他の誰かが演じるというのがいいのか・・・。
密かな想像(妄想と言ってもいいかも)は尽きないです。

さて、今宵の読書の友は、海外帰りの友人N嬢からのお土産のチョコとコーヒーで。
いえいえ、実はそのN嬢と今日は飲んで帰ったので大人しくコーヒーに切り替えている今です。
ほんのりベリー系の香りの香る生チョコでした。チョコの味わいはビターです、ブラックコーヒーに合います。
美味しい、、、ありがとう。読書も進みます。

出張中の春の空、です。
>ニュース・ディレクターをしているジェフは、
>43歳の秋に死亡した。気がつくと学生寮にいて、
>どうやら18歳に逆戻りしたらしい。記憶と知識は元のまま、
>身体は25年前のもの。株も競馬も思いのまま、
>彼は大金持に。が、再び同日同時刻に死亡。気がつくと、
>また――。人生をもう一度やり直せたら、
>という究極の夢を実現した男の、意外な、意外な人生。
もうじき公開される『17アゲイン』のような・・かつての『恋はデジャ・ヴ』のような、不思議な物語ですね。
私的に気になるのは
・死が予測出来るとなれば、それに対する抵抗は可能なのか?
・何故彼だったのか?
・何故18歳に戻ったのか?
・彼に理解者/協力者は出来るのか?
って辺りでしょうか。
『恋は〜』では、全く同じ1日を繰り返す男(ビル・マーレィ)のナンセンスな(?)物語でしたが、記憶&知識が残るので、
「路肩の水たまりに片足を突っ込んでしまうこと、の回避」に始まり「ピアノを修得する」など、どんどん1日の中で運命を変えて行くのが面白かったです(変えても1日は繰り返すんですが)。
でも、長編なのは少し抵抗がありますね・・そう言う物語を短編でサラリと描いてこそ小説家って感もあるような、、
ああ、しかしなかなか読書に取り組めないワタシです。
TiM3さん、こんばんは。
ご出張中なのですね。お疲れ様でございます。
お忙しい中お越し頂き嬉しいです。
本作は裏表紙の要約文のイメージに比して(二度目の再生以降は)“そこはかとない失望感”を感じさせるものがあります。
決して「夢のような」世界ではなかったのが意外でした。
>死が予測出来るとなれば、それに対する抵抗は可能なのか?
同日に死を迎えるので、再生二度目の人生ではありったけの抵抗を試みるものの・・・。
>何故彼だったのか?
それを彼自身も激しく天に向かって問うのですが・・・。
>何故18歳に戻ったのか?
これは(少なくとも今読んでいる段階では)わかりません。
>彼に理解者/協力者は出来るのか?
三度目の再生で初めて苦悩を打ち明けた相手がいましたが、それは彼を絶望の淵に追いやる結果となりました。今後はどうでしょうか。
『17アゲイン』は明るい爽やか青春系のコメディーなのですよね!?
『恋はデジャ・ヴ』は未見ですが、ビル・マーレイは好きな俳優さんの一人ですのでチェックしてみたいですね。
それと、本作については“長編の良さ”が味わえると思いますよ。
もしもこの先、書店で本作が目に留まるような機会がございましたらパラパラとページを捲ってみて下さいね。(*^_^*)
私も....というはずが、自分の本のブログにないから読んでいなかったのかなぁ?筋はおぼろげに分っているんですが....???あらすじを読んだだけだったのかも???
探して読みます。
確かに面白い本???だったです。おっしゃるように何度も人生を繰り返すというのが興味深い点です。
あれ?やっぱり他の人の作品だったかな?
ただいま、4度目の再生人生を走っています(^^)。
「そこまで翻弄しないであげて…」と叫ばずにいられない展開になってきてます。
本もボロボロ状態です。^_^;
もしよろしければ再読なさってみて下さいね。
自分がこんな状況に陥ったらどうするだろうって考えさせられてしまいます。
何かしらの神の為せる業なのか否か、その辺もどこまで迫って描いてくれるのか、展開が読めそうで読めません。
同じような題材の小説もあるでしょうし、もしかしたら他の作品と混同されていらっしゃるのかも知れませんが、west32さんなら既に読んでいらっしゃる可能性大です!
あ、でも記憶の「再生」の意味で一度是非手に取ってみて下さいね。(*^_^*)
読みはじめたときには、ヤッパリ読んだことのあるようなありきたりの話かなぁと思っていたんですが........
今年読んだ本で最高の作品です。
繰り返される人生ですが、私はジェフと○○○の愛の物語と取りました。
百年愛です。
本当に良い本に導いて頂きありがとうございます。一人で探しているだけでは中々分からないです。映画も本も人の意見を聞いたとき面白いものに出会えるのでしょうね。
「今年最高の本」とは私にとっても大変嬉しいお言葉です、ありがとうございます。この本を私に紹介してくれた友人Mちゃんも大いに喜ぶことでしょう。(*^_^*)
百年愛…なるほどそうですね。
SFの衣をまとっているけれど、「生きる」ことの眩さと深さを感じさせられた書ともいえるでしょうか。
時を経て、また読返してみたいと思っています。
私の方こそいろいろな書や映画を教えて頂いていいる気がします。これからも宜しくお願い致します。(*^_^*)